088●お茶と夕食
ジンがラベリア郊外を歩いている。もう日暮れが近い。
彼の服装は公国の簡易礼装である。胸にはエンブレム。
それには、ラベンダー公国の紋章。
薄紫地に天使の姿が円や楕円、三角形で描かれている。
手には何も持っていない。
だが、左脇下には拳銃型静雷が、ホルスターに収まっている。
既にグナの国境近くまで来ている。
国境には、近い将来の武力行使に備えた訓練兵の駐屯所がある。
グナの旗がたなびいている。
見張りが気づく。
接近する少年あり!なんか、妙な少年です!
グナの駐屯署の一室にジンはいる。
ソファにゆったりと座っている。男が入ってくる。
「おまえ、本当に、あのジン・ラベンダー・エンジェラムか?マイスターとか、レジスターとかじゃないんだよな?」
「ああっ、本人確認って、案外難しいですよね。詐欺行為をはたらくときに、誰かに成りすます、ってことがありえますからね。」
「そうだ、そうだろ!だあが!この駐屯隊長のミドル・ピッグの目はごまかせんぞ!俺はジン・ラベンダーについて、情報を集めたんだ、1週間もかかってな!」
「それはすばらしい。では、その知識で確かめてください。」
「じゃあ、第1問だ!お前の両親の名前は?」
「で、もう、ネタ切れですか?今までの質問は、公国では誰もがしっている内容ばかりですが。」
「くそぅ!じゃあ、おまえ、本物しか知っていない内容を言ってみろよ!」
「そうですねえ。じゃあ、空の話をしましょうか。これって、両親しか知らないんじゃないかな?あっ、あと、この世界線ではローレンスだったなあ。」
うーん、感動的な話だった!
そうか、大海を知らなくても、空の青さを知る、ってなんか胸に響くよな!
これは、子々孫々に伝えよう!
「よし!おまえはホンモノだ!よくわかった!族長のところに護送することになるぞ!」
「よろしくお願いします。あっ、馬車なんていいですよ。歩いて行きますから。」
「えっ、いいの?そりゃあ、手配しなくてよければ楽だし、他のことに馬車、使えるし助かるけど。ちょっと距離あるよ。」
「大丈夫ですよ。何なら今から行きますか?」
「いや、夜はイカン!危ない連中がでてくるかもしれん・・・。」
「それでは、僕がみなさんを守りますから。」
「えっ、そんなことまで頼んでいいの?いや、確かに族長は急げって言ってたけど。」
「あなたと、あなたと同行する人たちの都合に任せます。すいません、お茶をもう1杯いただけますか?」
「はい!すぐに用意します。おい、聞いただろ!お茶をお持ちしろ!あと、夕食もだ!急げよ!」




