第7話
とりあえず事件は解決したのでそのまま学校は行った
そして学食で早めの夕食を摂りながら考える
というか。
こっちにもでるんだ……
多分だけど世間でニュースとかになってないことを考えると、今のところモンスターの出現はあいつらだけだとは思うし、もしそうなら明らかに俺となにか関係がある
雑な考察だけど、俺が向こうの世界と行き来することによって特異点になっていて、二つの世界がどうのこうのになってるに違いない
でも、向こうからこっちに来る条件は不明だし
俺にはどうもできないよな
もちろん向こうで生きていくためになら冒険はするしその過程で出会ったモンスターは倒す
そうなるとまたこっちにモンスターが出るのかもしれないけど、そのときはまた倒す
法則はわからないから対策はできないしなー
もし何か起きたとすればそれはこのルールを作った異世界の女神様のせい……
もしこの先向こうの世界でもっと強力なモンスターを倒すことになって、それがこっちの世界に出るようなことがあったら……そのときはどうなるんだろうな~
とか思わないことはないけど、まさかそんなことはないよな
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
この時、俺はとても大事なことを忘れていた
向こうの世界で最初に戦った最強の存在
『カオスドラゴン』のことを
でもまあ、それはまだ先のお話
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
向こうの世界で倒したモンスターとこっちに入り込んでくる事象がリンクしているのであれば、この先どこかに『砂漠の皇帝』デューンエンペラーや、一個小隊のオークがやってくるはずである
そして俺が異世界と行き来しだしてからいた場所に湧くのであれば、出そうなのは通学路の国道や、買い物で寄っているスーパー周辺や、大学構内……
でも脳内で索敵レーダーに意識を集中させるも、検知範囲内にモンスターを示す赤い光は存在していない
今のところ何か起きそうな様子はない
「ねえミナト君じゃない?」
「うわあ!!」
至近距離で背後から声をかけられて俺は思わず飛び退った
あまりにもレーダーに集中するのはヤバいな。きをつけよう
「え、何?急にゴメン!」
振りむいたところに立っていたのは大学の同級生、日枝薫
小柄で眼鏡。成績トップの才女である
「考え事してたからつい」
「なんかすごいキョロキョロしてたからどうしたのかなって。探しもの?」
なかなか答えにくい。けど確かに不審な動きだったかもしれないので誤魔化すのも良くなさそうだ
「探し物というか探し人というか」
「ふーーん」
あまりいい回答ではなかったか
日枝さんは頭がいい。それは勉強だけにとどまらない
何を探しているかに興味を持たれると変なことになりそうだ
「お邪魔じゃなければ手伝おうか?」
ほらきちゃった。返答がまずかったようだ
表情から察するに、今彼女の胸裏を支配しているのは明らかに親切心ではなく好奇心である
彼女と舌戦を行っても利点は全然ないし、この状況を説明しきるのはおそらく無理だし、仮に全てが伝わったとしてもロクなことにはならないだろう
よって返答はそつなく
「あ、いや、今はいなさそうだから大丈夫」
( 一一)
「ふーーーーん」
何がお気に召さなかったのか……彼女の目がちょっと細くなっている
俺は日枝さんとプライベートで話をするような仲ではないが、クラスの飲み会のような場所で多少話をしたことはある
その時の印象としては頭の回転が速く、場の空気を乱さないよう謙虚にふるまう人であった
なのにだ
今目の前にいる日枝さんは明らかにこの場の空気を乱そうとニヤニヤしている
何がこの人の心の琴線に触れたのか全然わからない
「じゃあ、また……」
彼女の視線を切ってその場を強引に離れようとしたのだが
「そういやさ」
「な、なんですか」
まだ何かあるのか?
「なんで敬語?そういえば今日学校近くの神社に雷落ちたの聞いた?」
あー……俺の雷魔法IVね
下手なごまかしで矛盾を突かれるとますますややこしいのできちんと答えよう
「ちょうど俺が学校行くときに落ちたからなんとなくは知ってる」
「そうなんだ。なんか雷落ちたとこにいた人の話だと、その前に隕石みたいなのがあったらしくてさ」
俺やん。隕石じゃなくて実は人間なんよそれ。
確かに普通に考えたら落下物も落雷もちょっとした話題にはなりそうな出来事だ
それが同時期に同じ場所に起きたら噂にもなるか
「そうなんだ!実際に見たわけじゃないからそれは知らなかったな」
「ふーーーーーーん。やっぱり何か隠してるな~?」
何故?何かまずいことでも言ったか?
「え、なんで?」
「まず。なんで?って答えるのは思い当ることがある人なのさ」
「うおっ」
「そしてなぜそこに確信があるかというと、私そこにいたもん」
「」
嘘でしょ
確かに周囲の人にはそこまで注意を払わなかったが、そこまで大勢の人がいたわけではないし日枝さんがいたような記憶はないが…
「君は今、私があの場所にいなかったはずだが…!とか思ってるでしょ。実は私、週末だけあそこの神社でバイトしてる」
!!
まさかの参拝客じゃなくお宮の中だったか!!
「君はあのとき落雷の現場にいた。だから境内の杜の中にクレーターがあったのを見ていたはずなのに、なぜかそれは知らないふりをした。つまり自分がそこにいたことを私に悟られまいとした!怪しい!」
なんて鋭いやつ
顔は笑っているが、生半可な返答では私の事は誤魔化せないぞと顔に書いてある
「さあ生半可は返答では私は誤魔化されないぞ」
言ったし
さあどうする俺
落雷が実は魔法だとは気づいていないもないだろうし、モンスターのことなどは当然わからないだろうが、その関係性を疑われたくなくて無関係なことを装ったのが裏目に出た
「ああああああ」
「急に何!?」
突然のできごとに、俺は思わず日枝さんの方を指さして大声を上げた
正確には彼女の立っている場所の向こうの光景に対してである
俺たちは夕暮れ時のスーパーの駐車場で先ほどの会話していたのだが、店の中にちらっと見えたものがあった
「やばい出た」
「何が!??」
オークです
店の中うろちょろしてます
「行かねば」
「このタイミングで!??」
俺は背後で叫ぶ彼女を残して店内に向かった




