2章 西の大陸21 -書類の記入-
「ルーシェ、嫌だったらここからは俺と別行動で構わないぞ」
「誰が嫌って言った?それに…」
「それにルーシェがいなかったら、回復が間に合わず死んでた可能性があった。これからもよろしくな」
「こちらこそ、よろしく…」
ルーシェが小声で言ったのではっきりと聞き取れなかった。
「ん?なんか言ったか?」
「何にも言ってないわよ!」
おっさんが戻ってきて、俺達に書類を渡した。
「2人とも文字の読み書きはできるか?」
「書けるわ」「書けるぞ」
俺は、能力のおかげでジャポネーグ以外の文字や言語も書くことができる。あとでルーシェから聞いた話だが、ジャポネーグ以外の国の通貨や文字は同じ物を使っているそうだ。
「正直助かる。冒険者になる奴の大半は、文字の読み書きができないからな。できるなら各自でやってくれ」
俺達は書類を受け取った。
「読みながらでいいから聞いてくれ。今すぐ2人ともBランクにしたい所なんだが…。最初はEランクから始めてもらう。薬草などの草の採り方、魔物の解体方法など冒険者に必要な事を学んでもらう」
「結構手厚いんだな」
実践で慣れていくものだと思っていた。
「初歩的な事を教えずに放り出してたら、直ぐ死ぬ事になる。そうなったら冒険者の成り手がいなくなっちまうしな。このギルドではしっかりと新人教育はする。まぁ、そんな事今はどうでも良い話だがな。
それでランクの上げ方だが、基本的に試験を受けてもらう。だが次のDランクに上がるのに試験はない。初歩的な作業ができる事と装備を整えて、暫くしたらDランクに上がれる」
「Eランクの冒険者が、Dランク必須の装備一式を買うのに、どれぐらいの期間がかかるの?」
「そうだな…。宿代・飯代・装備代・装備の維持費など先の事を考えたら、大体4、5ヶ月ってとこだな」
「それじゃ私達はEランクのまま試合に出ろって事?このギルド笑い者になるわよ」
「その辺は問題ない。Bランク以上の冒険者からの推薦ですぐにDランクに上がることができる。明日、薬草採取と解体の依頼を受けて来い。たぶんお前らなら、1回ずつで問題ないだろう。金の面もワイバーンでどうにかなるしな」
「それだったら今日から開始できないのか?」
まだ昼前である。時間はある。俺はすぐにでも行動したかったので聞いた。
「個人的にはすぐにでも依頼を受けさせたいが手続きの都合上、今日は無理だ」
「分かった。今日の宿代が無いから、とりあえずワイバーンを売らせてくれ」
「まぁ待て。その前にこれを渡す」
おっさんはそう言いながら、カードを俺達に見せた。




