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26 マッピング

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「なんだか拍子抜けするほど簡単だな」


「先制さえできればね……」


 班を二つに分け、所定の場所に向かいレベリングを再開した。


 一班は僕(姫の監視)と皆月さんが率い、二班は慎太が率いる。13人ずつ、前衛と後衛も半々だ。


 それからのレベリングも調子良く進み、初日とは打って変わって犠牲者を出すこともなく無事に一日を終えた。

 





 三日目も同じようにして過ぎ四日目。

 全員のレベルが15を越えたので探索を開始することにした。

 ひとり辺り武器の性能も加味してレベルは32程度には匹敵するので十分という判断だ。


 班は今のまま二班で行う。マッピングを行う為にも現在の班が最適だ。

 左右に分岐した道で慎太の班と分かれて行動することになった。


 道中複数の魔物に遭遇するも、探索は非常にスムーズに進んでいる。初日に姫が余計なことをしなければもっと簡単にいってたんだろうね。

 チラリと、無言で横を歩く姫を見遣る。

 姫は濁った瞳を僕に向けるだけだった。

 そこに前方で探索していた先遣隊の一人が報告に来る。 


「宝箱発見したけど、どうする?」


「開けよう。ただ、何が起こるか分からないから警戒は十分行うように」


 案内された狭い玄室には以前発見した『ヘルネ草』が群生していた他、小ぶりな宝箱がひとつあった。

 『ヘルネ草』をアイテムボックスに放る作業を終え、宝箱を開かせる。


「これは……『錬金セット【上級】』?」


 出てきたのは、釜やらビーカーやら濾過器やら理科室で見かけそうな細々としたものだった。【上級】と言うだけあって種類は豊富だ。

 魔宮が成長した影響でアイテムも大分強化されているようだ。

 取り敢えず徴収しておく。


「はい没収~」


「横暴だ!」


「小城さん、災禍の種を撒く者(アジテーター)をお願い」


「どうぞお収め下さい」


 兎に角『錬金セット【上級】』は没収しておいた。

 錬金スキルは初級だけ取得しておく。


「それじゃあ、暫くこの部屋で休憩ね」


 11人が安堵の息をついて思い思いの場所に座る。少し手狭に感じるが問題はないだろう。

 早速手に入れた『錬金セット【上級】』を広げる。

 だが、初級のスキルで作成できるものは少ない。精々出来の悪いポーションくらいだ。


 仕方ない、現代の知識を応用するか。

 今一番欲しいのは紙だ。


 一層だけならともかく、何層ものマップを記憶するのは流石に不可能だ。一層一層のマッピングを無駄にしないためにも、それを記録する紙がほしい。

 いずれ脱走するつもりとはいえ、それまでにはここで力をつけないといけないしね。


「とはいえ、普通の紙は作れそうにない。パルプとか作れないし」


 どうやって木材から繊維を取り出せっていうのか。

 となると、作れそうなのは……羊皮紙かな。


「原材料は動物の皮だったはず。幸い魔物の皮なら大量に有り余っているし」


 アイテムボックスから『野蛮な皮』を取り出して羊皮紙の作成を始める。

 一日ほど水に浸した後流水で汚れを落とすんだけど、一日も待ってられないので錬金スキルに属する魔法を使って効果を促進させカップラーメン一杯分の時間まで短縮。 


 そして、取得したばかりの生活魔法を再度使って水を垂れ流し続ける。

 『錬金セット【上級】』の付属品のひとつ、大きめの容器を用意して水を浸す。そして魔法で無理矢理消石灰を生成し……こんな過程書いてもつまらないね。


 兎に角、錬金スキルに統合されている魔法と生活魔法を駆使し一時間掛けて羊皮紙の作成に成功した。本来なら二週間以上掛かるのに、魔法チート過ぎる。三分クッキングの「既にこちらに用意してあります」みたいな感じだ。

 書くものは適当な棒切れと魔物の血でいいや。


「柊、休憩するのに疲れたんだが……」


「よし、出発だ」


 こうして帰りにレベル30そこそこの『トレント』(古木の妖精)を狩って木の枝を拝借し、ダークウルフの血をビーカーに集めた。


 スキルが上がったらヘルネ草を使ったポーションを作ってみたいものだ。今はスキルが低くて作れない。

 あの草、雑草のくせにポーション作成の難易度が高い。


 入口で慎太の班と合流してグライン将軍に報告、牢に戻って夕飯を食べる。


 そしてみんなが寝静まった頃、僕は羊皮紙を取り出して慎太と皆月さんの目の前に広げた。


「お、お前……。流石としか言いようがねえな」


「何かしてるなとは思ってたけどこれだったのかー。もう、柊くんなら何をやっても不思議じゃないよ!」


「皆月さん静かにして。みんな寝てるから」 

「あ、はい」


 まったく、皆月さんは僕を買いかぶり過ぎだ。崇拝の域にまで行ってる気がする。

 僕は魔物の血が入ったビーカーを数本、木の枝を三本取り出した。


「それじゃあ、本当のマッピングを始めようか」



 トレント製の丈夫な木の枝に魔物の血(インク)を浸して羊皮紙の底部に『入口』と書いた。


「ここを始点に書き始めよう。まずは僕が東側を埋めていく」


「じゃあ、俺が西側だな」


「えと、私は?」


「皆月さんは頑張ってマップを頭に入れて」


「が、頑張るよ!」


「皆月さんちょっと静かにして」


「すいません」


 意気消沈する皆月さんを余所目に僕たちは羊皮紙を地図へと昇華していく。複雑な記号などは使わず、線と日本語だけで埋めていく。


 日本人ならひと目で理解できるモノだ。仮に将軍なんかが手にれても細部までは知ることはできない。ガラクタ同然だ。日本人が持つことで価値があるものとなる。


 更に羊皮紙の端の方に出現モンスターと平均レベルを載せておく。スペースの都合上攻略法までは載せられないのでそれは記憶するしかない。といっても、一度でも戦えば簡単には忘れられないだろうけど。


 そうして十分もすると立派な地図が完成した。とは言っても、一層の全容の半分も記せていないんだけどね。        

 それでも大分進歩したと思う。

 あと数日もあれば一層を攻略できるだろう。


「よし、じゃあ寝ようか」


「そうだな。もう覚えたし」


「え、ちょっと待ってまだ私が……」 


「「じゃ、おやすみー」」


「またこのオチなの!?」


 皆月さんの喚き声が心地良く聞こえる程の睡魔が襲ってきて直ぐに眠りに落ちた。

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