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「はぁ……」
ユウタが溜め息をついた。
さっきからずっと歩いているが、どこも似たような景色だ。
「俺ら、どこに行ってんだ?」
コウタがサキトに訊いた。
しかし、サキトは質問に答えなかった。
コウタも黙りこむ。
それから、しばらく歩いた。
すると、前方に突然、山小屋が現れた。
恐らく、二階建てだ。
「あれは?」
サキトがタイチに訊ねた。
「たぶん、狩人が依然狩りの中継地点として使用していた物でしょう」
タイチが答える。
一行は立ち止まった。
「で、どうする?」
イオリが訊く。
「何が?」
サキトがイオリを見た。
「中に入るか?」
イオリがそこまで言ったところで、後ろで叫び声が聞こえた。
『奴ら』はずっとついてきていた。
「走れ!!」
サキトが叫んだ。
皆、小屋に向かって走り出した。
一番に到達したサキトが扉を開けて中に入る。
考えている暇など無かった。
皆、サキトに続いた。
「待ってくれ!!!」
コウタの声が聞こえた。
見ると、コウタはユウタ達より随分後ろを走っていた。
逃げ遅れたようだ。
コウタ以外、小屋に飛び込んだ。
「助けて……!!」
コウタが叫ぶ。
そのすぐ後ろには、『奴ら』が迫っていた。
奇声を発しながら追いかけている。
「コウタ!!頑張って!!」
アヤが必死になって言った。
しかし、扉は閉じられた。
サキトが閉めたのだ。
「サキト……あんた……何やってんだ」
イオリが目を見開いて訊く。
「開けてくれ!」
外ではコウタの絶叫が聞こえる。
「あいつらが中に入ってきたら、俺達まで死ぬぞ!」
サキトが言った。
目には涙を浮かべている。
「まだ、間に合うよ!!」
アヤが言う。
「もう無理だ!死にたくない奴は押さえろ!」
サキトが叫んだ。
こんな、サキトを見たのは初めてだった。
すると、レナが横から手を伸ばし扉を押さえた。
「ごめんね……」
レナは泣いていた。
「お前らも、押さえろよ!!死にたいのか!!」
サキトがまた、叫んだ。
声が枯れている。
「うわぁぁぁぁぁぁ!!!!開けろ!!!開けてくれ!!!!」
コウタが外から扉を叩いた。
いつの間にか、皆扉を押さえていた。
「頼む!!!開けてくれ!!!!」
コウタはまだ、生きている。
今なら間に合う。
扉が叩かれる。
「まだ死にたくない!!!!!」
コウタが叫ぶ。
「お前ら、酷いぞ!!!!!!!」
コウタの絶叫を聞きながら、ユウタは泣いていた。
「絶対に………許さないからな!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
その瞬間、肉が弾ける音が聞こえた。
引きちぎられ、潰され、血が飛び散り、内臓が露出し、引きずられるコウタの姿を、ユウタは音から想像した。
嫌でも音は耳に入ってきた。
音が止んでしばらくしても、ユウタ達は扉を押さえていた。
コウタが死んだ。




