1 お悩み相談部
私は、人と関わることが苦手だ。
周りと話を合わせたり、少しすれ違うと揉めたりして色々とめんどくさい。
だから私は一人でいる。
そんな私の生活も、高校に入り壊れつつある。
今、現在…
「…九条、お前だけだぞ。まだ部活が決まってないのは!いい加減決めないと、出遅れるぞ〜」
「分かってます。だから今探しているんですよ。」
高校に入って、担任となった橘明里先生は入学してから一人でいる私のことを気にかけてくれている。世間一般ではいい先生かもしれないが、私に取っては少し暑苦しいと思ってしまうところがある。
(望んで一人でいるのだからほっといてくれたれいいのに。)
「あんたねぇ〜、せっかく顔はいいのにそんな目つきしてると人寄ってこないわよ。」
なら、よかった。私としては人が寄ってこないに越したことはない。
「…っあ、そうだ!今日掲示板で、まだ部員募集している所の紹介が貼り出されるらしいわよ。」
「行ってみたら?運が良かったら勧誘してもらえるかもしれないし〜。」
最近、さらにしつこくなってきたきがする。早く決めろということかしら。
「気が向いたら行ってみます…」
「う〜ん、気が向かなくても行ってちょうだい。」
…大体、この学校はなぜ部活動が強制なのだろうか。学校とは勉学にはげむところであって無駄なことをするところではないと思う。
まあ、私は勉強もそこまでできるっていうわけではないけど…
「じゃあ…行ってみます。」
「うん。行ってらっしゃい。」
はぁ、とりあえずみるだけ見てみましょうか。
(確か掲示板は、別校舎の〜)
(あった。)
掲示板はあったけど、残っているのは5枚程度しかなかった。しかも、どれも絶妙にめんどくさいものばかり。ボランティア部に新聞部、そして登山部。誰がこんなのに入るのだろうか。
それでも、私はこの残された5枚の中から選ばないといけないのか…これ、絶望的じゃない?
私が掲示板の前で頭を抱えていると後ろから両肩を掴まれた。
…なぜ!?
「あ、あの?」
「君、1年生!?」
まあ、私は1年生だけれど。もしかして、部活の勧誘だろうか?
「まあ、はい。一応1年ではあります。」
私の答えに、目の前の先輩?は目を輝かせてさらに詰め寄ってきた。
初対面相手に、馴れ馴れしすぎでしょこの人…距離感おかしくない?
「君、ここにいるってことはまだ部活決まってないんでしょ?良かったらうちの部活に来ない?うち今人いなくてピンチなんだ〜。とりあえず名前おいてくれるだけでもいいから、お願い!」
人がいないって、それって結構めんどうなんじゃ…いやでもこの人、名前を置くだけでもいいって言わなかったけ?
「それって、何部なんですか?」
一応聞いてからにしましょうか。変な部だったら嫌だし。
「気になる〜?我が部はねーお悩み相談所!」
…聞き間違えただろうか?今、相談所とか言わなかったかしら?
それって部活、なの?
「あはは、部活じゃないじゃんって顔ね。でもちゃんとした部活よ!生徒から相談がたまに来るんだけど、それを解決するのが主な活動内容よ!昔は、生徒会がやっていたらしいけど〜いろんなイベントが増えたせいで対応できなくなったんだって。そんな経緯で今こうやって部活になっているの。」
「まあ、それなりに頭は使うかもしれないけど楽しい部活よ。今、1年が2人いるけど楽しそうだし!」
それなりにまともま部活ね。名前だけだったら、とりあえず入ってみようかしら。
「…わかりました。とりあえず、仮ということで入れてもらえますか?」
「おっけー。じゃあ紙ここにあるから書いて先生に出しておいで〜」
準備がえらくいいわね。
ええーっと。名前は、九条結衣。部活名は〜お悩み相談所?部?どちらなのだろうか?
「ああ、そこはお悩み相談部でいいよー。」
…まあなんでもいいか。
サインはした。あとは先生に持って行くだけね。
これ、持って行ったらもう後には引けない気がする。最悪、幽霊部員という手段もあるにはあるけど…
「失礼します。入部届の提出に来ました。」
「おー。九条、思ったより早かったな〜。気に入った所、あったのか?」
気に入った所なんてあるはずないでしょう。
「気に入ったというより、勧誘されました。あ、これ入部届です。」
私が入部届を渡すとなぜか驚いたように目を開き、紙と私を交互に見てくる。なぜ?
「お前、これ本気か?いや、お前が決めたならいいが…まあ、頑張れよ。」
なんだろう。釈然としない。確かに部活かどうか怪しい名前だけれど、言いたいことがあるならはっきりと言って欲しい。
ま、何にせよひとまずやるべき事はやったしやっと家に帰れるわね。
これでこの担任からもとやかく言われないはず。
多分?
「それでは失礼します。さようなら。」
「ちょっと、何帰ろうとしているのよ〜。お悩み相談部の活動は今日もあるわよ?」
…え?




