始まりの朝
日本少年野球連盟、通称ボーイズリーグ。
50年以上続く歴史を誇り日本中学生野球の中でも
多くのプロ野球選手、メジャーリーガーを
排出しておりその存在は野球界には必要不可欠と言っていいだろう。
その長い歴史に今、新たな伝説が加えられようとしていた。
.....
東京都・八王子市
「一輝ー!!昼に出発なんでしょ!!
いつまでも寝てないで身支度しなさい!!」
とあるマンションの一室
そこでは普段聞きなれない怒号が早朝に響いた
「星」と書かれた表札が掛かっている部屋だ。
怒っているのはその家主、星友香。
2児の母親にして一家を支える大黒柱だ
「一輝なら今出かけてったよー」
「えー?!こんな朝っぱらに?!」
「そんな朝っぱらから叫んでる母さんも母さんだけど」
「んっ...」
台所に立つ娘の一言に口をぎゅっと閉じる友香。
母に刺々《トゲトゲ》しく当たるのは星家長女の星優香だ
.....
トットットッ...
朝でも日差しが厳しい8月。
1人の少年が軽快な足取りで走る
「世界...今日から...世界...」
なにやらブツブツ言いながら走っている。
彼の名は星一輝
学童野球で全国制覇を成した当時の八王シャークの主将。
中学2年生から入団した桑山ボーイズでは
7期生主将として3度の全国大会出場、
1度の全国制覇を成した。
「せ...か...いぃぃ!!!」
大きな歩幅で近所の公園の入口に踏み出す。
「よーし!ちょうどだ!幸先いいな〜!」
「ちょうどじゃねーし朝からうるせぇ」
「おん??あ!焦斗!」
そんな一輝を呆れた顔で頭をポリポリ掻きながら
公園に入ってきたのは一輝と同じ八王シャーク、そして
桑山ボーイズに所属する天野焦斗
最速145キロの真っ直ぐを放る本格派右腕。
一輝とは学童野球の頃からバッテリーを組む相棒だ。
「うるせーとか言って、焦斗も楽しみなんだろ」
「別にー」
「照れんなよ中学生か!」
「中学生だわ」
2人がそんなたわいもない会話をしていると
「あー!!やっぱここに居た!!」
1人の少女が朝とは思えない大声で2人を指差す。
朝日結。一輝、焦斗と同じ八王シャークのチームメイトであり桑山ボーイズのマネージャーを務めていた女子だ。
父は偉大なメジャーリーガー朝日智幸
祖父はボーイズリーグの重鎮であり
創部3年で桑山ボーイズを全国へ連れていった名将
朝日陽一。
「おー。結じゃん。おは」
「おは!じゃないわよ!
なんでウチの事呼んでくれないの?!ウチだけ
ハブ?!」
「ごめーん」
「俺らも別に待ち合わせしてない」
2人の素っ気ない返事を聞くと結は呆れた顔をする。
「今日の昼出発だよ?!準備できてんの?!」
「おぉ!UNOとかちゃんと準備出来てんぜ!
宿舎でやるんだ!大勢の方がUNOは盛り上がるからな」
「そうだな。UNOは大人数でやるべきだ」
「バカ!!」
楽しそうに話す2人に再び結のカミナリが落ちる
[ボーイズリーグ世界交流大会]
今回で11回目となる開催を迎えるこの大会は
A〜Dの4つのグループに5つの国(計20カ国)が
予選リーグ戦を行い各グループの勝利した
2カ国が決勝リーグ、決勝トーナメントへと進むという仕組みのボーイズリーグ主催試合だ。
表向きは交流試合となっているがリーグ戦、
決勝トーナメント戦が組まれている通り各国の
代表が集まる本気の大会だ。
一輝、焦斗の2人は桑山ボーイズそして
日本少年野球連盟代表の20人に選手に選ばれた。
「一輝〜!ほら早く空港行くよ!!」
「あー分かったよ!今行く!」
朝の集まりから帰った一輝は身支度を整え
家を出ようとしていた。
玄関で待っている母と姉の所へキャリーケース
を引きずりながら歩いていく。
一輝が靴を履こうとした時、姉が言う
「お父さんになんか言わなくていいの?」
「...あぁそうだな。ちょっとまってて」
急ぎ靴を脱ぎ捨てその足で和室へと向かう。
そこには小さいが立派な仏壇が置かれていた。
一輝は手を合わせ念じる
(父ちゃん。俺、世界大会で日本代表選手に
選ばれたんだ。
違う空の下だと思うけど、上からしっかり見ててくれ。俺らが世界一になる瞬間を...!)
〜数時間後、羽田空港〜
「それじゃ一輝。しっかりね!あんまり智幸さんや焦斗、結ちゃんに迷惑かけないようにね!」
「お土産待ってるよ〜」
母と姉の見送りに面倒くさそうにハイハイと答える一輝
「任してください!
一輝はしっかりウチが見てますよ!」
「てかなんで結も行くんだよー。マネージャー
ありなんすか?智幸さん」
「監督と呼べ監督と。結ちゃんは戦略も考えれるから絶対に必要だよねー?」
そう甘ったるい口調で話すのは
今大会日本の監督を務める男、朝日智幸。
NPBで3度の三冠王、メジャーで本塁打王を4回
打点王を4回、首位打者1回、MVP5回と規格外の成績を残した日本人プレイヤー最高傑作と言われた男だ。
ただし娘には甘い。
「おばさん。俺もいるから平気です。」
「おめぇには言われたくねぇなぁ!!」
スンとした表情で語る焦斗に一輝がツッコム。
「そろそろか。それじゃ星さん、天野さん。
大事な息子さん達をしばしの間お借りします。」
35°くらいのお辞儀をする智幸。
「じゃ!行ってくるわ!」
「行ってきます。父さん、母さん」
「行ってきます!おばさん!おじさん達!」
ご視聴ありがとうございました!
今日より再び、ダイヤモンドスター世界編が始まります!
是非最後までよろしくお願いします!
次回更新は3/04、19:00〜です!




