ー20ー
イオリは皆の後を付いていっていた。
自分の汗が服を濡らす。
前方に目をやると、レナも服が濡れていた。
下着が透けて見えていた。
……あの頃は楽しかった……
イオリはふと、『あの日の事』を思い出していた。
しかし、考えを切り替えた。
今は、思い出に浸っている場合ではない。
陽は傾き、辺りは暗くなってきていた。
そういえば、就寝はどうするのだろう?
テントもすぐに帰ってくると思い、あの場所に置いてきてしまった。
何より、ケイを殺した奴がうろついているかもしれない。
そんなところで、身体が休まる筈がない。
下手をすれば、命だって危ない。
ケイの様な醜い姿になって死ぬなんて、ごめんだ。
シノとヨウスケは一言も喋っていない。
相当、疲れて居るのだろう。
「ねぇ、サキト」
アヤが先頭のタイチの後ろを行くサキトを呼び止めた。
「どうした?」
サキトが立ち止まって言った。
「そろそろ休まない?暗くなってきたし……疲れちゃった……」
アヤの言葉に、皆頷く。
サキトはしばらく考えてから
「そうだな……そうしよう」
と、独り言の様に言った。
だが、そこら辺の草むらで眠れる筈がない。
イオリは辺りを見渡した。
すると、数十メートル先に、黒い穴を見つけた。
それは、洞窟だった。
「なぁ……あれは?」
イオリは思わず指差した。
サキトがその方向を向く。
「あの洞窟は?」
サキトがタイチに訊ねた。
「さあ……解りません」
タイチが首を傾げる。
「取り合えず、行ってみよう」
ユウタが言った。
先頭が入れ替わり、皆、ユウタに続いた。
中に入ると、ひんやりと、冷たい空気が肌を撫でた。
サキトが懐中電灯を取りだし、奥を照す。
けっこう奥まで続いていた。
奥までは、照らしきれなかった。
皆、それぞれ荷物を下ろして、自分自分のスペースを確保する。
ため息が、皆の口から漏れた。
イオリも、思わずため息を漏らした。
……最悪の一日だ。
イオリは、心の中で言った。




