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服部ひな

久しぶりの投稿です。

 とある昼休み。渉が、クラスメートと駄弁っていると、教室の入口から、肩口で切りそろえた髪の一部をハーフアップというか、若干ちょんまげぽく結った背の高い女子生徒が、ひょこっと顔を覗かせキョロキョロしている。

 どうやら誰かを探してるらしい。渉は、その女子生徒が部活仲間だった為、声をかけた。


「よぉ、うちのクラスに何か用か?『嫌味姫』」

「ぬー、そのあだ名で呼ばんといてや。橋田渉。うちにゃ、服部ひなっていう名前があるんじゃけ」


 と女子生徒、服部ひなは、苦虫を噛み潰したような顔で渉に言い返した。

だが、渉はどこ吹く風だ。


「へーへー。悪ござったな。だけどお前が、嫌味で先輩を論破してからついたんだからさ」

「ぬー、はがええ(むかつく)」


 ギリギリと歯噛みしながら渉を睨むも事実だから言い返せない。

 『嫌味姫』というあだ名の元となった事件は、ひなと渉が所属する吹奏楽部で先日、先輩が「前から思ってたんだけど、あんたの喋り方キモいんだけど」と言われた事にキレて、ひなが嫌味を交えて論破した姿が、高飛車な姫に見えた事からついたあだ名だ。

 ちなみにそれ以来、ひなは吹奏楽部へ顔出してない。

と話がそれた。その事にひなも気づいたようだ。


 

「って、うちゃ、こがな話をしに来たんじゃないんよ(こんな話しに来たんじゃないのよ) ねっミズキおる?」

「ああ、あそこにいるぜ。てか、服部

ミズキと知り合いなのか?」

「うん、趣味の関係で」


 ひなは、失礼と言って、教室のストーブの近くで他の女子や健人と話してるミズキの所へズンズンと近付く。

(くだん)の嫌味姫の噂が、一年生じゅうに広まってるせいか、コソコソと話す声が聞こえるけど、そんな事を気にしてない風で、堂々とひなは、ミズキに近付いた。


「ミズキ、この本、ありがとう。おかげで、めっちゃ助かった」

「そお、よかった」

 とひながミズキに返した本のタイトルを側にいた健人が、見て驚いた表情でひなを見た。


「きみ。編み物なんてできるのか?」

「あっ?ウチが編み物できんの、そんなに変なん?」

 ひなは、ムッとした表情で健人を見た。クラスで散々驚かれたので、健人もクラスの連中と同じ穴のムジナかと思ったが、健人の反応は違った。


「違う。俺も手芸が趣味なんだよ。男だし古流の武術やってる関係で、こんな体型だから、服部さんみたいに驚かれるけどな。誤解させたんなら謝る。すまない。さっきも言ったけど俺の趣味は、手芸なんだ。編み物は興味あるけど、難しそうだからな」

「あっほうなん。ウチこそごめんなさい。クラスで、散々驚かれけぇ、キミもそうなんかと思ったん。編み物は、ばあちゃんから教わったんよ。今度のバレンタインに幼馴染がマフラーくれーって言うけぇ、ちょっと手のこんだマフラーを編もう思うたんはええけど、ウチ手芸部じゃないし、かと言って編み方の本持っとらんし、困ってクラスの娘に相談したら、1組の転校生が手芸上手いって言うじゃん。それで紹介してもろうた訳」

「ふーん。ならいっその事、手芸部に入ったらいいじゃないか」

「あっそうか」


 ひなは、健人の提案に素直に納得した。

後日、ひなは、吹奏楽部に退部届を出し、代わりに手芸部へ入部したのだった。

これがのちに、『中島中のトライアングル娘』と称される三人組。真央とミズキとひなの友情のキッカケになったのだった。




 


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