42 地龍と地竜
2話投稿です。
地竜の数は10体?いや、それ以上いるな。
流石に全員をいっぺんに相手にするのは無理だ。まず相手の力がどれ程のものなのか分からない限り、あの集団に突っ込むのはきついな。
あ、確か俺には鑑定のスキルがあったはず!今使わなきゃいつ使うって話だ。
群れの中でも人一倍デカく、圧を感じる奴がいる。
ん?待てよ、奥のやつ…翼が生えている?
あれって地竜じゃなくて、地龍じゃないか?
とりあえず鑑定さん、よろしく頼むぞ。
『地龍 アース LV87 ステータスの鑑定に失敗しました』
《熟練度が一定に達しました。スキル『鑑定LV3』が『鑑定LV4』になりました》
やっぱり地竜じゃないか…それにレベル87だって? 化け物じゃねぇか!
後、肝心のステータスの鑑定に失敗してるし。レベルが上がったならもう一度だ!
『地龍 アース LV87 ステータスの鑑定に失敗しました』
《熟練度が一定に達しました。スキル『鑑定LV4』が『鑑定LV5』になりました》
おー上がった上がった…で、ステータスは?
上がりはいいけど、ステータスの鑑定はどうしたよ。
はぁ、三度目の正直だ。次は頼むぞ。
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地龍 アース LV87
ステータス
HP:8500/8500
MP:5400/5400
SP:3000/3000
攻撃能力:4200
防御能力:6100
魔法能力:3300
速度能力:5200
抵抗能力:4100
『スキルの鑑定に失敗しました』
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あー無理。これは勝てないやつだ。ステータスなんて見なきゃ良かった…。
せめて地竜だけでも弱くあってくれ。
俺はそう願い、鑑定を発動させた。
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アースゲラルド LV24
ステータス
HP:1800/1800
MP:1540/1540
SP:1200/1200
攻撃能力:820
防御能力:930
魔法能力:500
速度能力:520
抵抗能力:430
『スキルの鑑定に失敗しました』
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地竜に関してはHPとMPは多いが、その他の平均基礎能力は低い方と見た。
こいつならまだ何とか倒せるかもしれないが、地龍のやつがどう動くかによって状況が変わる。
手出ししないでくれれば1番助かるんだろうが、そんな事は無いよな。
「グガァァア!!!」
『まぁ、そう怒るなよ』
鑑定の方に集中してたら、もう近くまで地竜達が来ていた。
この場で油断は禁物だったな。
俺は『身体強化』と『硬化』を発動し、『鋭利』と『状態異常攻撃』を常時発動に切り替えた。
そしてこの場に『痺れ粉』を発動させ、地竜達の動きを鈍らせる。
土魔法である 『岩創造』を使い、少し前に踏み場を作る。
そして『クイック』を使って、素早く作り出した岩を蹴り、地竜の頭上に移動し、身体強化で威力が増した『真蔓の鞭』を脳天に叩き込んだ。
「グガァ…」
《レベルが25から28に上がりました》
《熟練度が一定に達しました。スキル『身体強化LV4』が『身体強化LV5』になりました》
《熟練度が一定に達しました。スキル『痺れ粉LV3』が『痺れ粉LV4』になりました》
《熟練度が一定に達しました。スキル『痺れ粉LV4』が『痺れ粉LV5』になりました》
《熟練度が一定に達しました。魔法『土魔法LV4』が『土魔法LV5』になりました》
《スキルポイントを獲得しました》
《称号『竜殺し』を獲得しました》
《称号『竜殺し』の獲得により、スキル『再生LV1』『竜力LV1』を解放しました》
なんだなんだ? 称号の獲得によりスキルの解放?
そんな事もあるのか…って今はそれどころじゃない!
「グガァァァァア!!」
俺が地竜の頭の上で称号について考えている所に横から地竜の一体が大口を開いて噛み付いてきた。
クイックで素早く攻撃を避け、隙だらけの首に鋭利で切れ味が上がった両腕を鱗を逆立てるようにして振りおろした。
「グッガァァア!!」
違う地竜が庇う様に前に出てきた。
そのせいで首を断ち切るはずの俺の両腕は地竜の胴体の硬い鱗によって弾き返された。
くそ、こいつらには仲間意識というものがあるのか?
いや、無かったらこんなに大量に引き連れて来ないわな。
最初の地竜が呼んで来たんだろうし。まったく、仲間思いのヤツらだぜ。
「グガァァア!」
風を切る音と共に、大きな尻尾が俺の体に直撃した。
木々を倒しながら、俺はそのまま城近くまで吹き飛んだ。
ぐふっ!? い、痛いじゃないか…。
だから油断するとこうなるんだ。つい別のことを考えちまう。
「オーガ? いや違うな…それより何故、野生の魔物が地竜と交戦をしているんだ?」
「縄張り意識が強い魔物なのかもしれないね」
「馬鹿か?相手は地竜の群れだぞ。死にに行くようなもんだ」
後ろから、先程地竜と交戦していた獣人達の声が聞こえる。
やばい、獣人達は味方であって欲しいぞ。でなきゃ本当に詰んじまう。
恩返しで戦ってるだけだが、間接的にお前ら獣人達を守ってる事になるんだから、俺に攻撃だけはしないでくれ。地竜だけで精一杯なんだよ。
「この魔物から知性を感じられる」
「そんな事が分かるの?」
「いや、ただのカンだが、俺にはそう見えた」
「もしかしたら、僕達の為に戦ってくれてるのかも…」
「魔物に助けられるってのはいい気分じゃないが、今はどんな助けでもありがたい」
獣人達が襲ってくる様子は見られないな。
地竜からも距離を置けたし、今のうちに回復をしておこう。
『回復』
ふぅ、体の痛みが引いていく。こいつはなかなか癖になる感覚だ。
「回復魔法の発動を感じられましたよ…このオーガもどき、回復魔法が使えるようです」
「回復魔法が使える魔物には見えんが…確かに傷が治っているな」
「この魔物、どこかで見たことがあるんだよなぁ。気のせいか?」
喋ってないで手伝え。こうしてる今も地竜の群れは近づいてきているんだぞ!
こいつら、地龍の存在を知らないから呑気にしてんだろ。あの馬鹿みたいなステータス、俺が獣人なら戦うのをやめて、すぐに遠くに逃げてるぞ。
国の門が音を立てながら開いた。
中からは鎧に身を包んだ獣人達がぞろぞろと出てきて、1番先頭に立っている指揮官のような獣人が剣を天に掲げて、森中に響く程の声量で叫んだ。
「地竜討伐隊!!出撃!!」
「「「うおおおおおおお!!!」」」
なんか始まったぞ。門からは重装備を着たやつから、軽装備のやつまで様々だ。
冒険者らしいのが大半の様だな。緊急で集めたんだろうなぁ。
「この勢力なら、地竜の群れが相手でも勝機はあるぞ!」
「見てろ地竜、獣人を敵に回した事を後悔しやがれ!」
「嫌な予感がするなぁ…」
獣人達も動き出したようだし、俺も動き出すか。
んー? ちょっと待てよ? 地竜の群れの動きが止まったぞ。
すごく嫌な予感がするんだが…。
『グガァァァァアア!!!!』
地龍の凄まじい咆哮が森中に響き、大地が揺れ、周辺の木々は吹き飛んだ。
おいおい、何をする気だ? お前が動き出したら洒落にならねぇって!
『我ラノ住処ヲ襲イ、多クノ仲間ヲ殺シタノハ、貴様ラカァ!』
地龍が前に出て広範囲に渡って念話を使う。
「嘘だろ…地龍!?」
「地竜が居るのもおかしいけど、地龍が居るのはもっとおかしいぞ」
「言語を理解し、全員に対して念話の使用だなんて、相当ヤバいよ…」
最初の獣人3人は地竜を初めて見るような感じだった。
地竜に慣れたように戦闘をしていたが、単にこいつらの戦闘力が高かっただけだろうし、地龍の発言に獣人達も困惑しているようだ。
この地龍は、住処を襲い、多くの仲間を殺したって言ってるがどういう事だ?
何か裏がありそうだな…。




