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プロローグ 『北方ワンオペ戦線』
メゾーネ山脈は、天を突くほどの山々が連なる、大陸一の巨大な山脈である。
加えてそれは、北方に位置するため、常時とんでもない量の雪が積もっており、とてもではないが生身で越えることは不可能だ。
しかし、そんな天然の要塞にも一つだけ、抜け道があった。
僕は見張り台に設置した木の椅子から立ち上がり、遠方に見えた軍勢に双眼鏡を向ける。
「おーおー、今日もご苦労様なことで」
メゾーネ山道と呼ばれるそれは、かの大魔法使い……えーと、たしかナントカティーネみたいな名前の奴がはるか昔に作った道で、山脈のど真ん中をぶち抜くようにして、北側とこちら側を繋いでいる。
これが厄介なもので、古代の訳分からんクソ強魔法で作られているせいで壊すことも塞ぐことも出来ないし、やけに道幅が広くて大人数が通れるようにされている。
どういう意図でこんなものを作ったのかは知らないが、とんでもなく迷惑な話だ。
見張り台を飛び降り、斧を担いで雪を踏みしめる。
「遠路はるばるようこそ。頑張って来たところ悪いけど、死んでくれ」
──なんせ、この道のせいで僕は、たった一人で国境線の防衛を任されることになったのだから。




