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放課後の依頼人  作者: 海莉


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2/2

2 初日

…まさか入部初日から活動があるなんて。

でも、とりあえず名前だけって事だし行かなくてもいいのでは?

いやでも、初日からサボりはまずいか?


 「お悩み相談所は3階の空き教室で活動しているぞ!とりあえず行ってこい。」


先生を目の前に流石にサボるわけにはいかないか。

はぁ。


…3階って意外と遠いわね。何でこんなところでやっているのだろうか?

まあ、大方予想はつくけど…

部活っていう感じじゃないから堂々と教室が使えないのだろう。


 (ええっと、確かこの辺の教室だったっけ?)


…

一応ノックをするべきだろうか?さっきの先輩が2人ほど新入部員がいるって言っていたし、それに他の先輩がいる可能性だってあるし。


コンコン。


 「は〜い。」


元気な声。…でもさっきの人の声ではない気がする。先輩だろうか?


 「失礼します。あの、新しくこの部活に入ることになった〜」


何だろうこの雰囲気は。一人はさっきの先輩みたいな愛嬌のあって騒がしげな女の子、もう一人は頭を抱えたまま机に肘をついている男の子。どういう状況?

というか2人しか居ないし。


 「あなたも新入部員?」


あなたもという事はこの子もそうなのだろう。


 「ええ。」


私が困惑したように返事をすると、それまで机に向って頭を抱えていた男が姿勢を変えず話しかけてきた。


 「じゃあ、君も騙されたの?」


騙された?なんの事だろう。


 「ええっと。なんの事ですか?」


 「まさか何も知らされてないの!?俺たち、あのちっこい先輩の口車にのせられてこの部活に入ったんだけど入ってみたら部員がお入れたち2人しかいなかったんだ!」


は?じゃあさっきの先輩は一体なんだったんだろうか?


 「後で先輩に聞いたら、廃部にしたくなかったからとりあえずいい感じの子を誘ったって。」


なるほどそれで騙された、ね。ということは私も騙されたということになるのだろう。

廃部にしたくないとはいえ、とんでもないことをしてくれたわね。


 「じゃあ、部員ってもしかして私たちだけ?」


考える間も無く答えが返ってきた。


 「うん。」

 「そうだよー。」


これ、どうするの?


先生に入部届を出した時、変な顔になっていたからおかしいとは思ったけど原因はこれだったのか。

あの先生、言ったら入部するのやめると思ってわざと言わなかったな。

恨んでやる。


 「それで、部員が一応全員揃ったことだしこれからの部活について話し合おうと思うんだけどいい?」


話し合う…とりあえずやる方向でいくのか。


 「おっけ〜」

 「ええ、お願い。」


それから、活動日数と内容についての話し合いが行われた。どうやら、先輩からメモを渡されていたらしくほとんど命令で書かれていたため決めることはほぼ何もなかった。

活動はテスト前以外は毎日、依頼はそこそこくるらしい。それ以外の時間は、宿題をやったり本を読んだり遊んだり好きにしていいとのことだった。

本当に自由な部活だ。


 「と言った感じかな。」


 「ふ〜ん。意外と面白そうだね。」


面白そうか。確かに依頼さえ来なければ楽しそうではあるけど、もし依頼をこなせなかった場合はどうなるのだろうか?

想像するだけで面倒である。


 「終わったね。」

 「うん、終わった。」


 「後、今日やる事は〜。そういえば、自己紹介してないんじゃない?」


確かに、私はこの2人の名前を知らない。


 「私は、1年3組朝比奈澪。よろしくね〜。」


 「僕は、1年1組朝比奈悠真。よろしく。」


朝比奈…この2人苗字が一緒なのか。親戚か何かかな?顔もよく見ると微妙に似ている気がする。


 「ああ、苗字が気になった?俺たち双子なの。」


 「そ、私が一応姉。」


なるほど双子。


 「えっと、私は1年4組九条結衣です。よろしく。」


自己紹介を終えて前をみているとなぜか朝比奈(姉)の方がまじまじと顔を見つめてくる。


私、何かおかしなことを言っただろうか?


 「あ、あの?」


 「なるほど〜確かに女王様みたいだ〜」


女王様?なんの事だろうか。

全く話が見えてこない。


 「あの、女王様って?」


 「…知らないの!?九条さん、私のクラスで噂になってたよ?隣の4組に女王様みたいな雰囲気を纏った女子がいるって。」


そんなの知らない。というか初めて知った。私、知らないうちに女王様になっていたのか…

確かに誰とも話さずに1人で窓際にいたけど女王様って、流石の私でも恥ずかしい。


 「お前、失礼だろ。いきなり。」


 「あはは。ごめんごめん。」

 「でもさ、実際話してみるとなんか話しやすいね。」


話しやすい…私が?

いや、話しやすいならよかったけど、まともにコミュニケーションをとってこなかったせいかあまり自信はない。


 「いや、話しやすいならよかった?」


 「なんで疑問形なの。あはは」

 「もしかして九条さんてさ、話すの苦手?」


鋭いな〜。


 「苦手というよりは、めんどくさくていつも1人でいる事が多いから。それが原因だと思う。」


十中八九そうだと言える。このまま話さなかったら話し方を忘れるまでには話してこなかった自信はある。

なんの自慢にもならないけど。


 「ま、それはおいおい慣れていったらいいよ。こいつ能天気だから何言っても大抵のことは怒らないし。」


 「おい〜!誰が能天気だ!私だって怒る時は怒ります〜。」


別に慣れなくていいと思ってしまったのは心の中で留めておこう。

 


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