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マリンガールズ〜思いを乗せた方舟〜  作者: ハナビ
海の学校
20/70

広い世界

私たちが話していると、港の建物から数名の大人の女性が現れました。

「あなたたち。どうしたのかしら?」

大人の女性は右胸に職務や技能・資格を示すき章と防衛記念章、防衛功労章が付いています。さらに、左の襟にもいくつかの星が付いた白い制服を着ており、整った姿となっていました。

「えっと。はい。その。」

「沖野さん。少し落ち着いたら?」

沖野さんは大人の女性が現れると緊張しながら、話そうとしています。

「えっと。その制服は、海上自衛隊の方ですか?」

「湊さん。この方々を知らないのですか?」

沖野さんは興奮しながら私に紹介して下さりました。

「私たちから見て、左の方は、海上自衛隊、横須賀地区横須賀地方総監部室長。一等海尉の佐久間仁美さんです。」

「日本が保有している定住船の自治権の許可に尽力してくれた人なの。」

海上自衛隊の方と関わることがないため、疎い私でも知っている名前であり、有名な方です。

「右の方が海上自衛隊、海洋高校の先生でもある。二等海尉、内海渚先生です。」

「後ろの三名は…?」

私はこの中で階級の高い二人の紹介を聞くと、後の方の紹介も聞こうと、尋ねました。

「我々の紹介は、必要ありません。いずれあなた方が部下として動かす者共と考えておいてください。」

「この方は海上自衛隊、横須賀地区第一護衛隊群。三等海尉の塩見明久さんです。」

佐久間さんは男性自衛官の紹介も下さります。

「同じく、海上自衛隊、横須賀地区第一護衛隊群。三等海尉の浅井幸則さんです。」

「こちらの方は海上自衛隊、横須賀地区第一護衛隊群。海曹長の熊崎大吾さんです。」

内海さんは他の男性自衛官を紹介し終わると、私たちに尋ねてきました。

「あなたたち。海洋高校の新入生かしら?」

内海先生は私たちを見て最初に尋ねてきました。

「はい。私は戦艦比叡の艦長を任されております。碇鎖霧です。」

「同じく戦艦比叡で、航海長の任を頂いた。沖野香里と申します。」

「私は重巡洋艦青葉の艦長を任されました。」

私は一人。重巡洋艦と言いにくく、小さな声で自己紹介をしました。

「戦艦比叡の艦長と航海長。重巡洋艦青葉の艦長ね。」

「重巡洋艦は青葉。ただ一隻。あなたも幸運艦と呼ばれているのは、知っているよね。」

「はい。」

上司となる二人の女性は、私に話しかけて下さりました。

「艦には私たちが計り知れない力が宿っており、昔からそのような話が伝えられている。重巡洋艦青葉はそのような力を持った艦です。乗組員であるあなたにも何かを感じる。だから。自信を持って。」

佐久間さんは過去の重巡洋艦青葉に宿っていた力について話して下さり、私を元気づけようとしているように感じました。

「えっと。私は…艦に乗っても戦いをするわけではないので、気にしていませんよ。」

私は重巡洋艦青葉について話して下さった佐久間さんに笑顔で答えました。

「『戦いをするわけではない』っか。その通りだね。」

佐久間さんは私の方を見て笑顔になり、空を見上げました。

「佐久間さん。あの。佐久間さんの時はどの艦で航海実習をなされたのですか?」

沖野さんは航海実習の話に戻ってきたようで、佐久間さんに質問をしました。

「え?私ですか?私は…護衛艦…。っと。」

佐久間さんは答えるのを途中で止めて額に流れる汗を拭きました。

「教えてくださいよ。」

「いや。年が割れてしまうから。」

佐久間さんは年齢に関して警戒しているようで、沖野さんの質問に対して答えるのを止めました。

「護衛艦と言うことは…。」

沖野さんの艦船データに護衛艦と言う言葉がかかったようで、携帯電話を持ち、調べ始めました。

「私は戦艦大和よ。」

内海先生?は何も躊躇することなく、答えました。

「大和ですか?」

「ええ。水測員だったの。」

内海先生?は話を少しすると、私たちに航海実習の話をして下さりました。

「私たちの頃も同じようにやったわ。危険な事故や救難もなかった安全な航海実習になったの。でも、だからと言って気を緩めると痛めにあうから気を付けて、確かに優れた艦の乗組員になると、嬉しくなると思うけど、これは大切な事だから気を抜かないように。」

内海先生は私たちの方を厳しい視線で見つめました。

私は内海先生の言葉を重く受け止め、大きな返事をしました。

「はい。」

私が返事をすると、隣にいた鎖霧ちゃんと沖野さんも同様に返事をしていました。

「あなたたち。明日は、忙しいのだから。そろそろ帰った方が良いわよ。」

時刻は午後二時頃。日が強くなりだし。地面も溶けそうになる時間となったため、私たちは港のすぐ隣に建てられた建物へと向かいました。

「ここは自衛隊を紹介する施設ですか?」

沖野さんは建物に入ると、外にいた時よりも熱くなりました。

「沖野さん。大丈夫ですか?」

「ご心配なく、私は平気です。それと。私も下の名前で構いませんよ。ヒナさん。」

「は…はい。」

香里さんの熱は高いものの。室内は冷房が効いており、香里さんの熱も少しずつですが、下がってきています。

「私たちは港の支部に戻るわね。」

「ありがとうございました。」

私たちは佐久間さんと内海先生を見送り、施設内で観光をすることにしました。

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