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第二章 6話

本日の投稿です

 魔獣討伐5日目 店建築1日目


 廃坑での仕事が昼休みに入り、食事をもらって休憩しているとウェルアンナさんたちがやってきた。よく見ればその後ろからジェフさんとアサギさんとレイピンさんも来ていた。皆返り血まみれで……


「リョウマ、助けて欲しいにゃ……」

「クリーナースライムでこの血を落としてくれないか? 臭くてたまらないよ」

「ゴブリンですか? また派手にやりましたね」


 そう言いつつクリーナースライムに命令して7人の体を清潔化する。


「あ~やっと綺麗になった……リョウマ君のクリーナースライムってホント便利よね」

「助かったでござる。先程までのなりでは、昼飯を貰いに行きづらいでござるからな」

「まったく、ジェフは仕事が雑なのである」

「もう謝っただろ……」


 7人が昼食を貰ってくるのを待ち、食べながら話を聞いてみると、7人は新しく見つかったゴブリンの巣を潰したらしい。この前のゴブリンの生き残りらしい。巣の規模は7人と他数名の少人数で問題なく潰せる大きさだったそうだ。


 皆さんが血まみれになった原因は討伐のせいでもあるが、死体の処理の段階でジェフさんが自分の槍で死体を刺し、引っ掛けてぶん投げるという方法で死体を一箇所に集めていた事にあるらしい。


 死体が早く集まったのは良いが、積み上がったゴブリンの死体が不安定で集め終わってここに戻ろうと話していた所で崩れ、偶然そばに居たジェフさんら7人に向けて崩れ落ちてきたそうだ。


 皆さん転がり落ちてくる死体は躱せても死体から噴き出る血しぶきまでは躱せず、運動神経が良いとは言えないレイピンさんに至っては死体の直撃をくらったらしい。


「大変でしたねぇ……」

「まったくだよ。リョウマがいなきゃ体が臭いまま飯を食って午後の仕事をしなくちゃいけない所だったよ」

「ゴブリンの汚れをこんなに手軽に落とせるなんて、本当にすごいですよ」

「ありがとうございます」


 そこで俺は7人に洗濯屋の事を話していないのを思い出し、話すことにした。


「そう言えば、3日前話した洗濯屋の事覚えてますか?」

「覚えてるぜ、それがどうかしたか?」

「あれ、今度から始める事にしました」

「おっ、マジか? 何時からだ?」

「まだ店舗の用意などが出来ていませんので少し先になりますね。値段はこの前話していたのと同じ中銅貨1枚です」


「店舗、という事は店を構えるのであるか?」

「知り合った商人の方の所に洗濯屋で使う袋を見に行った際少し話をしたら、大きな利益が出る事が予想されるため、ギルド登録をしないと問題になる恐れがあると言われたんです。


 登録に行った時ちょうど昔倒した盗賊の賞金がありましたから、そのお金で土地を買いました。店員はギルドで雇う事もできますし、話した商人の方が協力して下さるそうなので冒険者業も続けられますから」


「なるほど。その歳で店を構えるとは驚きであるが、考えてみると当然であるな。我輩たちのようにリョウマのスライムの能力を知ってる冒険者はまず間違いなく利用するである。更に噂が広まれば大繁盛間違いなし、店を持たずに一人で行うのは無理である」

「出来ない事は無いかもしれませんが、それでは冒険者業をする時間は取れなくなりますよね」

「はい。予想以上の大事になって驚いていますが、冒険者としての仕事も続けられるので良いかと。店を始める前には言いますので、是非ご利用ください。集団で申し込むと値段がお得になる割引サービスもございますから」

「お、そうなのか? なら誰か誘ってみるか…」

「リョウマ君がもう商人みたいににゃってるにゃ」

「元から丁寧な喋りをしていた故、違和感がまったく無いでござるな」


 そんな話をしながら食事をし、午後の仕事を終えて街に戻り、セルジュさんを訪ねて購入した土地を見に行く。


「こちらがリョウマ様の土地になります」

「本当に、広いですね」


 今俺の目の前には2階建てで崩れ放題な建物が立ち、少年野球の練習場より少し小さい位の空き地があった。20m×100m位か? 広さだけならばセルジュさんの店より大きいだろう。


 地図で見た時はもっと狭いと思ってたんだが……


「この場所に酒場があったというのはもうご存知と思いますが、宿屋も兼ねていたのですよ。火事の原因は宿泊客の不注意だそうです。


 土地を分けて売り出そうともしましたが、瓦礫の撤去などを考えるとどうしても割高で、誰も手を出さなかったのです。その結果長く売れ残り、時間が経ち土地の状態が悪くなり、更に誰も手を付けないという悪循環でリョウマ様が購入なさるまで売れ残っていたのですよ」

「なるほど…ここを本当に好きにして良いんですか?」

「はい。敷地内でしたらどうぞご自由に。今日から作業を始められますか?」

「ありがとうございます。まず今日は雑草刈りと建物の取り壊しを少しだけしたいと思います」


 俺はスカベンジャースライムをディメンションホームから出し、建物から離れた場所にある草を全て食べて貰う。そのあいだに俺は建物の中に入り、防音結界を張り、上の階から少しずつ天井の板を崩していく。その後横の石壁を『ブレイクロック』で土に変えて外に出す。


 そして『ウインドカッター』で柱を切り倒し少しずつ解体していく。建築スキルLv3の効果でどこをどうすれば建物が崩れるかが分かるんだ。


 俺の建築スキルはバイトで言われた事に従う単純作業だけで取得したんだが、この世界に来てからは設計等の知識が入ってきたため、解体は勿論今では単純な作りの建物なら頑張れば設計も出来る。


 建築スキル凄い。魔法、超便利。


 1時間程で敷地半分の雑草刈りと建物半分の解体が終わり、夜遅くなるので帰る事にする。


 ちなみにセルジュさんは俺の作業をずっと見ていて、その作業速度に驚いていた。スライムによる人手と俺の膨大な魔力によるゴリ押しだからな。それは早いだろう。











 魔獣討伐6日目 店建築2日目


 鉱山の魔物討伐が今日で終わった。ハプニングが色々あったが、これでこの依頼も達成だとギルドマスターから皆に声がかけられた。ここから先は、俺が管理する事になる。忙しいが、しっかりやらないとな。少なくとも向こうに住むまでは週に1回は見回ろう


 そう思っていると、ギルドマスターに呼び出された。


「リョウマ、ちょっと来てくれ」

「はい」

「まず今日までお疲れさん。今日の分の魔物の死体はいつもの所だ。それからこの依頼の達成を以て、お前さんは正式にEランクに昇格だ。で……公爵家の執事から聞いてたが、この廃坑の管理、お前さんがやるんだよな?」

「はい、そうです」

「お前さんなら大丈夫だと思うが、気をつけろよ。手が足りなければ何時でも言え、その報告もお前さんの仕事だからな」

「了解です」

「しかし公爵家の援助を断って自立とは、お前さんもよく決断したもんだ」

「少々甘え過ぎていた事に気づきましたので、気を引き締めたいと思いまして」


「ガキなんだから無理はすんなよ。で、その自立のためにクリーナースライムで洗濯の仕事もするとか聞いたが……マジなのか?」

「本当ですけど、もうご存知だったんですか?」

「この依頼受けた冒険者の間じゃかなり有名な噂になってる。連中はクリーナースライムの事を知ってるから、店が開くのを待ってるみたいだぜ」

「そうですか、それでは店の建造を急ぎます。僕の魔法で建ててますので、もうしばらくお待ち下さい」


「おう。それで一つ聞きたいんだが俺も洗濯屋は利用できるんだよな? 値段は?」

「勿論どなたでもご利用になれますよ。値段は専用の袋1つにつき中銅貨1枚となっております。また、集団向けのコースが2つあり、そちらに申し込まれると割引が効きますよ」

「ほー、なら職員集めて申込みてぇ奴居ないか聞いてみるわ。ぶっちゃけ、どのぐらい得になるんだ?」

「個人向けと一番大きい集団向けのコースを1週間分の支払いで比べますと、一人当たりの支払額が単純計算で2割減りますね」

「そんなに安くなんのか?」

「はい、元々冒険者としての仕事の合間に最低限の生活費が稼げればいいと思って考えた仕事ですから、お安く請負いますよ。割引は初回限定等ではなく、申し込んだコースによって毎回その割引がされますから、ギルドで申し込みをされると得ですよ」

「なら、尚更声かけてみねぇとな」

「よろしくご検討下さい」



 その後、話が終わってから俺は街に帰り、建物の解体作業をした。今日は比較的多く時間を取れたため、建物の解体と雑草刈りが全て終わった。それから道の方に目を向けると、子供たちが数人遠巻きに俺を見ていたのに気づく。作業に熱中してて気づかなかった。


 俺は怖がらせないように近づき、声をかける。


「何か用ですか?」


 俺の言葉に、子供の集団の中で一際幼い少年が答える


「お前、見ない顔だな? 誰だ!」


 その喧嘩腰の言葉に、隣に立っていた少女が幼い少年を叱り、一番の年長と思われる少年が謝ってくる。


「こらリック! 失礼でしょ!」

「いきなりごめんね、リックはちょっとやんちゃでさ。それに、仕事の邪魔しちゃってごめんなさい」

「いえいえ、作業に夢中で気づきませんでしたから。それにちょうど終わった所ですし、問題ありませんよ」

「そう? ありがとう。君、凄いね。僕とそんなに年が違うように見えないのに、あんなに魔法使えるなんて」

「お兄ちゃん、魔法使い?」

「冒険者?」


 周りの子達から矢継ぎ早に質問が来る。少し慌てつつも返答しようとすると、その前に女性の声が飛んできた。


「ちょっと落ち着きな! そんなに一気に聞いてもその子が答えられないよ!」


 声のした方を振り向くと、恰幅のいい女性が立っていた。


「悪いね、うちの子達と近所の子が迷惑かけて」

「迷惑なんてとんでもないです。あと、ありがとうございました」

「へぇ、その年で礼儀正しいね。アンタ、冒険者なのかい?」

「はい、先日登録したばかりですが」

「そうかい、頑張んなよ。今日は何か依頼を受けたのかい? 長いことあった空き地が綺麗になってるけど」


「いえ、今度ここで冒険者業の合間に洗濯屋を開くので、その場所を作りに来ました。ひょっとして、この近所にお住まいですか?」

「ああ、あたし達は全員近くの住宅街に住んでるよ。それにあたしはここの隣で花屋をやってるんだ」

「そうでしたか、ではお隣さんになりますね。これからよろしくお願いします。後日また挨拶に伺いますので」

「いいよいいよ、気にしなくて。それより洗濯屋って言ったね? お金を払えば洗濯してくれるのかい?」

「はい」


 俺はアイテムボックスから個人向けの1袋を取り出し、説明する


「これが家庭用の袋で、これ1袋に入る服は中銅貨1枚で洗濯させていただきます」


 そう言うと女性は興味を持ったようだ。


「これ1袋で中銅貨1枚かい? そいつは安いね」

「よろしければ、洗濯屋がオープンした際には1度無料で請負いますよ。お隣さんですし」

「本当かい? じゃあ、1度頼んでみるよ。アタシはポリーヌさ。このやんちゃなのが息子のリックで、こっちのおてんばが娘のレニだよ」

「俺はリックだ、子分にしてやってもいいぞ!」

「何馬鹿なこと言ってるの! ゴメンね。私はレニ、よろしくね」

「僕はトールだよ、よろしく」

「よろしくお願いします、リョウマ・タケバヤシです」


 それからこの辺の話を聞き、礼を言って今日は帰った。


 そして宿で建物の設計を行った。考えた結果、土地全体を店にすると大きすぎるので、半分を店舗、4分の1を従業員用の宿舎、そして残りの4分の1を裏庭とすることにした。


 裏庭とは言っても、実質的に放置だな。壁作りと草刈り位の整備はするけど。


竜馬の購入した土地は、高いだけあってかなりの広さでした。


20m×100m=2000㎡ コンビニの売り場面積は大体100㎡位らしいですよ?


その20倍、広過ぎますね。


土地の広さは作者が野球をやっていた頃の練習場の広さを朧げに思い出しつつ、縦横の長さを変更して書きました。作者の中で広い土地と言うと、学校かその野球練習場しかイメージできなかったので。


あと、今回登場した女の子のレニですが、ヒロインにはなりません。



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