1章 ジャポネーグ国21 -クジャクとセッテ-
6人は動揺していた。セッテは重傷を負っていて此処へはこれまいと、思っていたのだろうから当然だろうな。
「クジャク姉、待たせた」
「怪我は大丈夫なのか?」
「クジャク姉の家に伝わる秘薬を飲んだから平気だよ」
「俺の事は放っておけ、お前の立場まで悪くなる」
「大丈夫」
そう言うと、セッテは聴衆に向けて話始めた。
「僕は国主の息子で末弟のセッテ・ネコヤナギです。聴衆の皆さん、聞いて下さい。今処刑されようとしているこの人は僕の護衛で、任務を全うしただけです。僕に怪我を負わせたのはあの6人の兄達です。それに僕の兄達は彼女をオモチャにすると言って、6人全員で彼女に襲いかかりました」
これを聞いた聴衆は、「今の話本当かよ」「本当だったら権力の横暴だな」「彼女って、あいつ女だったのかよ。俺って言ってるからてっきり男かと思った」と言った。
「で、でたらめだ。そ、そいつは末弟を語った不埒者だ。さ、さっさと捕まえろ!」
ウノがそう言った時、聴衆の中から親方様が出てきた。
「見苦しいぞお前ら!」
「ち、父上⁉︎何故ここに?」
「6人とも俺の顔に泥を塗りやがって、覚悟はできてるだろうな?」
6人は数秒黙った。そしてウノが言った。
「………こ、こいつは国主を語る不届きものだ。早く捕まえろ!」
「国主に対して不届きものだと?」
そう言うと親方様は、6人を拘束するように連れてきた2人の部下に命令していた。
クズ共は逃げ出そうとした。
この時、俺はセッテによって、貼り付けられた状態から解放された。
「僕の護衛をするのに武器は必要でしょ?」
そう言って彼は刀を一刀、俺に渡そうとした。
6人中4人は部下の2人に拘束され、1人は親方様に拘束されていた。ウノがまだ拘束されてない。
そう思って周囲を見たが、気がついた時には遅かった。




