プロローグ
「……望月! おい、望月! 起きろ!」
「は、はい! カツ丼より親子丼派です! ……あれ?」
ある中学校の二年生の教室に笑い声が響き渡った。
ーーこのいかにも阿保っぽい答えを返した人物こそ、望月輝夜ことかぐや姫。この物語の主人公である。
「まったく、いくら寝れば気が済むんだ? 罰として、この問題解いてみろ」
「ウゲェ〜! 寝てただけじゃんか、白先きびしー!」
白先とは、「数学と生徒指導、嫌われ役の厳しい白石先生」の略だ。
授業を寝過ごす彼女は立ち上がると黒板に向かい、チョークを手に持った。その手は迷いなく、サラサラと応用の問題を解いていく。
「はい、できました」
「……正解だ。なんで授業は寝てるのに頭はいいんだ?」
「それは、天からの才能としか言いようがないですね」
彼女が「オホホホホ!」と、わざとらしい高笑いを披露すると、またもや教室に笑い声が響き渡る。彼女はこのクラスのムードメーカーだ。今日もお馬鹿っぷり全開である。
しかし、一応「この問題、望月が遅刻した時の問題と似てる」とか、「あ! この問題、輝夜が白先に怒られてた時のやつ!」……といった感じで、役に立つこともあるのだ。
これはいつも通りの一日の風景だった。
「はい、じゃあこれでホームルームを終わります。明日土曜だから学校来んなよ〜! 誰かさんみたいに」
「ちょっと先生、し〜! 内緒にしててよ!」
彼女は秘密をバラされ、唇の前に人差し指を立てる。時すでに遅し、だ。
「起立! 気をつけ、礼!」
「さようならー」
号令と同時に、一日の終わりのチャイムが鳴り響いた。
ーー彼女はまさかこれが始まりの合図だったとは知る由もない。
竹取物語、誰もが知るあの物語を中心とした、
現代風(?)なお話です。
次回は「望月輝夜」です。お楽しみに!




