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第6話



こちらに戻ってきてまず確認したのはカレンダーだ


元々ソーファンの世界の一日は地球時間では1時間である

つまり時間の流れが24分の1


今回向こうにいた時間は(日照時間から推察するに)ほぼ丸2日ぐらいだったので、もしその法則が適応されているのであれば経過時間は2時間ほどのはずだが…


うん。やっぱりそうなってる


この奇跡的現象を起こしているのが向こうの女神様なのか何なのかわからないが、とても丁寧な造りだ


とはいえあまりにも長い時間滞在すると日常生活に支障をきたすので気を付けたい


それよりもさっきのオークよ!


ここにいるという事は俺が使っている扉を勝手に抜けてきたのだろうか

だがマリチですら使えない扉をただのオークが使えるとかあり得るのか?


しばらくは町の様子を警戒したい


と思いつつ


今日は朝起きてすぐ異世界で衝撃的生活をしていたので研究室での日課の作業をしていなかった

こちらの世界ではたった二時間とはいえ身体的には普通に数日たっている

しかも環境の急激な変化でどっと疲れているが仕方ない


大学までは自転車で10分ほどだ


大学までは少し坂を上り下りする

そして途中の小山には神社があり、そこの階段を上ると少しだけ町が見渡せる


そんなことを考えながら走り抜けようとしたが、俺はとっさに急ブレーキをかけた

自転車の後輪がわずかに浮く


ソーファンの世界では自分の向きや立ち位置を把握するミニマップがあり

そこにNPCや敵キャラが色違いのポイントで表示されているのだが…


この世界では反応しえない、敵を示す赤のポイントが脳内のミニマップに映し出された


場所はこの斜め上……

神社の境内だ


まさかオークに続いて別のモンスターが現れた?


念のため準備をしておこう

「……エクスカリバー(オート回復)、イージス(魔法防御特大)」

防御重視の装備に切り替えながら階段をてくてく上る


運悪く今日は土曜日だったらしい

境内にはそこそこの参拝客やお散歩中の人がおり、なにやらお社の奥の茂みの中に人だかりができている


静かに近づいて皆の視線の先に目をやると……


いやこれ俺がさっき落ちてきたクレーター!!

……だけど、皆が見ているものはそこではなくその周辺をうろついている巨大ガニ


どうみてもあの色味と巨大さは昨日爆散させた密林の王キンググローブだけど、周囲に餌になりそうな人間がいるにもかかわらず、うろうろするばかりで何もしていない


しかも周りの人々のざわつきに耳を傾けていると少し違和感に気づく


「なんかあそこだけ草が動いている」

「ガサガサと謎の音だけが聞こえる」

「陽炎のようにあの一体の光が揺らめいている」


……もしかして俺以外の人にはモンスターが見えていない?

それでいて存在はしている?


ブンッ

ガサガサッ…!


キンググローブが大ハサミを振り回し、木が大きく揺れた


『なんだなんだ…!』


集まっている人たちの足が数歩下がり、人の輪が少し広がった


現実世界の人間に対しては敵意がなかったとしても、物理的にこちらの世界に干渉できているのであればこれはいつか絶対事故が起きる


なんとかして目立たないようにこいつをやらなくては…


ソーファンの世界の服装指定は実は防具だけである

抜刀して攻撃をするときは武器は見えるのである


どんなに一撃で屠ったとしても一瞬は見えてしまうし、魔法で倒すなどしたら大目立ちである

……いやまてよ


俺は少し距離をとって黒の魔導書を取り出し攻撃魔法の準備をした


そこからゆっくりと観衆の視線を集めないように移動しながらカニの方に向かおうとする

その瞬間だ


グギョッ!!


突如目覚めたようにキンググローブが俺に反応して爆走してきた!


予想してなかったわけではないのだが、もしかして俺だけ認識されてて、それには通常の敵対反応をしてくる!?


『なんだ!!!??怪物!!!??』


しかも周囲の反応からして明らかに可視化されているようだ

俺しか倒せないのに、俺に敵対心を発生させると実体化するとか厄介すぎるだろ


指先で敵の位置を指し示しつつ

「雷の精霊(よ、一条の光となって敵を撃て)」

一瞬呟く


ドン!!!


『うわ!!!』


空から極太の雷が落ち、一瞬にして海鮮居酒屋の匂いが辺りに立ち込める


一瞬で焦げ付いた密林の王は、そのまま光となって消えていった


突如現れた謎の生物に対し、偶然空から落ちてきた雷が直撃

しかも場所も神社という神秘的な空間である

これできっとうまい具合に都市伝説になって終わる……といいけど


にしても俺が出てきたところと同じ場所に敵が出るというのは偶然とは思いにくい


ただ、もし空に在った扉から出てきたのであればそこから何百メートルも自然落下して、あんなにデカくて密度の高さそうな物体は勝手に粉々になってそうである


しかも出てきているのは今のとこ俺が向こうの世界で倒したことのあるやつばかり

(とどめ刺したのはマリチだけど


無関係であってほしいけど……絶対関係あるよなあ

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