018●嘘の塊 その3
ヨーダ提督をはじめ、司令官たちは何が起きているのか理解できない。
自分たち「そっくりな艦隊群」が突如現れ、破壊されていく、ように見える。
それに伴い、自軍の自律艦が次々と沈黙していく。
気がつけば、航行しているのは旗艦と司令艦のみ。
合わせて100隻。
それを取り囲むのは、アストラの戦闘艦艇70万隻。圧倒的な物量差。
勝敗は決した。
「嘘の塊ですやん。」
「まあ、グレッグ、嘘も方便というじゃないですか。」
勝利に本気で興奮する私に、ラベンダー提督がいつもの穏やかな声で言いはる。
ちなみに’言いはる’は尊敬語やで。
’言うたはる’という、もっとはんなりした表現もあるけど。
積み荷はヴォイドで卸された。
自動組み立て式の、見かけは敵の旗艦・司令艦にそっくりなハリボテ艦。
操縦するのは、たった100人。
攻撃能力の欠片もない。
だが、もしノクティスの自律艦の「敵」の索敵能力に、
多くの比重がかかっているとしたら?
そして、相対的に「味方への認識能力」が低下し、
それらのハリボテを「本物」と誤認したら?
さらに、それらの「本物」が、一気に「殲滅されたように」感知してしまったら?
自律艦は、どんな解釈をし、どんな行動に出るのか?
実際にやってみてわかった。仮説と検証は面白い。
名演技の100人が帰って来る。宇宙空間では聞こえないが、みんなが拍手!
「提督、こんな作戦、人類の歴史で初めてとちゃいますか?すごいです!」
感動する私に、提督は静かに応えられる。
「いえ、随分昔に、ハリボテ戦車の例がありますよ。」
どれくらい前なのだろう?
データ、残っているかもしれん。
後で確かめよう。
あれっ、落ち着いてきたようだな、わたし。
「提督、嘘の塊の戦術が成功裏に終わったのですから、アレ、ご馳走してくださいよ。」
「アレ?ああ、スキヤキ風味の牛脂ですね。いいですよ。作ります。だけど、グレッグ、注意してください。アレは食べた後も、読んだ後も、苦しくなることがありますから。」
読む?どうやって、あの、「脂肪の塊」を?
食べすぎたあ!提督、モーパッサン、いや違った、モー、タクサン!




