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第二章 19話

2014/2/26の投稿です。


今日も話の長さが微妙になったので、一旦切ります。

続きも2話目として投稿します。




翌日


「リョウマさん、起きていますか」


朝っぱらからエリアが態々俺の部屋を訪ねてきた。セバスさんも一緒だ。


「どうしたんですか?」

「今日はお父様達から従魔術を教えて貰うので、リョウマさんも一緒にいかがですか?」


従魔術か……そういえば俺が今使えるのは従魔契約と魔獣鑑定、あとは契約解除……他にも魔法はあるんだよな?時間も今ならある。


だが昨日のゴロツキの件もあるしな……



そう考えているとセバスさんが近寄ってきて俺に耳打ちをしてきた。


「急な話ですが、最近はリョウマ様もお時間が出来てきたと聞いています。お休みだと思ってエリアお嬢様にお付き合い頂けませんか?リョウマ様がこの街で別れる事になったので、お嬢様も出来るだけリョウマ様と共に居る時間を作りたいのです。店の方には今日1日、見張りを付けますので」


あ~……そう言えば、自立を決めてからずっと生活費の確保や店の事に集中して、エリアと一緒にいる時間はこの街までの旅の間より短くなってたな……あの魔力量の事をかなり気にしてたみたいだし。友達が出来たのも嬉しかったんだろう。……悪い事したな……


「わかりました。一緒に教えて頂けますか?」

「本当ですの!?」


そう言って眩しい位の笑顔になるエリア。


何故か罪悪感が……と言うか、言われるまで気づかない俺が悪いな……




それから1度店に寄ってこの事を伝えると、皆さん笑顔で店の事は任せて下さい!と言ってくれた。昨日あんな事があったのに、文句一つ言わない。良い人達だな、この人達を雇って良かった。




それから俺達は廃坑に行った。今日は廃坑で訓練をするらしい。


そして今、俺とエリアの前には奥様が鳥籠を持って立っている。


「さて、従魔術の訓練を始めるわよ。まず従魔術とは何かしら?エリア」

「従魔術とは魔獣と契約し魔獣の力を借りる魔法ですわ。従魔術の従魔契約の際、術者と魔獣の間に魔力による繋がりができ、それを介して魔獣との意思疎通が出来るようになります」

「その通り。そして今日私達が2人に教えるのはその繋がりを利用した魔法、感覚共有よ。これはその名前の通り、術者と従魔の感覚を共有させて情報を得たり、従魔に術者の危機を知らせる為の魔法なの」

「これは召喚術では出来ない、従魔術の特徴的な魔法だね」


そうなのか?


「何故召喚術では出来ないんですか?」

「通常、召喚術の契約は魔法の力で無理矢理魔獣を従える物なんだ。繋がりがあっても、一方的なんだよ」


そうなのか……召喚術の事は知らなかった。


「なるほど、理解しました」

「感覚共有には慣れが必要じゃ。長く互いに助け合い、理解を深めた従魔程楽に、ハッキリと感覚を共有できる。じゃが、今日2人にはこちらで用意した鳥籠の中に居る魔獣と契約し、訓練をして貰う」

「何故態々?スライムではいけませんの?」

「確かにスライムでも感覚共有は出来るのだけど、効果が分かりにくいし、意味が無いのよ」

「スライムには目も耳も鼻も無いからね。感覚共有出来ても視覚・聴覚・嗅覚、ついでに味覚も分からない。どうやって周りの様子を理解しているのかも分からないからね」


それは確かに効果が分かりにくいだろう。


「納得しましたわ」


そして俺とエリアは鳥籠の中に居た鳩の様な魔獣、クルーバードと契約をした。そう言えば俺、スライム以外と契約するの初めてだ!


それに気づいて少々緊張はしたものの、契約は何事もなく終わった。


「契約は出来たわね?それじゃ、自分と従魔の間に繋がりがある事を意識して、それを通して従魔の見ている景色を見ている様に強くイメージして。そうすれば感覚共有は呪文を唱える必要なく使えるわ」


そう言われて俺は日本の電気屋に置いてある、カメラと繋がったテレビをイメージした。するとすぐに脳内に映像が流れ込んできた……が……


「……何か、気持ち悪いですね……」


自分自身の視界と従魔からの視界が同時に頭の中に入ってくる。言葉にし難いが、2つの違うテレビ画面を強制的に同時に見せられて、無理矢理理解させられている感じと言えば良いだろうか?あまり気持ちの良い物では無いな……


「あら、リョウマ君もう出来たの?」

「流石じゃな、これは中々イメージが掴めぬ者が多く、習得は中々困難な魔法じゃぞ?」

「難しいから早めに教えて長期間訓練するんだが、リョウマ君はもう覚えてしまったようだね。その不快感は感覚共有が出来たばかりの従魔術師なら誰でも通る道だよ。訓練で何とかなるから頑張って慣れてくれ。初めは目を瞑って従魔の視界だけに集中するといい」


慣れが必要か……俺は言われた通り、目を瞑って従魔の視界に集中する。うん、これなら大分マシだ。今俺が契約したクルーバードは地面に居るから視界が物凄く低い事に違和感があるが、それだけだ。


それから2時間程訓練をし、最終的に目を瞑った状態でだが感覚共有をしたままクルーバードに空を飛ぶように指示を出して空からの映像を見る事にも成功した。これは周辺の警戒や監視などには便利だろう。


そう考えていたら、エリアも感覚共有に成功したらしい。


「これは……おかしな感じがしますわね……」


エリアも違和感を感じているようだ。



今思ったが、俺の場合は地球の知識で使えるイメージがあったから良いが、エリアはゼロから始めて今日中に習得したんだから凄いな。


エリアが成功した事で1度休憩を挟む事になり、アローネさん達がお茶の用意をしてくれた。


「それにしても、2人ともこんなに早く習得するとはのぅ」

「エリアはジャミール家の血筋だから覚えるのは早いと思っていたけれど、ここまでとは思ってなかったよ。それにリョウマ君も感覚共有の習得には手こずると思っていたんだけどね」

「良いじゃない、覚えが良くて困る事は無いわよ。あとは訓練よ」

「あの感覚がこれからも続くのですね……」


どうやらエリアは目を瞑っていても感覚に慣れるのは難しいと感じているようだ。まぁいきなり視界が変わったり混ざるんだもんな……俺はテレビを見てる感じでやっているから良いが、エリアは自分の視界でやっているみたいだからな……教えたくてもテレビを知らないエリアにはどう教えていいか分からんから、教えられない。頑張ってくれ、エリア。


そのまま話していると、奥様が俺にこう聞いてきた。


「リョウマ君、スライム以外の魔獣と契約した感じはどうかしら?違和感は無い?こう、繋がりが希薄な感じはするかしら?」

「いえ、特にそう言った感じはしませんが」

「ならリョウマ君には鳥系の魔獣にも適性はあるのかしらね」


適性?何の事だ?


「適性とは何ですか?」


その質問に答えてくれたのはラインハルトさんだった。


「知らなかったかい?従魔術師や召喚術師にはそれぞれ適性があって、個人によってどんな魔獣と相性が良いか、多くの魔獣と契約するか、少なくても強力な魔獣と契約するかの向き不向きがあるんだよ。多分リョウマ君はスライムとの相性がいいね。そうでなければあれほどの数は従魔に出来ないと思うから」


「その適性を見極め、自分に合った従魔を見極める事も必要じゃよ。適性は厳密に定められている訳ではなく曖昧で自分で探っていくしか無いのじゃ。例えば、儂は鱗を持つ魔獣との相性が良いのぅ。そしてあまり多くの従魔と契約は出来んが、1匹1匹が強力な魔獣じゃ」


「僕は大抵の四足歩行の魔獣には適性があるよ。ただその反面鳥系の魔獣には適性が全く無くてね、契約すら出来なかったんだ」

「私は……」


そう言って奥様は突然呪文を唱えた。すると奥様の横が輝き、大きな銀の毛を持つ狼の魔獣が突然現れる。俺はそれに驚くが、奥様が大丈夫だと言って笑いかけてきたので咄嗟にしていた警戒を解く。


「驚かせちゃってごめんなさいね。この子はルォーグ。私の従魔のリトルフェンリルよ」


フェンリル……って伝説とかに出てくる奴じゃないか!?


「あら、もしかしてフェンリルとリトルフェンリルを同じだと考えてるのかしら?」

「違うんですか?」

「違うわ。フェンリルは神獣で、リトルフェンリルは魔獣よ。リトルフェンリルは少しだけ氷魔法を使える狼型の魔獣。強い魔獣なのは否定しないけどね」

「そうですか……」


凄いな、リトルフェンリル……そしてそれを完璧に手懐けてるらしい奥様も凄いな……リトルフェンリルが奥様に撫でられて、奥様の足元で気持ち良さそうに横になり始めた。


「この子は群れのボスで、私はこの子と同じリトルフェンリルをあと20匹、それと他の狼型の魔獣を種類はバラバラで100匹位従魔にしているわ。私は狼の魔獣との相性が良いのよ」


このリトルフェンリルが20!?


俺のスライムに数では及ばないけれど、質が違いすぎる。現れた時の威圧感はブラックベアーとは桁違いだったが。


「エリーゼは従魔術師として凄腕だからね。リトルフェンリルなんて、普通はそんなに従えられないものだよ。僕は昔、エリーゼを見ては劣等感に苛まれたものさ」

「あら、そうだったかしら?僕には剣がある!って言って、そんな事気にせず剣術の腕ばかり鍛えていたじゃない。それに従魔術もそれほど才能がない訳では無かったと思うけれど?」

「……父上や君と並ぶと、普通の従魔術師程度じゃ圧倒的に霞むんだよ」

「それでも特に気にしては居らんかったじゃろ?大体、お前は幼い頃から従魔術の訓練放り出して剣の訓練にのめり込んでおったじゃろうに。儂らのせいにするでないわ」


そしてそのままラインバッハ様がラインハルトさんに小言を言い始める。それを聞きながら俺はルォーグと呼ばれたリトルフェンリルを見ながら考える。


このリトルフェンリルを20匹と100匹の狼の魔獣を従える奥様。それと同列に並べられるラインバッハ様も凄いんじゃないか?いや、間違いなく凄いだろう。


そこでエリアに声をかけられた。


「リョウマさん、何を考えてますの?」

「ん……奥様と同列に並べられるラインバッハ様もすごい人なんだなと思ってました」


家族を褒められて嬉しかったのか、笑顔になるエリア。しかし横から奥様が俺の言葉を否定した。


「リョウマ君、少し違うわ。私とお義父様は同列じゃないわ。お義父様の方が格段に凄い方よ」

「そうなんですか?」

「そうよ。従魔の数は私の方が多いけれど、お義父様の従魔は格が違いすぎるの。数は20匹に満たないけれど、その全てが冒険者ギルドで討伐依頼を出せばAランク以上の魔獣で、半分は竜種なのよ」

「竜!?」


今まで1匹も竜を見た事は無いが、10匹近くの竜とかヤバイのは分かる!!しかも全部がAランク以上の魔獣って1人が持つ戦力としては過剰戦力過ぎるだろ!!……ラインバッハ様、俺以上にチートじゃないか?


「む……竜がどうしたんじゃ?」


俺の声を聞きつけたラインバッハ様がこっちに聞いてきた。


「今ラインバッハ様の従魔の事を聞いたんです。凄いですね、竜種の魔獣を何匹も従魔に出来るなんて」

「儂の場合は運が良かったんじゃよ。適性もあったが、竜種で初めにテイムした魔獣がとても強くてな。そやつに従う竜種が纏めて儂の従魔になったんじゃ。心強い味方ではあるが、滅多な事では呼び出せん。周囲が大騒ぎになるからのぅ」


それはそうだろうな……


「それに、儂らは従魔術の開祖、シホ・ジャミール様には遠く及ばん。シホ様は従魔との契約に制限が無かったと聞く。全ての魔獣に適正を持ち、どれほど強力でテイムが難しい魔獣とも契約が可能だったそうじゃ。従魔の数は数え切れん程だったと記録に残っている」


開祖って転移者だし、神のチートだからだろう。ガイン達の話では良い人だったらしいな。


ネタが分かっている俺としては、従魔術の開祖の話よりラインバッハ様の竜達が普段どうしてるのかが気にかかる。




「凄い人だったんですね、そのシホ様は。……ところで、ラインバッハ様の従魔達は普段どうしているんですか?」

「領地の山の中に住んでおるぞ。魔獣が強すぎて危険な山でのぅ、まず誰も近づかんし、その山から魔獣が人里に降りるのを防ぎながら暮らして貰っておる」

「ルォーグ達も別の山に住んで貰っているわ。貴重な薬草が取れる山で、密猟者が多いから警備をして貰っているわね」

「なるほど」

「従魔術師は強力な魔獣を持つ程住む場所に困ってしまう傾向があるからね。リョウマ君も将来何か強力な魔獣をテイムして住む場所に困ったら僕達を頼りなさい」

「ありがとうございます」


空間魔法でスペースが足りなくなったら相談しよう。


急ですが、エリーゼとラインバッハの実力が判明しました!

現時点では主人公より公爵家の人々の方がチートだったりします。

こんなチート一家ですから主人公の非常識さを受け止められるんですね。


なお、適性の話の時に狼型の魔獣、鱗を持つ魔獣、四足歩行の魔獣などと言ってますが、これは単に作者がこの話を書いていて、魔獣に爬虫類とか哺乳類とかの分類は適切なのか?と思ったからです。


ファンタジーですから驚く様な生態を持っている魔獣が居てもおかしくないですからね。こうなりました。



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