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(変わらない世界)

 ぼくは三年生になった。あれから一年が過ぎたのだ。

 放っておいても、時間というのは勝手に進んでいく。ぼくが適当に学校に通って、適当に勉強をして、適当に試験なんかを受けている間も、時間は我慢強いランナーのように一定の速度で走り続けていた。

 そうして誰もが、否応なく同じ一年という時間を過ごしたのだ。

 けれどその中で、彼女だけがあの時のままだった。

「魔女は歳をとらないのよ」

 彼女はそんなことを言っていた。

「そして永遠に生き続けるの――」

 正直なところ、ぼくは彼女がいなくなったことを、今でも正しく理解できていないような気がする。

 彼女がいなくなったことで、世界からは何が失われたのか。

 彼女がいなくなったことで、世界は何が変わったのか。

 空はやっぱり、青いままだ。

 これからも、ぼくは生きていくのだろうし――

 これからも、世界はこんなふうに続いてくのだろう。

「…………」

 ぼくはそっと、空に手をのばしてみた。

 そこにはやっぱり、泣きだしたくなるような青空が広がっていた。

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