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「けひ」
「ーーーー!!」
地獄のような現実はまだ続いていた。「ワイバーンをボコる」といったナイア。空での地獄がシュブなら、地上での地獄はナイアだった。
生きたまま地面に落ちたワイバーンはシュブが自分の背中からいつの間にかスクナたちのところに戻っていることに気付いた。折れた翼と血の出ない、なくなった翼に怒り狂い、威嚇のためにまだ無事な長い尾を、地面に叩きつけようとした。
「けひっ、けひひひひひっ」
それより先に、地面が揺れた。いや、ワイバーンは自身の身体が揺れたのだと後になって気づいた。厚い皮膚の背中に熱い感覚。ついでのたうち回るような痛みが襲う。痛みに声が出せない、出せる声も、先ほど奪われたが。
痛みに声なき悲鳴を上げながら、熱い部分を見る。今まで一度として傷つけられたことのない身体から、血が吹き出していた。
続いて左足に、右足に、長い尾に、身体が揺れるごとに熱いとしか感じられない衝撃と痛みが襲ってくる。そんな様子を見て。
「ーー!」
「けひひひひひっ」
嗤っている存在が、化け物が恐ろしい。なのに身体はもうどうにも動かなくて。もう熱くて痛くない場所などなくて。悲鳴はいつの間にか懇願に、命乞いに変わっていた。もう終わってほしいと言っているのに。
焦れば焦るほど伝えられない。腹を見せて従順を示せば腹を殴られ血を吐く、腹を守れば硬い皮膚を破って殴ってくる。
従順も反抗も、等しく嗤いながら殴られて終わる。
皮が覆っている場所だろうがそうでなかろうが、化け物に殴られ続け。ワイバーンはもう感覚すらなくなりそのまま絶命したのだった。
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