3章 錬金国家アルケミー38 -18日目・Cランク昇格試験中編 -
ー冒険者ギルドの受付ー
「来たな、おまえ達」
「おっさん、昇格試験を受けたい」
「ギルドマスターと呼べ。一昨日のルーフの亡骸回収依頼で、おまえさんのパーティー全員依頼達成回数が5回になった。試験の準備はしてある。とりあえずついて来い」
ギルドマスターの案内で俺たちは地下へと行った。階段が終わると扉があり、そこを抜けるとかなり広い部屋に出た。
「ここの壁や天井はちょっとやそっとの物理攻撃・魔法攻撃では壊れない」
「それなら、全力で闘っても大丈夫って事だな」
「…お前さん以外はな」
そう言うと、おっさんはため息をついた。
壁や天井が壊れる可能性があるから、俺は全力で闘うなって事らしい。
「さて、試験官はBランク以上の冒険者が務める。今回の試験官は…」
「ギルドマスターなんだろ?他の人はいなさそうだしな」
ギルドマスターは黙ってしまった。図星だったようだ。
「…気を取り直して。今回の試験官は俺だ。
5対1で俺と試合をしてもらう。ハンデとして俺は能力や魔法を使用しない。おまえ達が俺を戦闘続行不可能にできれば勝ちだ」
「それで合格の条件は?」
「ギルドマスターを戦闘続行不可能な状態に追い込むのが、合格の条件じゃないのか?」
クジャク姉は『どういう事だ?』と言う顔をしながら言った。他の3人は『何言ってんだこいつ』と言いたそうな表情をしていた。
「お前さん、細かい事を気にしすぎたら長生きできないぞ。…まぁその辺は教えられないから、全力で来い!としか言えないな」
おっさんは苦笑いして、俺の質問に答えてくれた。駄目元で聞いたが、やはり教えてくれないか。




