イチャイチャチャイチャイ
君はいつも律儀にコートを脱いで手洗いとうがいをして普段着に着替えた後に、くっついてくる。
隙間なく。
灯油ストーブで温められたセーターを着ている俺の背中に。
冬の間はずっとこうしていたい。
とろけるような声音で君は言う。
俺の背中と君の胸の間に挟んでいる君の腕を前に回すように俺は言う。
小さな手が嫌いだ。
口を尖らせて土木作業員の君は言う。
ガタイの大きさに似合う大きな手がよかったそうすればもっと仕事のできる男になれた。
今以上に仕事ができるようになったら困る家に帰らなくなるだろ。
まあ。
否定しろ。
水道管が俺を待っているからな。
お疲れ様。
ああ。
前に回って来た君の手を、君の理想の手である、大きくて分厚い俺の手で無香料のワセリンを塗りながらマッサージをする。
傷もあるし、奇妙に硬く盛り上がった部分もあるし、冬の間は特にカサカサしている君の手。
ありがとう。
事故が起きませんように。
願いながら、懇切丁寧に君の手に触れる。
(2026.1.20)
「カクヨムコンテスト11【短編】」【お題「手」】カクヨムコン11お題フェス短編(2025.1.13-2026.1.20)(タグ お題フェス11)」応募作品です」




