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#対人依存症。和哉くんは生きづらい!  作者: 佐野和哉


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さよならぼくのともだち

子供の頃に友達を失くした。それは自分の暴力性とか身勝手のせいでもあるし、みんなの輪から外れてしまったときにうろたえて、どうしたらいいのかわからずに学校という世界から逃げ出してしまったからでもあった。

不登校というとみなさんは気の毒そうに思われるか、それとも自堕落で怠慢な印象を持つか、いずれにしてもわからないけど私の場合は学校に行かず家に居たとて左程に居心地の良いこともなかった。不登校になった、ということが今度は家族から受け入れられなかったのだ。


学校にも行きたくない、家族とも分かり合えない。

同級生や隣のクラスの担任M本からの嘲笑や忌避を浴びるか、血眼で金切り声を上げる母を目の当たりにするか。

沈黙の種類バリエーション情景シチュエーションが違うだけで、やることは同じだ。

その当時、母は少なく見積もっても十年に及ぶ家庭内暴力の恐怖から解放されたものの後遺症が深く、日々の生活と心身に負った傷を庇うことで恐らく一杯だったのだろう。

そこにきて長男坊が学校行くの嫌だなんて言い出したら、そりゃあストレスも増すというものだ。でも、その家庭内暴力のストレスはこっちも浴びていたわけで。

たった一人のカスみたいなケダモノのせいで、私も母も消耗しきっていた。生命と時間と神経とを浪費し尽くして、残ったのは傷だらけの抜け殻みたいな人格だけ。

離婚したとはいえこっちは週末になると泊りがけで会いに行かされ、一週間分の罵声や暴力を受け続けていた。離婚で母は一応のキリを付けられたが、そのツケを私が払っていた。身代わり地蔵かサンドバッグかスケープゴートか生贄か、好きなのを選んで呼べばいい。

隣のクラスの担任こと宮〇はハッキリと私に嫌悪を示していたし、私もコイツがとても嫌いだった。自分のクラスの担任はと言えばコレも「君が全部悪かったと認めれば丸く収まる」と言い放つなどしてくれたので、まあ同じようなものだ。


どこにも味方は居ない。家族はアテにもサカナにもならない。

祖父母の家にいると、今度は離婚(追放)された暴力男アレがやって来るおそれがある。


とまあそういう状況のとき、どうするか。

頭の中に友達が来る。

ガキの頃、頭の中に友達の一人も居なかったような奴が作家になんかなれっこない。

んな明るくて元気で人付き合いが良くて他人に怯えたこともないような人間性の持ち主なら、なんか神奈川とかに住んで東京の大学行って大きな会社に入ればいいのだ。

田舎モンそのものの発想に我ながら反吐が出るネ。


頭の中の友達は増え続けた。最初は形のない、なんだか漠然とした意識のかたまりが〝脳というイメージの空間〟に浮かんでいて、それが語りかけてくる・それに語り掛けていく。言葉は発さない。頭の中に浮かんだ言葉が、その脳空間イメージで声や形になっていく。相手の声も覚えているのに、思い出せない。音声というものではなく、音声を感じ取った時の響きや聴覚の感触を再現していたのだろう。

それからハッキリと姿かたちを認識できるようになった。割と早かった。

小学校高学年の時、初代プレステの闘魂烈伝3ってプロレスのゲームが出て。そのエディットモードでプロレスラーを作りまくっていた。

在りもののワザ、入場曲に加えて何種類かのパーツを組み合わせて選手を作り、所定の文字数内であれば自由に命名も出来た。どうもコレが良かったらしい。

そっから名前・外見・性格・声などのバリエーションが飛躍的に増えた。気がする。

小学校高学年だと小説も読み始めていたし、エディットという「儀式」を経たのが大きいのかもしれない。あのときキャラクターというものをどこまで意識してたかはともかく自然と湧き出る感じで何人か常駐していた。自室で一人でいると、ぼうっと浮かぶのだ。茫洋とした精神状の思念のかたまりは、やがて明確な意思を持つ友人になり、数を増していく。そして一人の時以外にも現れるようになった。

会話は勿論、ときには相談や喧嘩までした。

都合のいい返事ばかりはくれなかった。お前が悪い、とバッサリ言われることもあった。

なんでも都合よく解釈し、誤った情報であっても構わず浴びせて甘やかしてくるAIの方が、ニンゲンにとってよほど出来がいいのは皮肉なものだ。


それが高校に入るぐらいまで続いてた。

なんとなく、外の人間に触れる機会が増えるにつれて頭の中の彼らは減って行った気がする。姿を現さなくなったと言うべきか、姿を思い浮かべることが出来なくなったというべきか。


ただずっと彼らとともに居た架空の自分だけは今でもそこに居て、なんだか寂しそうだ。



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