表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/95

047●特異点を穿つ

エンジェラム星間連合・量子重力戦術 観察記録 星雲域民の存続のため より


宇宙は沈黙していた。

だがその沈黙の中心に、重力の咆哮があった。

ブラックホール。質量太陽の十億倍、時空そのものを引き裂く存在。

それは、星々の死骸を飲み込み、文明の記憶を消し去り、

神話すらも沈黙させる‘終焉の中核’だった。

だが、’ジュピター’に恐れはない。

なぜならそれは、神の領域に干渉するために造られた艦だったからだ。


プランク共鳴砲‘オルフェウス’、起動

艦内に響く、重低音のような共鳴。

‘オルフェウス‘が、時空の織り目に干渉する波動を発し始める。

ーマイロード、共鳴波、臨界到達。特異点の量子構造、解析完了しました。

彼は、静かに命じた。撃て、と。


崩壊の前奏曲が始まる。放たれたのは、

光でも粒子でもない、時空そのものを震わせる波だった。

それは、ブラックホールの中心にある特異点の固有振動数に完全に一致していた。

一瞬、宇宙が凍りついた。

次の瞬間・・・

ブラックホールの事象地平面が内側から爆ぜた。

重力波が逆流し、周囲の空間が光の奔流に包まれる。

特異点は、量子的な崩壊連鎖を起こし、自己を支える構造を失った。

それは、まるで永遠の命を持つ聖樹が、轟音とともに倒れるかのようであった。

ブラックホールは、完全に消滅した。

残されたのは、真空の静寂と、’ジュピター’の艦影だけ。

これから、彼と’ジュピター’は、神をも穿つ力を、何のために振るうのだろうか。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ