28 穢された真っ白な毛。ダイフクとリーダー、運命の出会い
ススキの穂が風にゆらゆら揺られ、棚引いている。ダイフクは、いつものように、縁側に登って、お猫様座りをした。
「ばあちゃん、今日は、クロッチの弟がいるお家に行ったダニ」
ダイフクは、お月様が綺麗な夜は、ここの縁側でおしゃべりをしに来るのだった。
「リーダーが、人間が好きかなんて聞くから、ばあちゃんと出会った頃のことを、思い出したダニ」
ダイフクが、まだまだ本物の大福餅くらいの大きさだった頃、リーダーと出会い、この場所を教えてもらった。
「うにゃー!うにゃー!あっちいけダニ
ー」
小さな真っ白なお猫様が、毛を逆立て威嚇している。小学生位の男の子たちは、小さなお猫様が嫌がるのを無視して、手を引張たり、尻尾を握ったりしていた。
『小さい癖に生意気だ!』
『イタっ!俺たちが可愛がってやってるのに、引っ掻いて来たぞ』
『俺、マジック持ってる、眉毛書いたら可愛いんじゃないかなぁ?』
『よーし、おまえもっと可愛いくしてやる』
「離すダニ~!やめるダニ~!」
小さなお猫様が、抵抗するもの子供たちは放してくれなかった。真っ白な体は、赤色、黄色、緑色などのマジックで穢されていった。
『ハハハ!猫に八の字眉毛オモロ!』
『明日も遊んでやるからな』
遊び飽きた子供たちは、小さなお猫様を道端で放っぽり出し、帰っていった。
「えぐ.......ぐず........酷いダニ.......人間怖いダニ」
小さなお猫様は、草むらに隠れて泣いていた。側を通りかかった、サビ柄のお猫様が、声をかけて来た。
「オッ!ちびっこいお猫様にゃ。おまえ、母ちゃんはどうしたにゃ?」
「ちびっこい言うなダニ.......ぐずっ」
「おまえ、凄い色してるにゃ」
「......うるさい」
「泣き虫のくせに、意地っ張りだにゃ」
「......くうぅ」
メソメソと小さなお猫様は、泣き出した。まん丸になって泣き続けるお猫様を、サビ柄のお猫様は、前脚で突っついた。
「こんなところで泣いていたら、また人間にイタズラされるにゃ」
「泣いてないダニ!」
「目から涙ポロポロ流して、強がるにゃ。とりあえず、ここから離れるにゃ」
サビ柄のお猫様は、小さなお猫様の首根っこをガブリと咥え、スタスタ歩き出した。
「何?俺をどこに連れて行くダニ!俺のことなんかほっとくダニ」
プラン、プランと揺られながら、小さなお猫様は有無を言わさず連れて行かれる。
「母ちゃんのことを聞いても、何も言わないってことは、おまえ、行くところ無いんだろ?黙って、ついて来るにゃ」
小さなお猫様は、本来であれば母親の元に居るべき時期のお猫様だった。育児放棄、お猫様であっても子育てが出来ない雌もいる。事情があって、母親と離れ離れになるお猫様もいるのだ。
母親に守られて居る時期に、親から離れるしかなかった子供のお猫様。弱肉強食、自然淘汰、そんなお猫様の行く末は、決まって惨めな結果が待ち受けていた。
あのまま、あの場所で蹲っていても、最悪な結果しか待っていない。小さなお猫様の行く末を案じ、サビ柄のお猫様はある場所に連れて行くことにした。




