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プロローグ
柔らかな朝目が、玄関の床に差し込んでいた。
リノは小さなカバンを持って、靴を履く。
玄関の正面には、家族写真が飾られている。
リノはいつものように、写真の前に立った。
「お母さん、行ってくるね。」
返事はない。
いつも、そうだ。
でも、リノは笑う。
「今日は街に行ってくるよ。」
「お兄ちゃんたち、見つけてくる。」
「それからーー」
「お父さんにも、会えるといいな。」
写真の中の父は、いつも優しく笑っている。
お母さんは、リノを抱いている。
お兄ちゃんは、一人は少し照れくさそうにしている。
もう一人の兄は、絵本を読んでくれている。
お姉ちゃんは、私の手を握ってくれている。
ーーみんな、大好き。
リノは写真に手を合わせるようにして、そっと頭を下げた。
「絶対に、みんなを連れて帰るよ。」
「約束だよ。」
写真の中の父の笑顔が、
まるでリノの背中をそっと押してくれているようだった。




