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ユウタ達は小屋の中を少し見て回った。
それほど大きくなく、一階は玄関と恐らく居間と思われる所、それから、ダイニングキッチンだ。
二階は部屋が三部屋あって、その内の一つは物置として使われていた様だ。
物置の中にはライフルが合った。
しかし、誰も撃てる人が居ないのでそのまま放置している。
そんなことよりユウタが気になるのは、コウタの事だ。
最期の言葉が頭の中でエンドレスで流れている。
「どうした?ボーッとして?」
不意にイオリに話しかけられ思わず声をあげそうになった。
「えっ……あぁ……コウタの事をな……」
ユウタが答える。
イオリが溜め息をついた。
「彼は運が悪かったんだ。仕方が無かった。もう忘れろ。彼は死んだ。サキトも言ってたろ?」
「あぁ……すまない」
ユウタはそう言って、その場から離れ一階の居間に下りた。
居間には、三人がけのソファに、花柄の絨毯だけだ。
ソファには、アヤが腰かけて頭を抱え込んでいた。
たぶん、泣いている。
ダイニングキッチンには、テーブル、それを囲む様に十人分の椅子がある。
それから、簡単なキッチンだ。
椅子には、イオリとアヤ以外の全員が座っていた。
誰一人口を開いてなかった。




