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日本人は働く必要が無くなりました。  作者: Katz
第1章 田舎暮らしに憧れて
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1-6. 近未来百年史 3

前話のまとめ:夢に向かって一歩を踏み出す事になり、克樹はドキがムネムネしています。


今回は説明回です。前話までの背景の説明になります。

 2020年、東京オリンピック開催。それから数年。自動運転技術の開発はアメリカが先行し、アメリカ製自家用車に搭載された。


 この自動運転車やその技術の輸入には日本政府が抵抗した。安全性や事故時の責任を盾に規制して、実質的に国内販売を禁止した。そのような非関税障壁に対してアメリカ政府からの激しい突き上げがあり、いよいよ抗えなくなってきた頃、日本のメーカーによる自動運転車が実用化された。


 日本メーカーによる自動運転車の登場と同時に規制は解除された。日本においても最初は自家用車に搭載され、ほぼ同時に自動運転タクシーが登場。その後すぐに自動運転トラックが登場した。


 自動運転トラックが日本の物流に革命を起こした。荷物の上げ下ろし専用のターミナルが機械化を前提に整備されて規格化され、物流の現場から人間が姿を消した。自動荷物受取機構が規格を揃えて集合住宅に装備され、宅配便も無人化された。人件費がほぼゼロとなり、物流コストは限界を超えて下がり始めた。


 物流革命と共にトラック運転手が大量失業し、また、タクシー運転手も大量失業。これが社会問題となった。かねてからの貧困問題と合わせ、救済の為に政府はベーシックインカムの導入を決定した。


 ベーシックインカムは1人当たり年間100万円とし、その原資は専用の国債を発行、全額を日本銀行が直接引き受ける方向で法律が改正された。これを受けて、生活保護と年金は段階的に廃止される事になった。


 税制も大きく改正された。


 消費税は取引税に変更され、決済手数料の名目で徴収される事になった。税率は決済金額の10%とされた。これは事業者の自己申告では無く、金融機関によって全取引が監視され、自動徴収された。0.1%は徴収代行手数料として金融機関の収入となり、9.9%が国と地方自治体に納められる事になった。IoTを駆使して現金取引も監視され、自動徴収の対象となった。


 取引税だと、消費税と違って商品と原材料の間で多重課税が発生するが、自動徴収の為に対策が無い。また、駄菓子屋で児童が買う10円の飴玉にも例外無く取引税が掛かる。これらが野党の攻撃の的となり、激論が交わされた。落とし所として、税率の5%への低下、更に直接税の基本廃止が決定された。


 法人税と事業税は国際的な相場があるので、全廃という訳にはいかなかった。また所得税の全廃についても抵抗があり、富裕層を中心に100万円を上限として残される事になった。相続税と贈与税と固定資産税は完全に廃止された。


 法人税と事業税が安くなった為、最終利益を日本支社に流す国際企業が増えた。贈与税が無くなった為、親の援助で不動産を購入する庶民が増えた。所得税が安くなった為、日本に住所を置く世界の富豪が増えた。相続税が無くなった為、そういった富豪は日本永住を希望するようになった。


 取引税徴収に伴う取引情報が膨大なため国税庁から悲鳴が上がり、それを発端として取引情報庁が発足した。


 取引情報庁の業務は取引情報の蓄積、及び国税庁からの要請に応じて統計を出力する事とされた。具体的には高速なコンピュータの設置、莫大なデータベース容量の確保、高速通信網の整備、計算サービスの開発、そしてそれらの運用と管理が業務内容だった。日本史上初の理系官庁の登場で一部の注目を集めた。


 すぐにベーシックインカムの情報管理も業務に加えられ、その後も管理対象は次第に広がっていった。やがて各官庁の取り扱う情報全般が移管され、一括管理されるようになった。戸籍や住民票その他の個人情報全般も管理対象となった。


 個人情報の私的な閲覧や更新要請については、本人及び特別な権限を持った人物に限定された。各官庁の窓口業務は、本人からの許可を得て窓口担当者がアクセスする形で運用された。


 数十年後、政府による人型ロボットの大量生産が始まってからは、そのAIやロボットの生産と管理も業務内容となった。その際に取引情報庁は情報省に格上げされた。


 人型ロボットが民間に無償支給されるようになり、労働現場での人件費が激減した。物流革命によって物流費も極めて安価になっていた。これらを背景として物価の極端な下落が始まった。


 贅沢せず貧乏暮らしに甘んじれば、働かずにベーシックインカムだけでも生活できるようになった。


 不労所得の固定収入で生活するなら物価が安い方が良い。インターネット回線さえあれば娯楽に飢える事も無い。仕事が多くて労働単価の高い大都会から、家賃や物価の安い地方の町に引っ越す庶民が増えた。

円建ての決済総額については具体的な数字が見つかりませんでした。

根拠の無い当てずっぽうになりますが、仮にGDPの2倍程度とすれば、2018年において約1114兆円。

これの5%は約56兆円。2018年の一般会計の内、国債を除いた歳入(租税及び印紙収入)と同じ位です。

決済手数料を税金として徴収し、代わりに直接税を廃止するってのは、良い案だと思うのですがね。


多重課税?

キャッシュレスでカード決済するならカード会社が決済手数料を取るんで、それと同じ事ですが、何か問題が?

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