エピローグ
対策室完結!
「しかし暇だねえ・・・」
河原の相談が解決してから一週間。いよいよ11月に突入し、肌寒くなってきた今日この頃。
相談室にはあれ以来誰も訪れていない。
困っている生徒がいないというのは、これほど喜ばしいものはないと、西條先生が言っていたが、用もないのにあそこに箱詰めにされる俺の身にもなってもらいたい。
今は西條先生が文化祭の準備でいないので、屋上でのんびりしている。
あれから剣道部はさらに練習に励んでいるようだ。木崎や河原も、再び快く迎えられたとか。
結局、時間の問題だったのかもしれない。俺は、ただ三人の橋渡しをしただけだったのかもな。
先日、職員室に河原の母親が謝罪に来たそうだ。桐生という先生が親身になって助けてくれたと。今までの不遜な態度を謝りたいと(俺は屋上に逃げ込んでいたので現場にはいなかったが)。
河原よ、気をきかせてくれたのはありがたいのだが、そのせいで豊田に更に目の敵にされてしまった。
まあいいか。割と円満解決ではあるのだし。
「きりっち!!!」
騒がしいな・・・なんだというんだ。
ぜえぜえいわせながら屋上に入ってきたのは夏川だった。
「こんなところにいたのかよ!」
「夏川よ・・・俺の安眠を邪魔するつもりか。お前は本当に・・・」
「対策室に用があったのにせんせいがいねえんだもんよー!こんなところでサボってんじゃねーよ!」
夏川が対策室に用?
「お前みたいなお気楽少年に用はない!俺もない!」
「断言すんなよ!あるっつってんだからさ!ジ、実は藤堂についてなんだけど・・・」
恋のお悩みは相談しないんじゃなかったか・・・?
「はあ・・・めんどくせえなあ。」
「はああ!?そんなこと言ってっと、サボってたこと、涼子先生にいうかんな!」
「ん・・・?涼子先生って誰?」
「ンなことも知らねえのかよ!西條先生の下の名前だろ!?」
なるほどそうだったっけ。知らなかったなあ。
しかしこいつ、生意気にもチクろうというのか。
「仕方ねえなあ。おら行くぞ、夏川。」
「かっこ悪いよきりっち・・・」
何だっつーんだ。こんな暗くなるまでべらべら藤堂への思いをつづりやがって。
あいつ絶対藤堂の好きなタイプじゃねーよ。
ま、途中で来た西條先生に今回のことすげえ褒められたから、悪い気がしないでもないな。
夏川の野郎が結局チクっちまって、チャラになっちまったことに憤りは覚えるが。
そろそろ帰ろうかと思い、校舎を出たところに、あの男はいた。
「やあ桐生君。円満解決のようだな。よかったじゃないか。」
岡本先生・・・か。
「ありがとうございます。」
「しかし、君の観察力は大したもんだねえ。木崎杏理に目を向けようとも、なかなか疑えないよなあ。あの事故の手前・・・ね。そういう意味では、君に子供への甘さはないわけだ。ははは・・・」
「岡本先生、やはりあなたは、わかっていたんじゃないですか?木崎杏理が今回の騒動に関係していると。」
岡本先生は苦笑しながら、
「だから買いかぶりすぎだといっただろう?俺はそんなに頭よくないよ。ただの情報好きさ。」
「あなたは木崎の担任だ。半年休んでいた理由くらい知っていたはずです。そうなれば、河原の言動の不審さにも気づくはず。一から調べてた俺なんかより、真相にたどり着くのは早いはずです。」
ましてや、この人の情報収集能力は、おそらく相当なものであるはずだから。
「ふーん・・・やっぱり観察力は高いな・・・」
岡本先生は真剣な顔でそうつぶやくと、またいつものへらへら顔に戻った。
「ま、どっちでもいいでしょ。生徒の苦しみは取り除けたんだからさあ。君のおかげで。」
この人、いったい何を考えているんだ?
「それより、君の情報をもっとほしいなあ。」
「俺の・・・情報?」
「君が教師を志した理由さ。それがわからなくてねえ。生徒のことを一番に考えている風にも見えないし、教育現場を変えてやろうとする気概も見られない。」
「・・・何が言いたいんです?」
「しかも、君はもう26だ。聞くところによれば、就職は別にしていたらしいじゃないか。教師を目指し始めたのはここ数年。その数年に、君を教師にいざなう『何か』が、あったんじゃないのかい?」
俺は絶句した。まさか、この人・・・・!
「何のためにここにいる?」
「・・・それこそ、あんたに話す必要はない・・・!」
俺は逃げるように岡本先生の横を通り、校門を抜けた。なぜだかわからないが、これ以上話していたくなかった。
「はは・・勘付かれてはいないだろうが・・・もっと面白くしてくれないと、お兄さん困るんだよなあ。」
対策室は様々な人間の思惑とともに、新たな事件を引き起こす・・・
9月某日 K大学附属病院 301号室
「恵美・・・毎日毎日来て・・・・!許せられるわけ、ないのに・・・ ああ、学校行くの嫌だなあ・・・」
「いよいよ明日が退院だろう?おめでとう。」
「あ、あなた誰ですか?いつの間に中に・・・」
「お友達が許せないって言ってたね。もしかして、その眼の傷と関係ある?」
「え・・・・」
「よければ、聞かせてもらえるかな?」
「-----」
「そうか・・・大変だったね。じゃあさ、杏理ちゃん。そんな友達甲斐のない子たちにはさあ・・・
復讐しちゃえばいいんだよ。俺がいい方法を教えてあげるよ。怪我よりとーっても痛い方法をね・・・」
ついに終わってしまいました。
もっと細かくいろんなことを描写してもよかったんですが、これくらいの長さで行きたいと思っていましたので、ご容赦ください。
続きありますのでよろしくお願いします。
また、前向きな感想をくださいね。
ではでは。