2.ソネット
『世話好きなお姉ちゃん、時々姉御』
2.ソネット Lv.27
特徴:情報通 『ミレイユのお菓子工房』の店主 お茶目
蔭の諜報部隊長という名の皆のお姉ちゃん。情報にかけては絶対の自信を持つ。以上聴覚の持ち主で、周囲の音を聴き逃さない地獄耳。使用武器は主に長針。現在は潜入調査などにはあまり出ていないが、元はハニートラップの主要メンバーでもある。対複数戦に弱く、戦闘能力は低いが、気が強い面もあってエリカを適当に扱える貴重な人材。蔭の戦闘部隊長である長のシアとは仲が良くない。
本人の性格はいたって明朗。可愛らしい服を普段は着用しているが仕事で色々なスタイルも着こなす。老舗のお菓子屋を営んでいる。その店主でもある。頻繁に髪の色を変える。ただし実際に染めてはいない。趣味と実益を兼ね備えた鬘の蒐集をしている。
レイディアを妹の様に可愛がっている。近づく男をそれとなく妨害しては一人ほくそ笑むお茶目な面も。
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~裏側の人間~
ソネットは自室兼仕事部屋にて、片付けるべき仕事の要件の束を捲っていた。
「店主っお茶のお時間ですよ」
ぺらりとぺらりと仕事の一件一件を確認していると、お茶を持ってきたユンケが机を乗り出して用紙を覗きこんだ。
「こら、勝手に見るんじゃないの」
書かれている内容はどれも大した仕事ではない。単なる日常で起こる犯罪の取り締まりである。強盗、殺人、恐喝、詐欺、身売り…。これらの被害者に対する同情は、仕事をこなす内に割り切れるようになってしまったが、やはり気持ちのいいものではない。
「どうして底辺の人達は、やることなすこと似たりよったりなんでしょうね」
ユンケが問う。
「既存の道しか見えないし、見る気もないからよ」
罪を犯す人の中にはやむを得ず手を汚す者もいるけれど、罪を犯すことに罪悪感を欠片も抱かず犯罪を繰り返す者も多い。味を占めてしまうのだろう。楽して欲しい物を手に入れられるなら、誰だってその手段を使いたい。そこで、犯罪を犯すか否かは、本人の理性の在り処による。
「じゃあ、どうして精神的に高みにいる人には同じような人はいないんですか?」
ユンケが暖まったカップを差し出す。
「自分だけの道を自分で選んでる自覚があるからよ」
「なるほどぉ」
ユンケを感心した声を聞きながら紅茶を啜る。
「うん。美味しい」
ユンケも中々腕を上げたようだ。
「…人は誰しも弱いけど…弱いからこそ強くなれるのか、弱さに甘えて何も出来ないと言い訳するのか、弱い故に流されて、その果てに置かれた境遇を恨むのか…でも、それは自分が選べるのよね。流されるのも、流れに逆らうのも自分の意思だもの」
「どういう意味ですか?」
「…幼い子供なんかは、選ぶことすら出来ないもの。あらゆる点で力のない者はには選択肢すら貰えない」
遠くを見つめたソネットの瞳を、ユンケは興味津津で覗きこんだ。
「…それは、貴女の体験談ですか?」
ユンケの探る目を押しのけ、ソネットは紅茶をもう一口飲んだ。
「忘れちゃったわ。昔のことなんて」
そうしてちゃっちゃと紅茶を呑み干すと、さっさとユンケを部屋から追い出した。