2章 西の大陸17 -ワイバーンの強さ-
「ならない!」「ならないわ!」
「なんでだ⁉︎お前達なら立派な冒険者になれるぞ」
「俺達には目的があって、その目的のためには世界を周らなきゃならない」
ここを拠点にしようとは今の所考えてはいない。
「むしろ好都合だ。この国で登録しとけば、他の国でも冒険者として活動できる。場所にもよるが冒険者じゃないと、素材の買取時に安く買い叩かれる。あと冒険者ギルド発行のカードは、身分証明書の代わりになるぞ。さぁ今直ぐ登録するんだ!」
「そうなの?それじゃ登録しましょ」
ルーシェが言い終えた時、俺は大声で言った。
「ちょっと待った!」
「何よ!私達は損しないでしょ?」
「おかしいと思わないか?なぜ、この場での登録を勧めてくる。どこの国の冒険者ギルドで登録しても同じじゃないか?」
「確かにそれもそうね」
「それに多少安く買い叩かれても、ワイバーンを数匹売れば、2人分の今日の宿代よりは多くもらえるだろ?残った金で装備を整えて次の国で必要になったら登録すればいいじゃないか?」
何か裏がある気がしたので、一旦こう言い、相手の出方を伺うことにした。
「悪かった。…正直に言おう。冒険者ギルドがある国同士が参加する大会が3週間後にある。所属ギルドから5人選出して、1組のパーティーとし参加する」
「なるほどな」
俺は大体理解した。ルーシェはまだわかっていないようだ。
「所属ギルドはどうやって決まるの?」
「今までの話から大方、登録した国の冒険者ギルドになるってとこだろ?」
「……そうだ」
「参加するのは、別に俺達じゃなくてもいいんじゃないか?」
「2人でワイバーンの群れを狩る人間は、俺の知る限りいないからな…」
「ワイバーンの群れってそんな強いの?」
「そうだな、目安として10匹ぐらいの群れだと、Bランクの冒険者が2人で戦って勝てるかどうかだ。Cランクの冒険者だと、4人パーティーで安全に狩れるかどうかぐらいだな。お前さん達の強さは、Bランクの冒険者ぐらいってとこだ。話が本当ならばな」
このおっさんは、俺達が遭遇したワイバーンの群れの数を10匹程度だと思っているようだ。
「なるほど。それじゃ例えばの話だが、ワイバーン約100匹を1人で狩った場合の強さはどれぐらいの強さになるんだ?」
興味本位で聞いてみた。
「はぁ?そんな人間いるわけないだろ?」
「例えばの話だよ」
「そんな奴がいたら確実にAランク以上だ。Aランクの俺でも、その数は闘い通せるか怪しいからな」
全部まとめて売ろうとしていたが、素材は小出しにして売らないとな。俺が約100匹狩った事がバレる。バレたら面倒な事になりそうだしな。そう思っていたが
「…もしかして、100匹のワイバーンの群れに遭遇して全部狩ったのか?」
速攻でバレた。
「ソンナコト、アルワケナイジャナイデスカ、イヤダナー。モウソンナノニンゲンジャナイヨ」
「しかも全ての亡骸を、空間魔法とやらで運んできたんだな?」
「そ、そんな人外な事できるわけないじゃない。どんだけ魔力使うと思ってるのよ⁉︎」
ルーシェは全力で否定した。彼女も俺と同じように、面倒な事になると考えたようだ。
「そうだよな。まさかな、ハハハハ」
「そんなわけないだろ。ハハハハ」
「そうよ。そんな事できるわけないわ。ハハハハ」
少しの間3人とも笑った。そしてしばらくしてから、ギルドマスターは俺達に言った。
「…そうか残念だ。俺はお前達を王宮の牢へぶち込む仕度をしなきゃならんようだ」




