033●カミ
男たちが口論を始めた。どの神が偉いのか・・・。
「うちの神様はな、その命で過去・現在・未来のすべての人々の罪を背負ってくれてんだぞ!」
「オレの神様は、聖なる言葉を唱えるだけで、確実に天国に迎えてくれるんだ!すごいだろ!」
「そんなのは欺瞞だ!神様の課した厳しい戒律と修練を経てこそ、心の平安が得られる。神に丸投げなんて、おかしい!」
「あんたんとこは器が小さい!神の愛は無償で、無限で、永遠なんだ!」
「俺たちが何もしなくても、見守ってくれてる。信じれば応えてくれるんだ。」
「無償の愛の神なら、信者じゃなくても救ってくれるんじゃないの?」
「神様だって、信者と異教徒は区別するさ。」
「それって、神様にも勢力分布があるってことか?」
「そうだな。神様の聖域奪還のため、信者が剣を持って戦ったこともあるしな。」
「改宗するまで人間扱いせず、異教徒は皆殺しって時代もあったぞ。」
「それは神の意思を受けて戦ったんだ。間違った教えを信じる連中を正しく導くために!」
「じゃあ、無償で無限で永遠の愛って・・・限定発売なのか?」
「限定じゃない!会員になれば割引が受けられるのと同じだ!」
「でも、無料会員のとこもあれば、有料会員のとこもあるよな?」
「有料会員の方が特典が多いんだよね。」
「あんたんとこ、昔‘おフダを買えばすべての罪が帳消しになる’って言ってたじゃないのか?!」
「あれは信者が勝手にやったことで、神様の教えそのものじゃない!」
「じゃあ、同じ神様を信じてるのに、国同士で争ったのはなんで?」
「国と個人の信仰は違う!国が国に侵攻するのは宗教じゃなくて政治の問題だ!」
「でも、宗教団体を母体にした政党って、けっこうあるよね?」
「そもそも、‘もうすぐ世界が終わるから、この神を信じなさい’って・・・それ、脅迫じゃないの?」
「貴様ぁ!うちの神様を侮辱するのか!相手になってやる!」
「いや、あんたの神様って言ってないぞ!そういうパターンが多いって話してるだけだ!」
「おい、じゃあ、こいつのじゃなくて俺の神様のことを言ってるのか?!許せん!」
「なんだぁ、やるってんなら相手になってやる!」
一触即発の空気が漂ったそのとき・・・女たちがやって来た。
「お前さん、何やってんのよ!」
「仕事にも行かず、くっちゃべってるんじゃないわよ!」
「私が働いてるのに、何サボってんの!」
「子どもたちの食べ物、ちゃんと持って帰りなさいよ!」
「言うこと聞かないなら、ただじゃおかないからね!」
男たちは一斉にひれ伏す。
・・・一番こわい「カミさん」だぁ!




