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第二章 17話

2014/2/25の投稿です。


長さが微妙だったので一旦切りました。

今日はもう1話、少し短いですが投稿します。





 翌日


「う、うう……い、痛い……頭が……」


 今朝起きて昨夜会えなかったエリア達様子を見るために部屋を訪ねたら、ラインハルトさんが二日酔いでダウンしていた。


「あら、リョウマ君おはよう」

「おはようございます、皆さん」

「リョウマ君……」

「辛そうですね、薬でも調合しましょうか?」

「頼めるかい……?」

「了解です」


 俺はワープを使い、街の薬屋で二日酔いに効く薬の材料を買い、八百屋に寄って果物を物色して購入し宿に戻った。すぐに薬と、飲み合わせの悪くないジュースを作って持って行く。


「はい、これ飲んでください。あと水分を摂った方が良いですよ」


 柿が売ってたら良かったんだがな……それかしじみの味噌汁な。この世界転移者多いんだから何処かに無いか? 今度探してみるか。


「あ……ありがとう……いただくよ……」

「飲みすぎは控えるようにした方が良いですよ」

「面目ない……昨日は……うう……痛っ……」


 苦しむラインハルトさんから聞くと、役所の責任者達の中には何とか機嫌を取ろうとラインバッハ様とラインハルトさんには勿論、奥様やエリアにまで酒や豪華な食事をどんどん勧めて媚びへつらう者が居たらしい。


 奥様は良いが、まだあまり場馴れしておらずお酒を飲める歳になったばかりのエリアはまだペース配分がよく分かっていなかった。


 だから飲ませ過ぎないようにと寄ってくる者を追い払っていたが、しつこい者も居てエリアの代わりにラインハルトさんが多めに飲んでしまったのだと言う。


 話を聞いてちょっと不安になった。エリア、そんな事で大丈夫なのか? 大人になったらそういう機会が増えていくんじゃないか? 俺はテクン様の加護のおかげで二日酔いも泥酔もしないから少しは安心だが……この体が何処まで飲めるかまだ分からないが一応前世での経験もあるしな。


 俺も一度どれだけ飲めるか確かめておくべきか?


 そんなことを考えつつ、ラインハルトさんが薬とジュースを飲むのを見届けてから俺は宿を出た。


 今日は少し遅れたが店に行く。そして、簡単な確認だけで店を出る。


 そして今日も廃坑に行く、今日は試したい事があるからな。道中でスライムも捕獲しよう。


 その前に冒険者ギルドで薬草採取の依頼を受けに行こう。道中に採取すれば良いからな。


「こんにちは、メイリーンさん」

「あらリョウマ君、今日はギルドの仕事?」

「はい、もう店の方は完全に従業員に任せられるようになったんで」

「自分のお店を持って人を雇えるなんてその歳で大出世ね」

「運が良かったんですよ」

「そうかしら? あ、依頼じゃないんだけど、リョウマ君には良い話があるかもしれないわ」


 良い話?


「良い話とは何でしょうか?」

「実は他の街から来た5人組の冒険者が居るんだけど、そのパーティーが希少なスライムを捕獲して持ってきたのよ」


 何ですと!?


「その話、詳しくお願いします」

「希少な魔獣を捕まえたり希少な魔獣が出没した情報を得た場合、テイマーギルドに売ると結構いいお金になる事があるの。それでそのパーティーは、偶然見つけたそのスライムをテイマーギルドに持って行って売ろうとしたのね。でも、結果は大した値段にならないどころか買取も拒否されたわ。

 彼らはまだ若手で事前の情報収集を怠ったから、希少でもスライムは売れない種類が多いって知らなかったのね。リョウマ君のヒールスライムとかなら話は別なんだけど……結構お金を使ってこの街まで来たらしくて、途方に暮れてるらしいの」


「つまり、お金次第ではそのパーティーから希少なスライムを買える、と?」

「その通りよ。で、欲しい?」

「欲しいですね、とても。そのパーティーの居場所は分かりますか?」

「街の東にある穴熊亭って安宿に居るわ。パーティーの名前はシクムの桟橋よ」

「ありがとうございます、行ってきます」


 俺はすぐさまギルドを飛び出し、穴熊亭へと急ぐ。





 穴熊亭は簡単に見つかったが…………外観が物凄くボロい。なにこれ、廃墟? ……とりあえず入ってみるか……


 店に入ると、カウンターに居た男がぶっきらぼうにこう言う。


「らっしゃい、客か?」

「ここに泊まっているシクムの桟橋という冒険者パーティーに用があるのですが、今いますか?」

「いるぜ」


 そう言って右にある扉を指差した。


「あの向こうは食堂兼酒場になっててな、向こうで飯食ってる。1人は昼間っから酒飲んで愚痴ってるから気をつけな」

「ありがとうございます」


 ぶっきらぼうだが、いい人だった。おれは扉を開けて食堂に入る。するとそこに客は5人だけで、彼らが例のパーティーだとすぐ分かった。5人は全員10代後半だと思われる。


「すみません、皆さんがシクムの桟橋というパーティーの方々ですか?」


 俺が声をかけると彼らの目が俺の方に向く。


「ん? 君は?」

「申し遅れました、リョウマ・タケバヤシです。従魔術師であり、冒険者をさせて頂いてます」

「ハン! テメェみたいなガキが冒険者だって?」

「やめろセイン。すまない、こいつ今機嫌が悪くてね……」

「事情は知っています。希少なスライムをテイマーギルドに持ち込んだが、買い取って貰えなかったそうですね」

「ああ、それで……」

「ああん!!? なんだテメェ! 喧嘩売ってんのか!?」


 セインと呼ばれていた男が立ち上がり俺の方に歩いてこようとしてパーテイーメンバーに止められる。


「いえ、喧嘩を売っている訳ではありませんよ」

「なんだ?じゃあ馬鹿にしてやがるのか!? こんなガキにまで……クソッ!! ああそうだよ! 俺たちゃ馬鹿だ! 希少な魔物を売りゃ大金が入ると思って、遠くからここまで時間と金かけて来て、結局買い取ってもらえずに大損だ!! だが何でテメェに馬鹿にされなきゃなんねぇんだ!!」


 セインはそう叫んでからその場で泣き崩れた。完全に酔っ払いだな、被害妄想が激しいし。


「セイン」

「落ち着けって」

「僕、セインを部屋に連れて行くよ。こんな状態じゃ話にならないから」

「俺も行こう」


 セインという男は名前の分からない2人に部屋に運ばれていった。


「改めて、僕たちはシクムの桟橋、僕はリーダーのシンだ」

「俺はカイだ。さっきはセインがすまなかったな」

「いえ、問題ありません」

「そう言ってくれると助かる。それで、君は僕たちに何か用があったんだろう?」


 そうだ、それが重要だ! 酔っぱらいが居ようがどうでもいい!


「はい。先程言った、売れなかったスライムを僕に買い取らせて欲しいのです」

「あのスライムをか?」

「買い取ってくれるならありがたいが、なんでだ? テイマーギルドの連中には大笑いされたぜ?」


「僕はスライムを集めているんですよ。そして、スライムの研究をしています。そのために希少なスライムがいるのなら是非とも手に入れたいんです」

「スライムを集めているのか、珍しいな。だが、カイが言ったとおり買い取って貰えるならありがたい」

「売って頂けるんですね? お幾らでしょう?」

「そうだな……君が決めてくれないか? テイマーギルドでは無価値と言われたからな、値段を付けにくい」

「お前が払っても良いって値段でも損は無いな。このままだったら明日にでも始末するつもりだったし」


「そうですか、ではそのスライムを見せて頂けますか? 僕の飼っているスライムならば安く、飼っていないスライムならば高く買い取ります」

「それでいい」

「今持ってきてやるから待ってろ」


 そう言ってカイさんが席を立ち、3分で石の箱を持ってきた。


「この中にスライムが居る。気をつけて見てみろ」

「失礼します」


 俺は注意しながら蓋を開け、中のスライムを見た。


 そのスライムは赤黒い体を持ち、普通のスライムよりドロドロと液体に近い体をしていた。それを確認し蓋を閉める。


「どうだ?」

「僕の飼っていないスライムでした。高額で買い取らせて頂きます……失礼ですが、ここまで来るのに幾ら使いましたか?」

「5人で5000スート位だ。出費は出来るだけ抑えたんだが、これ以上は抑えられなくてな」


 それを聞いて俺はアイテムボックスから小金貨を1枚出す。


「それではその倍額の10000スートを支払います」


 その言葉に慌て出す2人。


「マジか!?」

「スライム1匹に小金貨を払っていいのか?」

「問題ありません、新しいスライムを手に入れられるのは皆さんのお陰ですから」


 新しいスライムに小金貨1枚なら惜しくはない!


「そ、そうか……こちらに文句はない」

「では、これを」


 俺は手に持っていた小金貨をシンさんに渡した。


「確かに」

「ではこのスライムは頂いていきます。ありがとうございました」

「礼を言うのはこっちのほうだぜ」

「これで当面の金の心配は無くなった、セインも落ち着くだろう」


 なんとなくあの男の気持ちもわからんでもないな……金が無いと無性に不安になる時もある。


 そういえばもうすぐ大きく稼げる依頼が出るんだったっけ?


「そうだ、お金を稼ぎたいならしばらくこの街に留まるのも良いと思いますよ? 何でもこの季節この街の近くの沼に毎年、とある魔物が大量発生するらしいんですが、聞いた話だとその魔物が薬の材料として高く売れるそうです。沼の悪臭さえ我慢すれば実入りは大きい仕事だと聞きました」

「本当か?」

「はい、ギルドで確認してみて下さい。発生時期は詳しく分かりませんが、近々起こるそうです」

「助かるぜ!」

「良い情報をありがとう。何か礼は出来ないか?」


 礼なんかいらないんだが……そうだ、せっかくだし宣伝してみるか。


「だったら今度ウチの店にお客として来て下さい、僕は副業で洗濯代行業をやってるんです。副業という規模じゃなくなってしまいましたが」

「洗濯代行?」

「はい。店で売っている袋1つに入る量の服なら、何枚でも中銅貨1枚で洗濯します。さらに冒険者の方には中銅貨1枚と小銅貨5枚で鎧や装備の洗浄サービスもありますよ」

「そんな店があるのか」

「分かった。安いし、行ってみる」


「ありがとうございます、場所は街の東にある住宅街の手前です。冒険者の方も大勢いらっしゃいますし、道に迷ったら人に聞けばすぐ分かると思いますよ」

「必ず行こう」

「よろしくお願いします」


 俺は石の箱を持って穴熊亭から出て、鉱山へ向かった。スライム研究には一番適してるからな。周りに気を使わなくていいし。





 鉱山についた俺はまず防水布の加工を始める。今日は50反だ。


 どうせここに居るならやっておかなきゃ損だからな


 やる事が終わったら、とうとうテイムだ。石の箱の蓋をそっと開け、中のスライムを見据えて従魔契約をした。その後魔物鑑定をすると


 ブラッディースライム

 スキル 吸血Lv4 消臭Lv3 病気耐性Lv3 毒耐性Lv1 擬死Lv10 消化Lv2 吸収Lv4 分裂Lv1


 ブラッディースライムか……食事は絶対に血だな、これ。吸血ってスキル持ってるし。消臭と病気耐性、それにレベル低いけど毒耐性のスキルも持ってる。それに何この擬死ってスキル、擬死って死んだふりだよな? ……まぁスキルは別に問題ない。


 問題は餌だ、餌が血となるとどうするか……


「適当な獣か魔獣を狩ってくるか」


 俺はスライム達に遠くに行かなければ好きにしていて良いと指示を出し、ブラッディースライムを連れて狩りに行く。


 すると数十匹のスライム達は訓練用の棒や槍を持ち出して訓練をしていた。


 ……何かえらい熱心な奴らが居るな……何匹かが固まって一糸乱れず俺が教えた棒術と槍術と体術の基本動作を反復練習してるし、2匹1組で組手や試合をしてる奴らも居る。だんだん動きも良くなってきてる気がするし。



 そんな事を考えつつ獲物を探し回り、ホーンラビットというウサギの魔獣を見つけた。


 アイテムボックスから弓と矢を取り出し、1発で仕留める事に成功する。そして仕留めたホーンラビットに近寄り、ブラッディースライムに食べていいと言うと、ぬるりと滑るようにホーンラビットに寄っていき、傷口から出る血を吸い始めた。


 傷口から血を吸うのか……地球にも血液を飲む生物は居たな、蚊とか蚤とか……そういえば血を飲む鳥もいたな、そんな感じだろうか……!?


 ブラッディースライムの行動を観察しつつその生態を予想していると、ブラッディースライムは普通のスライムより液体に近い体を更に液状に近くし、ホーンラビットの体内に入っていった。


「傷口から中に入るのか?」


 予想外だった。


 ブラッディースライムの体は他種のスライムより粘付きが無く、ドロドロではなくサラサラの液体になれるようで、コイツはそうやって生物の血管内に入り込み体中の血を吸いつくせるようだ。


「これは……今までのスライムとはまた毛色が違うな、こんなスライムも居るのか」


 俺がブラッディースライムの行動に驚いていると、ホーンラビットの体からブラッディースライムが出てきた。……体の色が赤黒いので、血が吹き出てくるみたいでちょっと不気味だな。


 ブラッディースライムが完全に出たのを確認し、ホーンラビットの死体を鑑定する。


 状態はどうだ?


 ホーンラビットの死体

 角、肉、皮を剥ぎ取る事が出来る。

 首に矢を受け一撃で仕留められているため、角や皮に傷が少なく高品質。

 仕留められた後速やかかつ完全に血抜きが行われたため臭みが激減した、肉は最高品質。


 角と皮は分かるが肉は何だ? 血抜き? まさかブラッディースライムの吸血か? そうだろう。それしか思い当たらない。しかし最高品質はいいが、病気とか無いよな?


 そう思ってもう一度鑑定して調べてみると病気などは無く、安全だった。


 冒険者や狩人としては凄く便利な能力を持ったスライムだと思う。


 鉱山に戻ってホーンラビットを解体し、肉を焼いて食べてみると本当に臭みがなくて美味しい肉だった。臭みに関しては消臭のスキルも関わってるのかもしれない。


 ……ブラッディースライムに進化させるにはやはり血を飲ませるのか?


「どうやって血を集めるか……ここらの獣や魔獣を大量に刈りまわる訳にもいかんしなぁ……」


 スライムを総動員すればそれなりに集められると思うが、生態系が乱れるかもしれないし他の冒険者達の仕事を取ってしまう。


「そうだ! ジークさんに話してみよう」


 ジークさんは肉屋の店主だ。冒険者が持ち込んだ肉を買い取ったりするそうだし、もし店で血抜きをしていたら抜いた血を分けて貰えるかもしれない。街に戻ったら行ってみよう。



 それから廃坑に戻る際にスライムの捕獲を忘れていた事を思い出す。


 その後、探し回って坑道内で3匹のスライムを見つけたので捕獲し、テイムする。


 まだ布は乾いていなかったので、そのまま実験に入る。


まさかの買い取りという形で新しいスライムが登場。


小説だと普通は自分で捕獲に行きますよね。でも、こういう手に入れ方もあるんじゃないか?と思いついたので書きました。


主人公、希少なスライムという言葉で若干暴走気味でしたね。


ちなみに今回酔っぱらいが2人も出たのは、作者がこの話を書いた時に二日酔いだった影響かと思われます。インドのビールを貰ったので飲んでみたんですが、体に合わなかったのかコップ一杯で軽く酔い、翌朝二日酔いです。


皆さん、成人の方はお酒の飲み過ぎに気をつけて下さいね。

未成年は飲んじゃダメですよ。この小説の中の法では合法ですが。




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