3章 錬金国家アルケミー12 -13日目・間違った選択-
依頼を出してから一週間後、俺とクジャクが冒険者ギルドに入るなり、受付にいたおっさんが話しかけてきた。
「おう、ボウズ。あの依頼を受けた奴がいるぞ」
そう言いながら、その人物が座っている方を指差した。
「………」
ルーシェが座っていた。俺は、この前の事をまだ怒っている。依頼を取り下げる気はない。状態確認を使い、ギルドに出入りする冒険者全員を見たが、俺の求める人材ではなかった。彼女ぐらいしか依頼を達成できる人間はいない。だから他人行儀に接する事にした。
「依頼を受けていただき有難うございます」
「その喋り方やめて…」
「では早速依頼内容の確認をさせて頂きます」
「だからその喋り方やめてって言ってるでしょ⁉︎」
俺は無視して話を続けた。
「私の国に伝わる呪いのお面をつけたこの女性が呪われていて、その呪いから彼女を助けたいのです。あなたは回復魔法と解呪魔法、どちらが使えるのでしょうか?」
「…どっちもよ」
ルーシェは俺の喋り方について諦めたようだ。
「では解呪魔法の方でお願い致します」
「解呪魔法を使う前に、成功した場合の追加報酬を請求するわ」
「それならこの話は無かったという事で…」
彼女なら成功するだろう。
ただ、追加報酬を要求してきたのが解せなかった。だから俺は断った。
「もう…知らない…」
ルーシェは泣きながらギルドを飛び出して行った。そして俺はクジャク姉に左頬のあたりを殴られ、胸ぐらを掴まれた。
「見損なったぞ!」
「何すんだ!」
「あの娘はお前の仲間なんだろ?」
「…この前まではな」
「お前は彼女の気持ちを蔑ろにしている!」
「意味が分からない」
「そんな奴に助けられる筋合いはない!」
そういうとクジャク姉は俺を突き飛ばし、外へ出て行った。俺は立ち上がりおっさんに聞いた。
「おっさん、俺何か間違えたかな…」
「間違えまくりだな。それとギルドマスターと呼べ」
「俺は一体何を間違えたんだ?」
「…答えを教えるのは簡単だ。それじゃ意味が無い。お前自身、何を間違えたのか考えろ」
ギルドマスターは少し怒っているようにも見えた。
俺があいつにやったことは、言葉遣いを変え他人行儀に接しただけだよな?
あいつは嫌がってた…。それだけなのか?
そもそも何故あいつは俺の依頼を受けた?
喧嘩別れした相手の依頼だ。普通は受けないだろ。
クジャク姉も俺が悪いというような事を言って飛び出すし、訳が分からない。とりあえずクジャク姉を探さないと…。
その日、クジャク姉は俺の前に姿を現さなかった。状態確認を使いながら、街中を走り回った。だが彼女は見つからなかった。




