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答えは、ふたりで〜四十歳夫婦、若返って異世界転生。クラフト&ミステリな暮らし〜  作者: 翠川しおり


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プロローグ 夫婦、人を見つける

 沢の水音が、やけに大きく聞こえた。


 ぬかるんだ岸辺に、男が一人倒れている。肩から背にかけて服が裂け、その下には獣の爪に引き裂かれたような傷が走っていた。周りの泥には、大きな獣の足跡がいくつも刻まれている。


 誰が見ても、魔物に襲われた死体だった。


「……千尋」


 隣で、真琴が小さく読んだ。顔色は少し白い。それでも、目は逸らしていなかった。


「この傷、なんか変」

「うん」


 千尋は男ではなく、足跡を見ていた。一つ。隣のもう一つ。少し離れたもう一つ。


「俺もさっきから引っかかってる」


 二人はどちらからともなく、手を合わせた。


 名前も知らない人だった。この世界のことも、まだほとんど知らない。


 それでも、二人にはわかっていた。


 ここで起きたことは、見たままの話じゃない。


「……どうする?」


 真琴が聞いた。


 千尋は少しだけ考えて、それから、いつもと同じように答えた。


「分からないことは、わかるところまで考える。二人で」

「うん。二人でね」



 ―― 飛行機事故で森に目を覚ましてから、七日目のことだった。


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