第8話 旅へ出発
エリナ視点
セレナと別れを告げた私達は黒霧の神殿を目指すため、丘陵に来ていた。
ここに着く途中に何度か魔物に襲われたが、どれも戦ったことのあるような弱い魔物ばかりだった。
「そういや黒霧の神殿ってどれくらい遠いんですか?」
「うーん、このペースで行けば2年くらいかな?」
「2年!?遠すぎません?」
「私達が遅すぎるんだよ」
「はぁ…。まあお母さんのためだし仕方ないか」
そう思い歩きだそうとした瞬間、ある魔物の群れに出会った。
「バッファロン!?」
そう。バッファロンの群れがこっちに向かってくるのだ。
バッファロンは単体でもランクB以上の冒険者がパーティーを作ってようやく勝てるような魔物でそれが群れになっているのだ。
「師匠!逃げましょう!勝てるわけないです!」
私は師匠に逃げるように促した。
「何言ってるの?あんな牛、今のエリナなら瞬殺でしょ?早く魔法で倒してよ」
「はあ!?そんなわけないですよ!」
「とにかくやってみ?何事も挑戦だよ?」
「ああもう!知りませんからね?」
私は向かってくるバッファロンの群れに対して爆発魔法を放ってみた。
ドカーン!
そんな轟音が響き、なんと一撃ですべてのバッファロンを倒せてしまった。
え?終わり?バッファロンってこんなに弱かったの?
私は拍子抜けした。
「どう?やってみないと分からないもんでしょ?後、キモイやつが近づいてきてるから気を付けてね?」
すると、突然地面の中から細長い首のようなものが出てきた。
私はその化物と目が合った。
化物がくるくる目を回転しながら私を見つめてくる。
その時、体が何か温かいポワポワしたもので包まれた。
「バチィィィン!」
私はその瞬間、ビンタされたような強い衝撃を感じた。
「いった!何するんですか師匠!」
「何って洗脳解いてあげただけだよ?」
「洗脳?」
「そう。この魔物は昔はよくいたんだけど今はなかなかいないんだよねぇ。こいつは目を合わせた相手を洗脳することができる魔物なんだよ」
「なんですかそれ?聞いたことがありません」
ん?というか昔?あれ子供だよね?と思ったが、あまり触れないことにした。
「エリナは見てて。面白いもの見せてあげるよ」
そう言いながら師匠は魔力を固めた。
すると不思議な光を放つ石のような固形物ができあがった。
それをなんと不思議な化物の目に飛ばしたのだ!
「グギャアアアアアアアアア!」
すると、化物は叫びながらその場をじたばたした。
「あははは、滑稽だね。目を奪われたくらいでそんな慌てる?」
すると、いつの間にか師匠は何万本にもなるであろう糸を魔力で作っていた。
そして、その糸が化物に一直線に突っ込んで化物の体を形も残さないくらいに切り刻んだ。
私はその瞬間、この人が味方で良かったと安堵した。
「どう?面白いでしょ?魔力を自由自在に操れればこんなことができるんだよ!」
「あははは、できるのは多分師匠くらいですよ…」
「さて、黒幕もやっつけたことだし行こうか!」
私は歩き出そうとする師匠の後ろに付いていこうとしたその時
ドガアアアアアアアアアアアアン!
という音と共に師匠の前に何かが降ってきた。
「ようやく見つけたぞ!ユイよ!」
その正体は小さな子供だった。




