026●神の教えに忠実であれ
わしらの神が予言して、もう3000年、だと思うのだが。
まだ、終末は来ないのか?選ばれた信者だけが、救われるはずだ。
爺さんのそのまた婆さんの爺さんの婆さんの爺さんの婆さんの爺さんの婆さん・・・の代から信仰を守ってきた。
「長老、神への捧げ物で、我々は食べるものが、もうありません。」
「このバチあたりがあ!信じる者は救われる!必ず、神が救いの手を差し伸べてくださるのだ!捧げ物は多いほうがいいんじゃ!」
「でも、もう限界です。食糧を調達しないと・・・。」
うーむ、それはそうだな。村には何もない。他の村々にお願いに行くとするか。
よーし、いいぞ。この調子なら、捧げ物が今までどおりでも大丈夫だ。
なに、借りは返す。いずれな。
飢饉だ!なに、もう村々も食べ物を届けることができんだと!
しかも、少しでもいいから返してくれだと?!
うちだって、ギリギリだ!何をいっているんだ!
ええい、断れ!
うるさい奴らだ。なに?隣村と揉めた?
喧嘩になったのか?殴られた?こっちもやり返したのか!
えらいぞ!向こうから手を出してきたんだな!
いや、頷けよ!そうだろ?!そうなんだろ!うーん、やはりそうか!
うちも食糧が尽きそうだ!
うーむ、やむを得んが、いい機会だ!
クワを持て!
近隣へ行って、奪い取るしかあるまい!
村境に到着した。誰かいる。
子どもか?少年だ。
だが、あの落ち着きぶりはなんだ?
手を広げてわしらを止めようとするのか?笑止!
神に守られた我々を追い返すことなど、出来ようはずがない!
村人はすごすごと帰って来た。
ジンと名乗る少年が、大量の食糧を背後に持っていたからではない。
その提供を約束してくれたからでもない。
少年は穏やかにこう言った。
「あなたたちの神は、右の尻を叩かれれば、左の尻を差し出せ、と言ったのではないですか?あなたたちのやっていることは、神の教えに沿うものなのですか?」
神の教えを守らない者は、最後の審判で救われないよ・・・。




