第1話 事の経緯
唐突に始まる自己紹介だが、自分の名前はクルツ=ハイドリヒだ。
階級は親衛隊中将 結構お偉いさんだぞ、これでも。
パァン!パァン!
ダダダダダダッ
ガガガガガガガガガ
現在進行形でワルサーP.38を目の前に広がる人の皮を被った化け物連中に発砲してる。
平和な日本での東京都市部のビル街で起きてることだぜ?これ。
何も知らない人から見れば異常なことだろう。
一方的な虐殺に見える...かもしれない。
がしかし、今やこの世界はそんな思考では生き残れない 所謂世紀末と化した...いや、化している真っ最中というとこか。
隣にいる部下の親衛隊員7名らも発砲し続けている。耳栓?してないからむっちゃ耳痛いですはい...。
で、何が世紀末かというと周りを見ればわかるだろう。
死体が這いずり回り同じ人間を食べて回ってるんだ
正直僕が持っている “ 生物兵器 “ が同じようになっているのかと思えばそうではない。
連中は私を違う異民族として見て、今も僕を食べようと能動的に動いてきている。
だからこそ確信して自分のモノとは違うと理解できたが...。
「一体どこの誰だよ...こんな破壊活動を広めた奴は...。」
周りの一般市民 静粛たる日本国民らは非日常的な光景にギャーギャーワーワー喚き散らし我先にと逃げるものから
食われ、連中と同じようになるものまで。
正直言うと連中 死体の身体能力は確実に生前より向上している。
がしかし、自分ら武装親衛隊員から武装親衛隊予備役隊員までの我々兵士からみると脅威ではないほどの身体能力の性能だ。
近距離戦の格闘技だろうが余裕を持って殺せる。
身体能力の物理エネルギーは増えたと言ったが、その稼働速度は異様に遅い。
「しっかし、どうすっかなぁ...。」
突如 つい数時間前から起きたこの大惨事に ぼく クルツ・ハイドリヒは苦悩するのだった。
⚡︎⚡︎
ー数時間前に遡るー
「くぁぁー...おはよ。」
そう無言の何の感情も篭ってない武装親衛隊員の目を見ながらベッドから起き上がる。
自分の執務室の隣に設けてある寝室兼私室だ。
結構な広さで、お屋敷の一室みたいな感じなので開放感はある。ただ窓はないが。
寝間着のぼくの寝起き姿を見つめて右手を挙げて敬礼した後、その武装親衛隊員は部屋から出て行った。
外見もガスマスクにドイツ型のM42ヘルメット。
そして親衛隊将校の勤務服を纏っている。
何とも味気のない黒一色の威圧的な軍服にも慣れたぼくは右手を軽く挙げて返礼して、ベッドから立ち上がる。
「うーん、今日もまた許可証発行と生産管轄報告書の目通しから何やら何まで忙しそうだなー...。」
今日の予定を考えながら先ほどの親衛隊員と同様の勤務服に着替えて身支度をする。
ここは日本の最重要都市であり首都の東京・中心部地下深く。
戦中 ドイツ敗北の後、生物兵器科学大隊の我々8名はU-Boat潜水艦で祖国の地を逃れ、戦い続けるために友邦 日本に転居したのだ。
その後 日本政府及び軍部の計らいで東京都地下の巨大な防空壕施設を新たな親衛隊司令塔として借り受けた。
あの時は本当に嬉しかった。外国人であり 別の国家の民なのに 気遣ってくれる天皇陛下や陸軍大臣など...。
ドイツ本土戦での総統死亡の報せはぼくにとって苦痛でもあり、安堵でもあった。
心の内を見せれば、彼に対して100%の絶大的な信頼を寄せていた。
そして彼もまた同じくぼくに信頼を寄せていたであろう。
互いが互いを信じ合う 同じ民族 同じ共同体として。
ぼくにとってはこれまでにないほどの幸福であった。
1933年の総統が首相に就任した時から忘れられない思いだ。
腐れ落ちた資本主義経済による同じ民族同士で殺し合い、闘いあったあの時代から、我々は彼のもとで再び共同体として形と友を取り戻したのだ。
けれど、どれだけ国内の生産効率やドイツ民族の栄光 誇り そして豊かさが実っても 不安と失望が存在した。
ぼくが唯一彼と合わなかった 総統と絶対に相容れない点。
ユダヤ人への迫害だけはぼくは許容できなかった。
これまで大資本家やユダヤ資本家の民族への破壊活動を幾度も目にしてきたからこそ、それらの特定の破壊者に対しては容赦はしなかった。
そして総統もそれを推進した。
だが総統はユダヤという一つの民族自体をドイツ民族の破壊者だと言った。
...。
ぼくはそんなはずないと言った。
人生で初めての反抗だった故に 総統は怒り狂ったようにユダヤ民族がどれだけの破壊活動に従事してきたかを示した。
ぼくだって怖かった。でもそれは総統も同じだったはず。
だから訴えた。
「あんな小さな女の子が、男の子が 本当に僕たちを殺すの...!?」
興奮気味のぼくは必死に訴えて 凄まじい論争になった。
彼の側近も若干引くほどのものだ。
総統はもう分かり合えないと決意し、この話を終わらせた。
ぼくは悲しかった。本当に 同じ人間を もっと言えば同じ民族を殺す姿など見たくなかったしやりたくもなかった。
ぼくが世界恐慌の波に飲み込まれ、ベルリン郊外で捨てられていたしがない孤児だった時 助けてくれたのは彼だ。
ぼくは彼のことが好きだし 何があっても彼を優先する。
彼こそがぼくの支えとなっているんだ。
だがそれ故に その信仰を裏切った彼には失望した。
東部戦線で 後方でアインザッツグルッペンが虐殺を行っている姿を見た時 苦しくて見てられなかった。
だからこそ、彼が死んだ時 悪魔と天使の両面を持つ人と化け物の融合物がこの世から消えたことに安堵したのだ。
だが世界で唯一の彼という救世主を失ったことは心に痛かった。
せめてもの救いとして 武装親衛隊の中では一切の虐殺やユダヤ狩りの対パルチザン命令の任務は幾度となく放棄 無視を続けさせた。
もちろん野戦憲兵隊などから命令無視による軍法裁判の警告を受けたが、警告だけだ。
なぜならば、ぼくはもう ヒト とは言えないから。
1932年のことだ。
ドイツ国内である研究機関が生物兵器の開発を進めていた。
それも旧来のウィルスや細菌 毒ガスではなく、全く新しいモノ。
不特定の形を持つ生命体 しかも非常にドス黒く、サッカーボール一個分くらいの大きさで見るだけで吐き気が催し 死を実感するような生命体だった。
それを最初に発見したのはエジプトでのドイツ系考古学者だったらしい。
ピラミッドの墓の数十メーター地下での出来事だった。
ソレを触った現地の者は全員死んだそうだ。
黒い渦に包まれながら 灰となったらしい。
異様な光景に、不用意に手を出さなかったその考古学者はそれを陶器や墓の物を研究として持ち運ぶ専用のケースに入れたらしい。
その生命体は奇妙ながらも動きはせず、じっと獲物を待つかのごとくまるでゼリーか何かのように不特定の形のままケースの中にズルリと入ったという。
そしてその後、研究のためにドイツ本土へと送還されたらしい。
未だに謎のその物体を解明できていなかった研究機関は、その存在意義を疑問視され、ナチ党からの支援を打ち切られようとされていた。
ナチ党からの資金援助に頼りきっていた連中は打つ手なしの状態に
「どうせ研究人生が終わるなら、私も苦痛なく死のう」
とその奇妙なる物体 S に自ら触れた職員がいた。
が、その直前になって何を思ったのか生存意欲を取り戻したらしく、腕が灰になって消えてゆく姿を見て半狂乱になりながら強く大きく
生きたい
と 切に 更なる生存権のために願ったらしい。死への痛みと苦痛に対して生存意欲を能動的にも発し、意志を見せたと。
かけつけた職員によると目からは血が涙のごとく溢れ返り、右腕が肩から無くなり、あたかも元からなかったかの如く傷口も見当たらなかったらしい。
だが男の職員の目の前には 腕の代わりに黒い灰と黒い例の黒き物体が蠢いていた。
それに触れて死ななかった 即ち適応したかという報告にナチ党は驚き、生物兵器計画を更に推し進めた。
結論から言うと、意志の勝利を収めた例の職員のように同じく強き意志と共に生きる人間が生物兵器化には適しているとの報告であった。
そしてその頃 武装親衛隊士官として首席として士官学校を卒業した異例の飛び級と凄まじい身体能力の保持者であり、父 ラインハルト・ハイドリヒの義理の息子であるクルツ・ハイドリヒのぼくが選ばれた訳だ。
父は心配はしていたが、意志においてぼくの他に出る者は世界にいないと褒めてくれた。
嬉しい限りだ あの冷徹な父に褒められるとは。
通知書と同意書には目もくれずサインしたぼくは、相当に総統のためと民族への信仰を持っていたらしい。
総統 だけにね...なんちゃって。
そして 成功するかの保証もないままの危ない実験の被験体となったぼくは
見事に成功した。
その黒き物体 S と名付けられたそれは、激しい激痛と苦痛の中で蠢くぼくの 民族への意志 に呼応したかの如くぼくの体を蝕む途中で
ぼくの体の中へと配合した。
体内に不快なモノが入ってきた感覚があるものの、それは非常に安心できる不快さだった。
この気持ち悪さは 自分の意志を更に増大させてくれる。民族の破壊者は徹底的に殺し尽くさねばならないという意志を。
周りの 「おぉ!!」 という歓喜の声も聞こえずに、この黒い物体によって失われた手足は皮肉にもこの S によって灰と共に修復されたようだ。
その頃にはぼくは気を失っていた。
服も着ずに 真っ裸な状態でね。恥ずかしいわ!
そしてその後 紆余曲折あり、悲しきことにも父が暗殺された後武装親衛隊副長官の肩書きと生物兵器科学大隊のたった一人の生物兵器で大隊の役割を果たした。
もちろん、周りについてくれた護衛の親衛隊員もいた。
すっげぇいい奴もいて、面白いやつからかわいい奴までいたが、♂の趣味はない。。。ないぞ!
でも、そんな奴らも ぼくと同じではない。ぼくとは明らかに違う民族。
だからこそ死ぬときは死ぬ。
死ぬ 死ぬが動く それをしたのはぼくだ。
そう、ぼくは彼らの死体を灰に変え、そしてその灰を再び元の姿へと戻した。
それが先ほどぼくの寝室で警護をしていた武装親衛隊員だ。
ガスマスクをして無機質な感じで立っていた MP-40を装備した彼だ。
そう、死者を 特に思い入れのある人を蘇らせる。
感情も何もない、ただぼくの指示に従う能動的 受動的な人形だが、顔も見れない ガスマスク越しの目からは光など見えないミイラのような彼らはぼくを慰めるには十分な存在だった。
そうして 大切な戦友 終戦までの7名が武装親衛隊最後の生き残りとなった。
そうして生物兵器科学大隊は成り立っていたのだ。
彼ら戦友はぼくと同じだ。同じ性能 同じ憎悪。
だがしかし、ぼくと彼らと違う点が一つある。
それは明らかなる意志の勝利だ。
彼らはいえば道具と成り下がってしまった。
だが私は ぼくは道具ではないのだ。
動き続ける機械ではない。ぼくは意志の勝利を持った生命体 クルツ なのだ。
だからこそぼくはユダヤ狩り任務を破棄した。
野戦憲兵隊からの警告や脅迫も一蹴した。
そしてその意志に追随する後ろの部下もそれを護衛した。
我々は民族共同体 なのだ。
主人公は銀髪でショタ系の美少年を想定しているど変態ぶりです すみませんねぇ変態でぇ!(歓喜)
いや誰得だよ...




