003●高見の見物
ノクティスの艦隊の砲撃が始まった。アストラが応戦する。
司令艦を撃沈すれば、すぐに決着がつくところだ。
しかし、司令艦は、スタンドアローンで動く自律戦闘艦をいくつも経由させて指示を出している。その状況下では、互いに司令艦を特定することは、事実上、不可能と言ってよい。
可能性はゼロではないので、捕捉探知は必須ではあるが、物量戦はやはり砲撃で決まる。
自律戦闘艦同士の激戦となった。
宙域に無数の閃光が瞬く。
轟音は真空の宇宙には響かない。
ただ、目の前のモニターに映し出される無数の爆発が、その凄まじさを物語っていた。
飛散した艦の破片が船体に激突するたび、ブリッジ全体が大きく揺れ、
床や壁から不快な振動が伝わってくる。
グレッグは拳を握りしめた。
アストラの善戦もむなしく、物量で勝るノクティスが徐々に優勢となる。
「よし、このまま押し切るぞ!」
ノクティスの司令艦群では、勝ったというムードが広がる。
「敵の戦闘艦、統率を失いつつあります。集中砲火できていません。各個に砲撃しています。」
「散発的な抵抗になっています。我が艦隊のあんな端っこ、撃っても意味ないのになあ。」
「最前面の大型艦、沈黙!敵司令艦との通信が途絶した模様!」
「敵艦隊、撤退していきます。撤退の先頭に大型艦あり!旗艦と思われます!」
「よし、全ての自律戦闘艦に指示、追撃に移る。沈黙した艦には目もくれるな!司令艦を撃沈しろ!拿捕などという、生ぬるいことは必要ない!行け!チェックメイトだ!」
司令艦群は、高見の見物となる。旗艦周辺に集合し、祝杯をあげる勢いだ。
「もう少し、近づこう。最大望遠で敵旗艦の断末魔の様相を見てやる。沈黙した敵艦の間をすり抜け、最短距離でいくぞ!」
ノクティスの10隻の司令艦群が、アストラの艦艇の間を進む。その最中。不意に警報が鳴り響く!
「後方より、物理弾!」
「9時方向からも、来ます!3時からも!」
「直上、真下からも!!」
「うわあ!」
異常な衝撃が走り、艦内が暗くなる。
「非常電源に切り替わります!」
「被害状況を報告しろ!」
「あっ!機関部だけやられてる!生命維持関係のみ稼働中!」
「なんだと!ということは・・・・もう、動けんということか!」




