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掌編小説シリーズ  作者: 藤泉都理
2020.1.
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枯れ木に花咲く




 深緑の葉、胡桃色の枝に幹、紅と橙の小さくて丸い実。


 四色持つ南天の木が大小と周りを囲む。

 灰の一色しかない木の周りを囲む。


 白にひとしずくの黒を混ぜたような灰の木は、葉を持たず、幹と枝だけ。




 あるものはいう。 

 寒々しい印象は、彩り豊かな南天の木によって、より一層際立たされた。


 あるものはいう。

 南天の木にしか目が行かず、灰色の木は存在さえ気付かなかった。


 目に入れたくない。

 目に入らない。 


 灰色の木に目が奪われる事はないのか。


 否。

 

 雪が降る刻だけ。


 純白の五枚の花弁で成る花が咲く刻だけ、

 みなのめが釘付けになる。


 白に近い灰の幹に枝に。

 純白の花々。


 一層寒々しくなるにもかかわらず、

 一層天に紛れてしまうにもかかわらず、


 ついと、伸ばしそうになる手を阻むのは、南天の木。


 越えられぬわけでもない。

 茨があるわけでもない。


 ただ、

 実を落とすのが忍びないと、行く足を留める。


 いいや。


 思わず息をのんでしまう、この清廉潔白な風景を。

 思わず息をもらしてしまう、この幻想的な美しい風景を。


 ただ荒らしたくないだけなのに、

 どうしてか、実を落とすのが忍びないと言い訳を口にしてしまうのだ。


  




(2020.1.6)




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