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異世界都市伝説大戦【改稿版】  作者: 知恵利一
第1部 死と生

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第34章 夜明けの境内

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⸻


 嫉妬の化身が消滅すると同時に、街を覆っていた瘴気は霧のように晴れていった。

 赤黒かった空が次第に青さを取り戻し、夜明けの光が差し込む。


 崩れかけていた街の建物も、まるで瘴気が溶けるように元の姿へと戻っていく。

 ただし、人々の記憶から“妬みに囚われていた時間”は残っていない。

 彼らはただ不思議そうに空を仰ぎ、再び日常を取り戻していた。


⸻


「……終わったんだな」

 双雷は雷牙を肩に担ぎ、深く息を吐いた。


「ええ……本当に」

 水京も弓を降ろし、空を見上げる。


 夜空には、解き放たれた魂たちが星のように散り、静かに消えていった。

 その最後の光は、どこか微笑んでいるようにも見えた。


⸻


 境内に戻ると、鋼次と宮司が出迎えていた。


「やりやがったな、小僧」

 鋼次が豪快に笑う。

「雷兆も天で喜んでるだろうよ」


「……雷兆師匠……」

 双雷は胸に雷牙を抱き、静かに目を閉じた。


「お前はもう、立派に“後継者”だ」

 宮司も穏やかな声で言う。

「だが忘れるな。妬みも憎しみも、人がいる限り決して消えはしない。

 またいつか、新たな化身が生まれるかもしれん」


「……その時は、俺たちが斬る」

 双雷は力強く答えた。


⸻


 篝火の残り火の前、二人きりになった時。


 水京がぽつりと呟いた。

「ねえ、双雷……。私たち、けっこういいコンビかもね」


「へっ、今さらかよ」

 双雷は照れ隠しのように鼻を鳴らした。


 だが次の瞬間、真剣な眼差しで水京を見る。

「……ありがとな。俺、アイツに呑まれかけた時……お前の声で戻れた」


 水京は少し驚いた顔をして、それから小さく笑った。

「……なら、これからもずっと隣で声をかけてあげる」


⸻


 夜明けの光が境内を照らす。

 戦いを終えた二人の影は、隣り合って長く伸びていた。


 ――こうして嫉妬の化身との戦いは終わりを告げた。

 だが彼らの物語は、まだ始まったばかりだった。


ここでひとまず区切ります。コメントや評価がつきましたら、続きを書こうかと思います。

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