31 トンボ対ネズミ!ダイフクとクロッチ、友情は自慢大会から
ダイフクは、小さな身体を弓の様にしならせ、短い尻尾を、ホワッホワに膨らませる。お庭の端っこで、斜めにピョンピョン飛んで、タカシを威嚇する。
『おーおー、一丁前に猫っぽいじゃないか』
『タカシ!おまえが、ちょっかいかけると興奮収まらないから、そっとしておやり』
『へいへい。で、この前の話は、考えてくれたか?ミツコは、直ぐにでも構わないと言ってくれてるんだ』
『また、その話かい。まだ、私は大丈夫だよ。それに、今は守ってやらなきゃ』
『母さん。寂しいこと言うなよ。何かあってからじゃ遅いんだよ』
『......判ってるよ』
毛を逆立てて、息子のタカシを威嚇するダイフクを、そっと抱き上げる。
「ばあちゃん?どうしたダニ?虐められたのか?」
悲しそうな顔をしていたばあちゃんを見て、ダイフクはおでこをばあちゃんに擦り寄せた。
『ダイフクは、やっぱり優しい仔だねぇ。ばあちゃんは、ちょっと出かけてくるから、留守番を頼むよ』
ダイフクの頭をそっと撫でて、お座布団の上に降ろした。
タカシとばあちゃんが一緒に出かけてしまうと、お庭は瞬く間静かになる。大好きなお庭もばあちゃんが居ないだけで、とても静かで、物哀しい雰囲気となった。
「ばあちゃん......早く帰って来て欲しダニ」
お座布団の上で、独りごちていると不意に声をかけられた。
「チビッコいの、身体綺麗にしてもらったんだにゃ」
「おまえは、あの時の.....っが!」
サビ柄のお猫様が、庭先に入ってきていた。ただ、ダイフクと同じくらいの大きの黒いお猫様を連れてきていた。ダイフクが、発言するや否や、黒いお猫様は、ダイフクに突進してきた。
「おまえ!リーダーに向かっておまえって言うなニャン」
「......ぅ、何するダニ!おまえこそ俺のことおまえって言うなダニ!俺には、ばあちゃんに付けてもらったダイフクって名前があるダニ!」
「んな!!おまえ、通り名持ちなのかニャン?そんなに弱っちいのに.....」
「そんなの知らないダニ!名前を知らないから、おまえって言って何が悪いダニ」
ダイフクも負けじと、黒いお猫様に突進した。白と黒の小さなお猫様が、取っ組み合って、お猫様キックを炸裂させた。
サビ柄のお猫様は、大あくびをしながらその様子を、お座布団の上に座って見ていた。
「生意気だニャン!俺は、この間ちょうちょ捕まえたニャン」
「ちょ、ちょうちょ!俺だって、トンボ捕まえて、ばあちゃんに凄いって褒められたダニ!」
「トンボ!クソニャン!俺なんか、リーダーに、おネズミ様捕まえるとこ見せてもらったんだからニャン」
「俺なんか、俺なんか、オナモミいっぱい身体にくっついても泣かなかったダニ!」
所詮、小さなお猫様のケンカ。名前呼び方でケンカしていたのに、目的が変わり、どっちが頑張ったか自慢に変わっていた。
「ダイフク、なかなかやるニャン!俺、クロッチ。友達になってやる!」
「と、友だち?......良いダニか?友だちってあの友だちだにか?」
「友だちに種類なんかないニャン。ダイフク、友だちいないニャンか?」
「......いないダニ」
「そうか!じゃ、俺が友だち第一号だニャン」
ダイフクは、初めての友だちという存在が嬉しかった。
「しょうがないダニ~。クロッチ友だちになるダニ」




