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『トリップ ― 神を造る監獄都市 ―』  作者: 溝井
第1章-行ってきます-

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プロローグ

柔らかな朝目が、玄関の床に差し込んでいた。

リノは小さなカバンを持って、靴を履く。

玄関の正面には、家族写真が飾られている。

リノはいつものように、写真の前に立った。


「お母さん、行ってくるね。」


返事はない。

いつも、そうだ。

でも、リノは笑う。


「今日は街に行ってくるよ。」

「お兄ちゃんたち、見つけてくる。」

「それからーー」

「お父さんにも、会えるといいな。」


写真の中の父は、いつも優しく笑っている。

お母さんは、リノを抱いている。

お兄ちゃんは、一人は少し照れくさそうにしている。

もう一人の兄は、絵本を読んでくれている。

お姉ちゃんは、私の手を握ってくれている。

ーーみんな、大好き。

リノは写真に手を合わせるようにして、そっと頭を下げた。


「絶対に、みんなを連れて帰るよ。」

「約束だよ。」


写真の中の父の笑顔が、

まるでリノの背中をそっと押してくれているようだった。

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