第130話、【これぞ最強のチートスキルだ!】㉚『即死チート』は別に『最強』では無く、『弱点』もちゃんと有るのだ☆【前編】
「──知○佳、大変よ! 高遠君が柔道部の部長と、あなたを賭けて勝負して、コテンパンにやられてしまったわ!」
「………へ、何ソレ⁉」
去年の修学旅行以来すっかり友達となった、篠○綾香(おそらくは最新鋭の機械人形)のご注進を聞くや、慌てふためいて柔道場へと駆けつける、壇ノ浦知○佳であった。
だが時既に遅し、そこには満身創痍となり、道場の畳の上に仰向けに倒れている、夜○の姿が有ったのだ。
当然のように、道着を着た柔道部部長へと食ってかかる、知○佳。
「──ちょっと、剛志、何してくれちゃっているのよ⁉」
「……むっ、それはこっちの台詞だ、知○佳よ」
「はあ?」
「道場が隣同士の幼馴染みで、家族ぐるみの付き合いをしてきて、おまえが年頃になっても全然男っ気が無いから、すっかり安心していたのに、修学旅行から帰ってきた途端、この優男と何だか親密な間柄になりやがってッ! 知○佳をこんなヒョロガリに渡してなるものか! そこでどちらがおまえの相手にふさわしいか、正々堂々と柔道で勝負をつけることにしたんだ!」
「柔道部の部長と一般生徒で、柔道勝負って、どこが正々堂々なんだよ⁉」
「でもこの男は、受けて立ったぞ?」
「──高遠君、どうしてそんな、柄でも無いことを⁉」
「……『いざと言う時に、知○佳を守れないような男に、あいつを渡しはしない』なんて言われたら、勝負を受けざるを得ないだろ?」
「高遠君♡」
「壇ノ浦さん♡」
「──こらあ、敗者のくせに、何をいい雰囲気を醸し出しているんだ⁉ 知○佳、こっちに来い! おまえはもう、俺のものだ!」
そう言って、か細い少女の手首を掴もうとした、その刹那。
「──私は誰のものでも無いわ! 勝手に決めるな、この脳筋柔道オタクが!」
「──うごおッ⁉」
難なく手首を返して、逆に巨漢の襟元を掴み取るや、あっさりと投げ飛ばし畳へと叩きつける。
「……昔から言っているでしょ? 私は私よりも強い男にしかなびかないって。まあせいぜい、修行をし直すのね。──永遠にねw」
「そんな⁉ だったら、その男はどうなんだ⁉ この俺に負けたくせに、おまえよりも強いと言うのか⁉ 何か有ったら、おまえのことを守れるのか⁉」
「うん、私なんか比べ物にならないほど、強いよ? 『修学旅行(=異世界転移)』の時も、何度も私のことを守ってくれたし」
篠○綾香(実は最新鋭の機械人形)「うん、強いね」
二宮諒○(実はサイバー忍者)「強いです」
キャ○ル・S・レーン(実は某『機関』のエージェント)「強いデース」
花○大門(実は元勇者)「強いでござるよ」
鳳春○(実は将来の獣人の総元締め)「強いな」
壇ノ浦もこ○こ(知○佳の守護霊)『強いぞ』
「──何なんだ、おまえらは⁉」
「「「「「高遠君と壇ノ浦さんの、クラスメイトです」」」」」
『……我は、神霊クラスの「守護霊」じゃがな』
「──何か、変なのも混じっているし⁉ いやいやいや、現に俺に負けて寝っ転がっているのに、どこが強いと言うんだ⁉」
「……剛志、たかが学校のお遊びの柔道レベルでイキっている、あんたにはわからないと思うけど、この世には──否、どこか『別の異なる世界』では、私たちの年齢で既に、『命のやり取り』をやっている所も有るんだよ。もしもそんな世界にいきなり放り込まれたとして、あんたはちゃんとやっていけると言えるわけ?」
「な、何を、馬鹿げたことを言い出しているんだ? そんな『仮定の話』で、納得できるか⁉」
「『仮定』じゃ無いよ、高遠君や私たちは、『本当』にそんな世界で、戦い生き抜いてきたんだからね」
「──この男は、暗殺者か少年傭兵とでも、言うつもりか⁉」
「「「「「「……暗殺者か少年傭兵程度なら、良かったんだけどねえ」」」」」」
「何ソレ、どういうこと⁉ ちょっと恐いんですけど、そいつって何者なの⁉ ちゃんと説明してくれよ!」
今更になって、えも言われぬ恐怖心に囚われた柔道部部長が、何かわめき散らし始めたものの、完全に無視して立ち去っていく、知○佳一同。
「しかし高遠君てば、私なんかのために、柔道部と勝負だなんて無理しちゃって、もう駄目じゃない♫」
「オー、知○佳、何だか嬉しそうデスねえw」
「キャ○ル、黙りなさい! ──壇ノ浦さん、どうぞお続けください」
「い、いや、続けてくださいって、言われても………」
「ああ、うん、実はもこ○こさんに、焚きつけられたんだよ。『姉の千○のほうは、言い寄ってきた幼馴染みの小僧を、想い人の男子生徒が、きっちりと勝負して撃退したぞ?』って」
「──すべての元凶は、もこ○こさんだったのかあ⁉」
『ちょっと、待て! 我は別に、嘘は言っておらぬぞ⁉』
「……あの、『もこ○こ体型』の姉を取り合って、男子生徒がガチ勝負、だと?」
『何じゃ、「もこ○こ体型」って⁉ しかもおぬし、姉に対しても辛辣じゃな⁉』
「……大方、『取り合い』と言うよりも、『押し付け合い』じゃ無かったのお?」
『──なぜわかった⁉ い、いや、少なくとも幼馴染みのほうは、ちゃんと本気だったんだぞ⁉』
「でも意外よね、異世界であんなに無双していた高遠君が、学校の柔道部なんかに、あっさり負けてしまうなんてw」
「……そりゃそうだよ、何かネットとかで、僕の『即死チート』のことを、『最強だ』とか『そうじゃ無い』とか、勝手に言い争っているけど、僕自身は『最強』とか思っていないし、そもそもこの力を『チート』とも思っちゃいないんだから」
「へえ、あんなに異世界では、『無双』していたと言うのに?」
「実感としては、『自分の力』とは思えないってことだよ。誰かが僕のことを守ってくれていて、僕の危機の際には、必ず敵を退けてくれるって感じなのさ」
「でもさっきは、守ってくれなかったじゃ無い?」
「『研究所』の人たちが言うには、命の危険──もっと正確に言うと、『僕と言う存在』が脅かされる時だけ、発動する力と言うことらしいんだ。だから基本的に平和なこの現代日本においては、おいそれと力は発動しないし、異世界の時のように、壇ノ浦さんのことを守ってやれないと思うよ」
「──だったら今度は、私が守ってあげようか?」
「え」
「異世界では、ずっと守られてばかりいたから、今度からは私が高遠君のことを、守ってア・ゲ・ル♡」
「……壇ノ浦さん♡」
「だから、これからも、よろしくね♫」
そう言って、ごく自然と、手を取り合い歩んでいく二人。
「……ホント、我々は一体、何を見せられているのデスかねえ」
「──キャ○ル、お黙りなさい! あの二人がラブラブでいる限り、この世界の平穏が守られるのですよ⁉」
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転生法ちゃん「……何よ、これって?」
ちょい悪令嬢「『何よ』も何も、かの超傑作アニメ化作品『即死チートが最強すぎて、異○界のやつらがまるで相手にならないんですが。』の、世界観とキャラクターをお借りした、【突発短編】じゃないですか?」
転生法ちゃん「──いやだから、何でそんないろいろな意味で危ないものを、いきなり作成して公開しているのよ⁉ しかも私は別の作品の登場人物なんだから、巻き添えにしないでくれる⁉」
ちょい悪令嬢「あ、いえ、実はこの【突発短編】て、前回までの続きでもあるのですよ」
転生法ちゃん「──これが⁉」
ちょい悪令嬢「前回の結論的に、『唯一絶対の最強』なぞ存在せず、どんな『最強級のチートスキル』にも『弱点』が有るのだ──と申したではないですか? それで今回は、その『実例』を示そうかと思いまして」
転生法ちゃん「……ああ、それで『即死チート』か? 確かに『最強』談義には、もってこいかと思うけど、よりによって最初にこれを選ぶとはねえ」
ちょい悪令嬢「ちょっと、転生法ちゃん、あなたちゃんと【突発短編】を読んだんですか⁉」
転生法ちゃん「えっ」
ちょい悪令嬢「いいですか、少なくとも『即死チートが最強すぎて、異○界のやつらがまるで相手にならないんですが。』と言う作品における『即死チート』は、『最強』でも何でも無いんですよ?」
転生法ちゃん「──はあああああああああああ⁉ ネット上の『最強談義』においては、常に上位に名前が挙がる高遠夜○君の『即死チート』が、『最強』じゃ無いって、そんな馬鹿な⁉」
(※次回に続きます)




