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吸血鬼にはゐと住みづらき世界  作者: へーべー
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決着!~天使チコエル再び~ 

~ここまでのあらすじ~


洞窟内で迷い、遭遇したミイラに血を全て吸われた天地一国てんちいちくには逆にミイラのような姿になってしまったが吸血鬼として復活。

一国を襲ったミイラは吸血鬼カルレオーノとして復活し一国いちくに中食奴隷人(チユドレン)と呼び下僕として動けと命じた。

一国ミイラは血が足りなさ過ぎて喋れない、能力なし、体力なし。

カルレオーノの逆鱗に触れる度にバラバラにされ再生する。それくらいの取柄しか無い最弱吸血鬼。あげくにキュウリと名付けられる始末。

だがミイラになった事で研ぎ澄まされた五感により風の流れを読む事で洞窟迷路を脱する事に成功した。

かつてカルレオーノを火あぶりの拷問にかけた下食奴隷(ゲドレ)のリーダーとカルレオーノは対峙した。

下食奴隷(ゲドレ)のリーダーは自分を悪魔崇拝によって呼び出された悪魔デーモンのジジャールだと名乗った。

そしてカルレオーノの姉と弟を殺して喰ったと言った。それを信じないカルレオーノとの戦闘が始まった。

戦闘の末カルレオーノはジジャールを捕らえ記憶を読むに至った。

ジジャールの記憶の中では姉と弟の死を決定づける出来事は起きていなかった。

記憶はそこで途切れ、ジジャールの口から本体の悪魔デーモンが飛び出した。巨大な蜘蛛の悪魔デーモンで背から螺旋状の角の生えたヤギの顔をした上半身が生えている。再び戦闘が開始され、そこに洞窟から駆け付けた一国が戦闘に加わった。駆け引きの末、一国はジジャールの首筋に噛み付く事に成功。悪魔デーモンの血を吸った一国は大変貌を遂げる。


~吸血鬼用語~


亜徒類(アトル)・・・純粋な吸血鬼一族

姉徒麗(ネトリ)・・・姉

弟徒君(オトク)・・・弟

兄徒君(ニトク)・・・兄

下食奴隷(ゲドレ)・・・人間全般、エサ、奴隷

中食奴隷人(チユドレン)・・・吸血鬼となった人間、下僕

上食奴隷人(ジユドレット)・・・高い戦闘力、または特殊能力を持つ吸血鬼となった人間

特食同君(トゥドゥク)・・・純粋な吸血鬼と同等か近い力を持つ吸血鬼となった人間

極万年ゴルムンヌン・・・凄い長い年月

牙毒感染(ガドカン)・・・牙によるウィルス感染

髪々通信ガガツー・・・髪と髪を合わせる事で会話が可能になる喋れない一国の為の通話方法

亜徒蘭血国(アトランティカ)・・・吸血鬼の国

血国王(ティカオ)・・・吸血鬼の王

蝙蝠4万羽を己の体内に宿した一国は地上に降り立った。



その周りをライフルを構えた住人が何十人と取り囲む。

全員のライフルの銃口が一国に向けられる。銃口と一国との距離わずか1メートル!



それでも一国の表情は変わらない。自分の周りに何も存在していないかのように我関せずジジャールに向かって歩みを進める。



一国の余裕の様にジジャールは溜まらなく不愉快になった!

「ってぇ!!撃てぇ!!」叫びと同時に一国に向けて至近距離からの一斉射撃!

弾丸は全弾命中!しかしゴムのような黒い膜に衝撃を吸収され一国の足元にバラバラと転がる。



「無駄だよこの膜は薄く見えるけど蝙蝠が何万羽と集まって層になったものだ、その程度じゃ効かない。」

「今の俺なら朝日だって克服できるだろうさ。」



弱点が無いだと!?認めて溜まるか!そんな事!!

ギリギリと歯ぎしりをし睨むジジャールを尻目にカルレオーノの元で足を止めた。

バーの天井は無くなってしまったが、カルレオーノを固める柱はそのまま残っていた。



一国は腕をカルレオーノの口元まで持っていくと

「主様。血をお飲み下さい。拒否反応が起こるかもしれませんのでまず少量を。」



「本当に貴様なのか!遠慮はせんぞ!」

カルレオーノは一国の腕に噛みつき口にひと含みの血を飲んだ。



うおおおお!!カルレオーノはガタガタと震え出し叫び声を上げる。

腹と背中から銀の弾丸が排出された。うおお!!

身体を震わせ身体を捻りその場で暴れだした。

カルレオーノを拘束していた白い柱に亀裂が走り砕けた。

カルレオーノは柱から解放された。しかし体の痛みが止まらない銀髪を振り乱し暴れる!身体が悪魔の血を拒否しているのだ。

ガガガガガ!!激しく歯を鳴らすと

一国と同じように汗腺から血が噴き出し、飲んだ血以上の量を吐き出した。



激しい息切れの後ようやく落ち着きを取り戻した。しかし膝と両手が震え立ち上がる事ができなかった。


「大丈夫ですか!主様!すみません!」


一国は膝を着いてカルレオーノの肩に触れようとしたが、その手を払いのけ

「よい!」と言うと「ケリをつけて来い。」と言った。



「はい!」



少量の血であろうとこの拒否反応・・・。一国は干からびた体全てに悪魔デーモンの血を取り込んだのだ。

カルレオーノは一国の器の底知れなさを感じ戦慄を覚えた。



一国は自分の何倍もあるジジャールと正面から向き合った。お互いの距離数メートル。

ジジャールは無言のまま歯ぎしりをし睨んでいる



「一発打たせてやるよ。渾身の一発を打ってみなよ。」

一国は不敵な笑みで挑発した。



調子に乗りやがって!ジジャールはバラバラに砕けた柱を呼び寄せた。

硬かった白い柱はスライムのように柔らかく伸び蜘蛛の口の中へと帰っていった。



「そうかい!一発打たせてくれるのかい!そいつは有難いね!」



そして蜘蛛の口が灰を吸い込んだ時のように辺りの空気を吸引し始めた。

蜘蛛の体が更に膨張する。ピタッと吸引を止め力を溜める。


と一国に向けて何十本もの白い手を吐き出した!

白い手は一国の身体のあらゆる部分を掴みその部分を中心にグルグルと巻き付いていく。

まゆのように何重も巻き付いてゆき、大きな玉となってガチリ!と硬化した。



一国は大玉の中に閉じ込められ身動きが取れなくなった。



「あばよ!!お人好し小僧!!そのまま一生閉じ込められてろ!!」

ジジャールはその言葉を残し一国から遠ざかった!ジジャールは己のプライドを捨て逃げる事を選択したのだ!



つまらない・・・。己の命を燃やし尽くすくらいの最後の大技が見たかったのに。一国はがっかりだった。



大玉に亀裂が走る。

一国の体から4万羽の蝙蝠が一斉に飛び出した!一国を固めていた白いものはモロく崩れさり、黒龍と化した蝙蝠軍が巨大な口を開けジジャールの直ぐ背後に迫った。

振り返るジジャール。ジジャールにはその瞬間がスローモーションのように長く感じられた。

追突する!そう思った瞬間、衝突のあまりに凄まじい衝撃でジジャールの身体は断末魔と共に粉々に消し飛んだ。

黒龍はそのまま止まる事無く直進し建物を3棟ほど破壊した後上空へと消えていった。



完全に吹き飛んだ。もう復活する事はできないくらいにバラバラだろう。



「最後は呆気ないものだった・・・。」一国は振り返りカルレオーノの方へ歩み寄った。

カルレオーノも立ち上がり一国を迎えた。キュウリが、あのみどりのミイラ小僧が・・・何という器か。



「主様!終わりました!」カルレオーノに褒めて欲しくて速足で駆け寄った。



「フン!キュウリが!あれ如きの働きで思い上がるでないぞ!」



「ははは!」主様ならこんな反応だよな。一筋縄では褒めてくれそうも無い。

「この姿でキュウリはないですよ~ひどいっすよ!」


「どんな姿であろうとキュウリはキュウリじゃ!」


タハハ・・・。いつかイチと、本名を呼んで貰いたいな。

「はい!」一国は満面の笑みで返事した。



あ、あれ?一国は突然眩暈めまいを起こしフラフラとその場に座り込んでしまった。



体から蒸気が立ち上る。顔や体の皮膚がベリベリ剥がれる。自分の手を見ると立ち上る蒸気で水分が失われていき深くしわが刻まれしぼんでゆく。

顔も割れた腹筋も!体がしぼみ徐々に緑色を帯びてゆく。

元に戻る!ミイラの姿に!何で!?嫌だ!止めて!誰か止めてくれ!!



蒸気はますます勢いよく立ち上りとうとう元のミイラの姿に戻ってしまった。

一国は自分の腕や顔に手を当て絶望した。



カルレオーノも呆気にとられ言葉を失っていた。



「反動じゃな!」



頭の上から声がした。

一国とカルレオーノは声のした方へ顔を向けた。


今は吹き飛んで無くなった屋根が乗っていた壁の上に幼女が座っていた。

全身が白い幼女。うすぼんやり光っていて背中に鳥の羽を携え手には槍にも似た杖を持っている。




ジジャールの記憶にいた天使チコエルだった。

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