2章 西の大陸23 -ワイバーンの価格-
「今晩泊まるところを決めてないんだったら、ギルド運営の宿屋に泊まってけ」
「利用料はどれぐらいだ?」
「冒険者ギルド運営の宿屋は、冒険者なら朝夜の2食付きで1人銅貨25枚だ。他の一般的なところだと朝夜2食付で、1人銅貨35枚〜50枚だ」
「今日は、ギルド運営の宿屋に泊まる事にしよう。他の場所は知らないしな」
「そうね。ギルドマスターが紹介してるんだから、何か起きたらギルドマスターを訴えればいい訳だし」
「それは勘弁してくれ」
そう言い、ギルドマスターは苦笑いをした。
話が終わり、受付の所にある納品と売却をする場所まできた。
俺たちがギルドに来た時、おっさんが連れてきた村人っぽいモブ顔の男が担当していた。
「ここが納品と売却の場所だ。ここで色々と売却できるぞ」
「ギルドマスターお疲れ様です。その子達は?」
「今日から冒険者になった。売却をしたいそうだ」
「それで何を売却されるんですか?」
「ワイバーンを10匹売却したい」
「ワイバーン⁉︎」
モブ顔の男は驚いていたが気にせず、俺は道具空間から1番最初に倒したのを含め、10匹のワイバーンを出した。
「初めて空間魔法見たぞ!噂には聞いていたけど、こんなとこで見るとは…」
「気持ちはわかるが仕事をしろ」
「…申し訳ございません、ギルドマスター」
冒険者になった初日はギルドから、宿泊代+食事代無料券が貰える。今日ワイバーンを売却する理由は無くなったが、俺はワイバーンの価格を知りたかったので、売ることにした。
「それでワイバーンはいくらで買い取ってもらえるんだ?」
「これは背中の損傷が特に酷いですね。あと牙が一本抜けている。他のはどこかしらに穴が空いてるな…。10匹全部で金貨1枚ってところだな」
「なぁ金貨って何だ?」
ジャポネーグでは基本的に物々交換で生活していたが、銅貨なら分かる。ジャポネーグで読んだ歴史書の中に書かれてたから。
「そういえば言ってなかったわね。銅貨100枚が銀貨1枚、銀貨100枚が金貨1枚と同じよ」
「銅貨だと10000枚か。一体あたり銅貨1000枚って考えると、ワイバーンって思った以上に結構金になるんだな」
俺は銅貨400枚ぐらいだと思ってたからな。
「相場はもっと安いですね。群れに対して冒険者のパーティーは、広範囲・高火力の攻撃を仕掛けて仕留めますから、もっと損傷が酷いんですよ。具体的な価格を言うと、一体あたり銅貨500枚前後ですね」
相場より高く買い取って貰えるのは嬉しい。
「小さな個人商店だと、金貨じゃ支払えない事があるから、銀貨100枚でお渡しします」
どうやら小さな個人商店は、大量の銀貨や銅貨がなくお釣りが出せなくなるから、金貨が使えないらしい。
銀貨100枚を袋に入れて貰い、それを道具空間に入れ、俺たちは冒険者ギルドをあとにした。
モブ顔の男はギルドマスターに訪ねた。
「背中の損傷が酷い一匹以外は、どこかしらに空いた穴のみ、つまり一撃で仕留めている。…あの子達一体何者なんです?」
「…期待の新人だ」




