3章 錬金国家アルケミー8 -6日目・別れと再会-
状態確認で死人がいない事を確認し、俺は冒険者ギルドの中へ戻った。死者はいないが全員入院確定の状態になっている。
「あいつら突然空高くに浮いて落下するという見事な自爆してくれて助かったー」
と白々しくギルドマスターに対して言い、クエストボードの横にある情報が張られる掲示板を見た。
どうやらジャポネーグ国がエランジェルイト国に戦争を仕掛けられ敗北したようだ。国主の親族と、重臣の親族は処刑された事も書かれていた。
「俺は運が良かったのかもな…」
ふとクジャク姉の顔が脳裏によぎる。
「あいつだけでも逃げのびていて欲しい…」
俺はそう呟いた。何だかんだ言っていたが、彼女の事が嫌いなわけではない…。
彼女は戦場からは決して逃げ出さない。戦場から逃げるぐらいなら彼女は自ら命を絶つだろう。
「…ルーシェ…俺もエランジェルイト国について一緒に調べる…」
「私1人で調べるわよ。あんたの復讐に手を貸す気はないわ」
「ああ、そうだな、ごめん…。とりあえず宿に戻ろう…」
「ええ…」
そう会話し、ギルドの入り口に向かおうとした時、赤色の狐のお面をつけ、忍び装束を装備した女が入ってきてこう言った。
「ここにセッテ・ネコヤナギという名の奴はいるか?」
その問いに、ギルドマスターが答えた。
「セッテ・ネコヤナギ?そんな名前の奴は知らんな。名前からしてそいつはジャポネーグの人間か?」
「そうだ」
「ジャポネーグの人間なら知ってるぞ。そこのそいつだ。あと、ギルド内で騒ぎは起こすなよ。起こしたら俺が相手になるからな」
と言いおっさんは俺を指差した。
おいおっさん。そんな簡単に情報教えるなよ。最初に会った日、俺に『情報は秘匿するもの』だって言ってたろ。
俺を見るなり狐面の女は「やっと見つけた」
と言った。
こいつは間違いなく、ジャポネーグから俺達を始末しにきた追跡者だ。俺は臨戦態勢に入った。異常な速さで動いて一撃で決めようと思った。ギルドマスターにバレなければ何とかなると考えたからである。
状態確認を使ったが、狐面の女の情報は見えてこない。
狐面が能力の妨害をしているのだろう。そう思い狐面に対して状態確認を使ってみた。
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赤い狐面
一部詳細不明。
装着者の情報を秘匿する。
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やはりそうか。どれぐらいの強さか分からない。それに詳細が全て分かったわけじゃない。まだ何か効果がありそうだ。それだったら戦闘は避けるべきだな。もしかしたら一撃で倒されるのを防ぐ効果を持っているかもしれない。そう考えるとギルド内で戦闘に入るのはまずい。ギルドマスターも相手しなきゃならないしな。
そう思い臨戦態勢を解いて話す事にした。
「俺の名前はリョウ・ハナトリ。あんたは?」
と言い、様々な情報が書かれている部分を隠すようにギルドカードを持ち、名前だけを見せた。
それに対し狐面の女は「名前を偽っているだけだろ?」と言った。
その問いに対して俺はギルドマスターに確認するように聞いた。
「それは不可能だ。そうだろ?おっさん」
「ああそうだ。登録時に本名が記載される。あとギルドマスターと呼べ」
「だそうだ」
「俺がお前を見間違えるはずないだろ」
ジャポネーグで俺と言う一人称を使う女は、彼女しかいない。
「生きていたのかクジャク姉」
と俺は呟いた。




