第25話:鋼の舞、岩の門
「次鋒戦――始めッ!!」
K・マブイ・ドームの全天候型天井を背景に、李が「消失」した。からくり義肢『スカイ・ブレード』が放つ青白いプラズマ。それはテコンドーの円運動に乗り、大気を切り裂く高周波の刃と化す。
――キィィィィィィィィンッ!
回避不能の連撃。だが、遠野は動かなかった。洪家拳極意『四平大馬』。『クロオビ・岩鉄』の脚部スパイクがマットを貫き、ドームの全質量を背負った「不動の門」と化す。
【日本A 00 - 06 韓国B】
李の戦法は冷徹だ。ポイントだけを掠め取る「解剖学的ヒット・アンド・アウェイ」。だが遠野はスコアボードを見ない。ただ、大地から吸い上げるマブイの充填率だけを睨んでいた。
「……門を、開くぞ」
遠野の一歩。アリーナの床が爆ぜる。李が次の蹴りを放とうとした瞬間、遠野の「質量」が李の回転軸へ突き刺さった。サバキ奥義『鉄山開門』。
李が垂直に跳ね上がった。ドームの光を背負い、全身をドリルの刃へと変える。韓国代表秘奥『鳳凰・断罪蹴』。落下速度と質量が一点に収束し、位置エネルギーが数万キロの破壊力へと転換される。
「……全て、飲み込んでやる」
遠野は『岩鉄』の冷却弁を全開放した。爆発的な蒸気の霧。遠野はその全衝撃を、自らの背骨を通るコンデンサへと「強制吸入」した。
「――返せッ!!」
遠野が、溜め込んだ絶望的な熱量を右拳へ転嫁した。大地を支点に、天を殴り飛ばす。洪家拳奥義『萬斤砕』。
ド、ゴォォォォォォォォォォォォンッ!!
衝撃波が霧を吹き飛ばす。李の振動刃が砕け、突き抜けたアッパーが彼をドームの天井へと叩き上げた。
【最終スコア:日本A 09 - 03 韓国B】「勝者、遠野!!」
遠野は膝をつき、砕けた右腕から立ち昇る煙を見つめていた。「……良い舞いだった。次は、折れぬ翼を持ってこい」
秋吉道場が沸く中、嵐はスンヒョンを凝視した。スンヒョンは笑いながらタブレットを操作している。「なるほど。遠野の『地脈』、足が地を離れた瞬間に死ぬわけだ。楊、中堅戦の舞台を書き換えろ」
中堅、楊が立ち上がった。そのアーマー『ミスティック・ハンド』は、呪術的な刺青で装飾され、存在そのものが「影」のように希薄だ。
嵐の『昇龍』が、重力センサーの狂いによって不気味に震え出す。
「……館長。俺、脱ぎます」
嵐は試合開始の銅鑼が鳴る直前、『昇龍』の全拘束ボルトを爆砕パージした。剥き出しの肉体、漆黒のインナーフレーム。
「計れないなら、肌で聴く。……来い、幻影」
安道 嵐の野生が、ソウルの「計算」を真っ向から拒絶した。中堅戦、開戦。




