王都にやってきました。
ここから新章です。
新たな場所に移動し、今度はどんな展開になるのでしょうか?
二人の中は進展するのか?
相も変わらず私にもわかりません(笑)
生暖かな目で見守って下さいませ~(*´ω`*)
私は今、サンフェリオ国王都サンルートにある、とある貴族の家のリビングで紅茶を飲んでいた。
その隣には、瞳をキラキラと輝かせた小柄な少女が私を見つめている。
な、何故だ。
何でこんな展開になったの、私ー!!!!!
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私は指輪を外して貰うべく、王城に戻ったというディーの後を追って王都へとやって来た。
馬車で向かうには1週間は掛かる辺境の街サッシュ。だが、私には馬車なんてそんなもの必要ない。
私にはルイがいる。
風の精霊の力を借り、人目を避けて夜の空を渡る。 そうやって1週間掛かるはずの旅程を2日で王都まで来てしまった。
でも、実はそれが問題だったわけで…
「…え、今なんて?」
「ですから、ディースレイド殿下が乗っていらっしゃる馬車は、まだこちらには到着していないのですわ」
なんということでしょう!!
まさかの追い抜きをしてしまったらしいです、私。
アリアは途中で気付いたみたいなんだけど、シュヴァルトの森と、サッシュの街しか知らない私は、思いの外知らない土地に行けることが楽しみだったらしい。
気付いたら、アリアの制止の声にも気付かず王都サンルートまで来てしまった。
「ど、どうしよう?」
「とりあえず、待つしかないのではないか」
途方にくれていると、フェイがそう提案してきた。まぁ、ぶっちゃけ今来た道を戻ろうとしたら、最悪更に行き違いになる可能性がある。だったら、素直にここで戻ってくるのを待ち構えていた方が手っ取り早い。
そう思った私は、ディーが戻ってくるまでの間、どう過ごそうか話し合うことにした。
「まずは、宿でも探そっか。………ここにいたら、無駄に目立ちそうだし」
「…それもそうですわね」
そう。今、私達は街に行き交う人々から熱烈な視線を浴びている。
何故ならば、私の周りには4人の守護精霊達が揃いも揃って人型で顕現しているからだ。
普段は人目を考え、妖精の姿で人に見えないように一緒に街に行くことが多いけれど、ここは住まいとは遠く離れた王都。
何か会ったときにすぐ動けるように、全員が人型を取ることになった。
元々精霊とは神秘的な存在で、容姿が優れた者が多い。それが上位精霊であれば尚更のこと。
そんな上位精霊である私の守護精霊達は、例外なく見目麗しい。
注目されないはずがないのよね。
ちなみに、普段は人前に姿を現すことが殆どない彼等は、森にいるときは軽装だ。
ザ・精霊!とでも言えばいいのかな?
布地の少ない衣をその身に纏っている。
リリーは、この世界の住人にはあり得ない膝丈よりも短いスカートだし、フェイもいつも肌の露出が多く、始めの頃は目のやり場に困ったものだ。
そんな彼等だけど、今は人型で街を歩くということもあり、私達人間と同様の服を着ている。
これがまた皆麗しいんだよね!
この世界には様々な人種の様々な容姿の人がいる。だから、ルイやアリアのような髪色も容姿も決していないわけじゃない。
けれど、それがこんなにも一堂に会していれば、何事だと周囲が思っても可笑しくない。
むしろ、私が街人の立場なら、絶対野次馬していた自信がある!それくらい、皆目立っている。
ルイは淡い緑色のさらさらな髪を肩の辺りまで伸ばして、その瞳は深緑色をしている。シャツにズボンという至って普通の庶民の格好なのに、ルイが着るだけで、まるで貴公子のような風貌になるこの不思議。
なんなんだろうね。息苦しいのかボタンをいくつか外しているせいで、その首元からただならぬ色気が漂っている。
アリアは、普段は下ろしたままの透き通る水色の長髪を器用に編み込み、後ろで束ねている。
淑女教育をするようになってからアリアは元々着ていた絹のような薄地のワンピースではなく、侍女のお仕着せのような服を好んで着るようになったので、本日も控えめな黒地のワンピースに白のブラウスといった地味めな服を着ている。
なのに、アリアからはどこぞのお嬢様か?と疑いたくなるくらいの気品を溢れさせ、その麗しい顏と魅力的な体型に街行く男達がちらちらと熱い視線を向けてくる。
フェイの今日の出で立ちはこちらもやはり簡易なシャツにズボンという格好なのだけど、その腰には長剣が下がっている。
今まで必要がなかったので知らなかったのだけど、フェイは剣技が得意なんだって。護衛と威嚇の意味も含め、剣士に扮している。
それがまた精悍な顔立ちに赤髪がよく映えて格好いい。190センチの長身に程よい筋肉もあり、まず間違いなく気弱な男は寄り付いて来ないだろう。素晴らしき、ボディーガード!!
リリーは皆の中で1番のお洒落さん。
街の流行に敏感で、いつも最先端の洋服を好んで着ている。今日もいつ流行りを調べたのか、サンルートの最先端ファッションだという可愛らしいピンク色のふんわりとしたワンピースに腰回りに大きな赤いリボンを巻き、その色と同じリボンをツインテールにしたオレンジ色の髪にもつけている。
愛らしい容姿はやはり周りの男性達の目に止まり、物凄く注目を浴びている。
全員が街で集まったところを見たことがなかった私は、想像以上の注目度に驚いた。
これ、私が1番霞んでるんじゃない?
初めて湖でこの身を映したときから、可愛らしい容姿だと思っていたけれど、こうして皆と歩いていると自分が平凡になったような気がした。
そんな呑気な感想を持っているとは露知らず、周囲の目線は1番マリーに向けられていた。
プラチナの髪をふわりとなびかせ、その下には白く華奢な手足。白のレース付きのブラウスにハイウエストのえんじ色のスカートを纏い4人の麗しい男女に守られるように歩く少女。
お忍びで来た近隣の王女様か?と街では噂に尾びれがどんどんついていってることを、マリーは知らなかった。
そんなときだった。
宿屋を探している途中に女の子の悲鳴を聞いたのは。
マリーは一目散に声のする方へ走った。
それを4人もすぐに追い掛けた。
声を頼りに、大通りを離れ小道に入ると、そこには1人の女の子を無理やり馬車に連れ込もうとしている男2人の姿があった。
「その手を離しなさい!!」
マリーは咄嗟に叫んだ。
突然の叫び声に驚いたのか、男達は一瞬少女を掴んでいた手を緩めた。
その一瞬の隙を逃さなかった。
私は彼らに気付かれないよう、無詠唱で風の魔力を込め、馬車の車輪を破壊した。
その突然の出来事に驚き、視線が少女から離れた。その隙をついて今度は少女の手を引き、こちらに引っ張り抱き寄せた。
当然男達は少女を奪われ激昂して襲い掛かろうとしてきたが、私と彼等の間にルイが立ちはだかり、男達はフェイに剣を向けられあっさりと投降した。
「お前な、あまり無茶するな。何かあったらどうする。」
「ルイ達が助けてくれるって信じてたからね。
皆がいなかったらこんな無謀なことしないよ。」
ルイは眉間にくっきりと皺を寄せ、苦いものを噛んだような表情をする。
また心配掛けちゃったみたいで申し訳ない気持ちが湧いてくる。でも、咄嗟に動いちゃうんだもん。仕方ないじゃない?
その後、街の警護をしている騎士団に彼らを引き渡し、宿屋探しを再開しようとしたら、少女を迎えにきた父親にお礼をしたいからと強引に家まで連れてこられた。
お茶を勧められ、ソファに案内される。だけど、ここであまり長居するわけにもいかない。なので、ルイがこの街に用があり、暗くなる前に今日泊まる宿屋を探したい旨を伝えると少女が父親に何かを話し始めた。
話が終わると、少女が嬉々として提案してきた。
「マリーお姉さまはお宿を探しているのですか?でしたら、我が屋敷にお泊まり下さいませ!!
お部屋なら沢山余っていますわ。遠慮なさらずに。お父様も是非と仰っていますわ。
助けて頂いたお礼をさせて頂きたいのです。
…ダメ、でしょうか?」
迷惑を代えられないからと、断ろうとした。
でも、少女の悲しげな表情に逆らえなかった。
「ダメなんかじゃ…っ!!」
「じゃあ、決まりですわね!!」
さっきまで泣きそうな表情だったと思ったのに。
だ、騙された!!
そうして冒頭のシーンとなった。




