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掌編小説シリーズ  作者: 藤泉都理
2020.5.
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軍配が上がる




 本当に同じ日なのか。

 うたたねをしている間に季節を一つまたいでしまったのではないか。

 もしそうならば、あの暑苦しい日々とおさらばできて万々歳ではないか。


 季節外れのじゅうたんに横たわって、つらつら考える。

 昼間は到底踏み入れる気さえ起きなかったのに、今はこんなにも心地いいなんて。


 うつら、うつら。

 気温、湿度、紫外線、化学物質、風、仕事、人間関係。

 堪えた心身が、休息を欲している。


 うつら、うつら。

 眠たい、ねむたい、ねむりたい。

 就寝を阻害するのは、別の欲望。


 小さな種が急成長を遂げて、今や立派になってしまったようだ。

 脳に焼き付いてしまったのは、幹も枝も葉も実も、艶があって青々としている大樹。

 あまりの瑞々しさに、欲望が膨れ上がる。


 もしかして、あれ全部、アイスクリームでできているんじゃない?

 抹茶、チョコ、バニラ、リンゴ、苺、バナナ、キウイ。


「あー、アイス食べたい」


 独り言。


「アイス食べたいなあ!」


 大声を出す。

 力尽きる。

 諦めて、目を閉じて、決意を固める。


 起きたら絶対買いに行ってやる。






(2020.5.9)




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